502 / 975
逃げたとしても
しおりを挟む
リーベの恋愛惨劇はあまり細かく説明せず、いったいどういった流れでリーベがとある少年とアザルトさんの人生を懸けて戦うことになり、どのような強さを身に着けたのかを説明した。
「まさか羅門を使えるようになっているとは……なるほど、確かにラガス君が猛者だと断言するのも納得出来る」
「正直、自分もリーベと一緒に訓練をするようになったばかりの頃は、羅門を習得出来るとは思っていませんでした」
羅門という名の限界突破アビリティは誰でも習得出来るものではなく、肉体的な強さにプラスして優れた体術を会得している者しか身に付けられない。
まさに才ある者が努力を積み重ねた先に得られるアビリティ。
……と言ってしまうと、羅門を習得している自分が体術の才能がある断言するようで恥ずかしいが、間違っていない筈。
とにかく、そんなアビリティを短期間で習得したリーベは間違いなく才能を開花させ、学生の中では強者と呼べる部類に至っている。
「ラガス君の指導が良かったから、という考えはまた別かな」
「別ですね。自分の訓練内容が他の生徒たちと比べてハードかもしれませんが、それに付いて来れるかどうかは本人次第です」
個人的な感想だが、本当に俺の指導の是非は関係無い。
どう考えてもリーベのライド君には負けたくないという強い思いが原動力となり、ハードな訓練にも付いてきた。
その結果、今まで眼を向けていなかった才能が開花して学生の中ではトップクラスの力を手に入れた。
とはいっても、主体にしていた剣術の腕がしょぼいのかと言われれば、そんなことはないんだよな。
「ただ、お話しした通り……リーベと戦った相手側の生徒は平民という出自から考えると、飛び抜けた力を持っていました」
「ふむ、そうだな。話を聞く限り……セルシアと同等の実力を持っていると考えて良さそうだ」
「そう、かもしれません」
親であるロウレット公爵様の前で絶対にそうだと断言は出来ないが、才能という点であれば……僅かに上回っているかもしれない。
限界突破のアビリティなんて、俺だけでなくシュラやメリルも習得出来ていない。
それに加えて珍しい光魔法を、戦闘用にがっつり使えてた。
剣術の腕も並ではなく……オールマイティなメリルより上だったか?
とにかく、貴族からすれば「なんなんだこいつは!!!」と思われる存在ではあるな。
「ラガス君なら、彼に勝てるかな」
「……はい、勝てます」
どっからどう見ても物語の主人公みたいな奴だが、それでも現時点では負けない。
というか、よっぽどのことがない限りこれからも負けないと思う。
潜在能力は高いだろうけど、手札の数なら負けない自信がある。
「ただ、ライド君はこれからまだまだ強くなると思いますし、ロウレット公爵様の頭の片隅に入れておいて損はない人物かと」
「ふっふっふ、そうだな……有益な情報を聞かせてもらったよ」
ライド君が将来ハンターになるなら、ロウレット公爵様が彼を使う可能性はゼロではない。
彼にとっても、リーベ家に返さなければいけない金を稼ぐ良い機会になるだろう。
それにしても……多分、リーベ君は戦闘のこと以外に関して凄いバカ、って雰囲気ではなかったんだよな。
三年生になる頃には自分が置かれた現実に気付くと思うんだけど……どうするんだろ?
「しかし、将来有望なハンター君は出発そうそう借金まみれ、ということになるね」
「は、ははは。そ、そうなんですよね~~~~。その……あれですよね、人の婚約者を奪った代償といったところですね」
俺もジークからセルシアを奪った人だからあんまり大声で言えないけど、結果的にライド君も借金まみれの道を選んだわけだから……仕方ない結果ではあるよな。
「……私としては、そこから逃げても仕方ないと思えてしまうがね」
「ッ!!!」
おっと…………ロウレット公爵様がそうおっしゃるのは全く予想してなかった。
「勿論、アザルト家のご令嬢は逃げては駄目だがね。だが、そのライド君はそこまで大きな借金を背負う事になるとは知らなかったのだろう」
「……そうですね。リーベとの決闘が終わるまで知らなかったかと」
「それならば、男として情けないと思われるかもしれないが、同情する者の方が多いかもしれぬ」
ライドが平民、あまり貴族の事情について知らないという点を考慮すれば……やっぱりそうなのかな。
「まさか羅門を使えるようになっているとは……なるほど、確かにラガス君が猛者だと断言するのも納得出来る」
「正直、自分もリーベと一緒に訓練をするようになったばかりの頃は、羅門を習得出来るとは思っていませんでした」
羅門という名の限界突破アビリティは誰でも習得出来るものではなく、肉体的な強さにプラスして優れた体術を会得している者しか身に付けられない。
まさに才ある者が努力を積み重ねた先に得られるアビリティ。
……と言ってしまうと、羅門を習得している自分が体術の才能がある断言するようで恥ずかしいが、間違っていない筈。
とにかく、そんなアビリティを短期間で習得したリーベは間違いなく才能を開花させ、学生の中では強者と呼べる部類に至っている。
「ラガス君の指導が良かったから、という考えはまた別かな」
「別ですね。自分の訓練内容が他の生徒たちと比べてハードかもしれませんが、それに付いて来れるかどうかは本人次第です」
個人的な感想だが、本当に俺の指導の是非は関係無い。
どう考えてもリーベのライド君には負けたくないという強い思いが原動力となり、ハードな訓練にも付いてきた。
その結果、今まで眼を向けていなかった才能が開花して学生の中ではトップクラスの力を手に入れた。
とはいっても、主体にしていた剣術の腕がしょぼいのかと言われれば、そんなことはないんだよな。
「ただ、お話しした通り……リーベと戦った相手側の生徒は平民という出自から考えると、飛び抜けた力を持っていました」
「ふむ、そうだな。話を聞く限り……セルシアと同等の実力を持っていると考えて良さそうだ」
「そう、かもしれません」
親であるロウレット公爵様の前で絶対にそうだと断言は出来ないが、才能という点であれば……僅かに上回っているかもしれない。
限界突破のアビリティなんて、俺だけでなくシュラやメリルも習得出来ていない。
それに加えて珍しい光魔法を、戦闘用にがっつり使えてた。
剣術の腕も並ではなく……オールマイティなメリルより上だったか?
とにかく、貴族からすれば「なんなんだこいつは!!!」と思われる存在ではあるな。
「ラガス君なら、彼に勝てるかな」
「……はい、勝てます」
どっからどう見ても物語の主人公みたいな奴だが、それでも現時点では負けない。
というか、よっぽどのことがない限りこれからも負けないと思う。
潜在能力は高いだろうけど、手札の数なら負けない自信がある。
「ただ、ライド君はこれからまだまだ強くなると思いますし、ロウレット公爵様の頭の片隅に入れておいて損はない人物かと」
「ふっふっふ、そうだな……有益な情報を聞かせてもらったよ」
ライド君が将来ハンターになるなら、ロウレット公爵様が彼を使う可能性はゼロではない。
彼にとっても、リーベ家に返さなければいけない金を稼ぐ良い機会になるだろう。
それにしても……多分、リーベ君は戦闘のこと以外に関して凄いバカ、って雰囲気ではなかったんだよな。
三年生になる頃には自分が置かれた現実に気付くと思うんだけど……どうするんだろ?
「しかし、将来有望なハンター君は出発そうそう借金まみれ、ということになるね」
「は、ははは。そ、そうなんですよね~~~~。その……あれですよね、人の婚約者を奪った代償といったところですね」
俺もジークからセルシアを奪った人だからあんまり大声で言えないけど、結果的にライド君も借金まみれの道を選んだわけだから……仕方ない結果ではあるよな。
「……私としては、そこから逃げても仕方ないと思えてしまうがね」
「ッ!!!」
おっと…………ロウレット公爵様がそうおっしゃるのは全く予想してなかった。
「勿論、アザルト家のご令嬢は逃げては駄目だがね。だが、そのライド君はそこまで大きな借金を背負う事になるとは知らなかったのだろう」
「……そうですね。リーベとの決闘が終わるまで知らなかったかと」
「それならば、男として情けないと思われるかもしれないが、同情する者の方が多いかもしれぬ」
ライドが平民、あまり貴族の事情について知らないという点を考慮すれば……やっぱりそうなのかな。
47
お気に入りに追加
3,497
あなたにおすすめの小説
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる