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信頼出来る者と一緒に
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「ラガス、何してるの?」
「何してるって……街に入るから列に並ぶんだよ」
「その必要は、ない」
「??」
セルシアが列に並ばず門兵のところに行こうとするので、とりあえず付いて行く。
「私はロウレット公爵の五女、セルシア・ロウレット」
そう言いながら家紋が入った短剣を見せた。
「ッ!!! 少々お待ちくださいませ!!」
門兵は慌てて詰所? に行くと直ぐに戻ってきた。
「失礼します」
あれは……鑑定付きのモノクルか。
俺も同じ物持ってるわ。質が同じかは知らないけど。
鑑定のスキルを持ってる人は貴重だし、鑑定の効果を持つマジックアイテムがないと真偽を調べられないんだろうな。
「……確認させていただきました。直ぐに中へ「ちょっと待って」?」
俺たちが順番を待たずに中へ入りたいと思ってると判断したんだろうな。
そりゃ順番なんて待たずには入れればそれに越したことはないけど、別に並ぶのが嫌になるとの人数が並んでる訳じゃない。
「道中で盗賊に、襲われた。その際に、アジトを潰した。その証明物が、ある」
「な、なるほど。そういうことでしたか。それではこちらへ」
この場で生首を出すわけにはいかず、門兵たちが待機している部屋案内され、亜空間の中からのオルバ頭を取り出し、テーブルに置いた。
「こいつが盗賊団の団長、オルバです」
「……た、確かにそのようですね。少々お待ちください、直ぐに報奨金を用意します」
やっぱり懸賞金が掛かってたんだな。
それなりに実力はあったし、団員もまぁ…………うん、ただのチンピラって感じではなかった。
「お待たせしました。こちらが報奨金の金貨七十枚になります」
「ッ!?」
えっ……ちょ、ちょっと多くないか。
あいつらがそれなりの戦力を持っていたとは思うけど、金貨七十枚って相当だぞ。
「ラガス」
「ん?」
「はい」
……これは、俺が受け取れって言ってるんだよな。
ぶっちゃけオルバを殺したのはシュラやキリアさん、ルーンとメリルなんだけど……四人とも自分が欲しいって顔してないし、とりあえず受け取っておくか。
これで盗賊団の件に関しては伝え終り、今回の話はハンターギルド側にも伝わった。
俺らの名前とか立場に関しては伏せて考慮してくれたようだ。
「本当にありがとう。君達には心の底から感謝している」
「いえいえ、俺たちは偶々襲われただけなんで」
「だとしても、普通はアジトを壊滅しようとは思ないはず」
そ、そうか?
俺たちはその普通に当てはまらないからな……何とも言えないな。
「それを考えると、偶々君達を襲った下っ端たちにはほんの少しぐらい感謝しても良いかもしれない」
エリサさんの言う通り、最初に襲ってきたあいつらが偶々俺たちに狙いを定めなかったら、俺らはそいつらのアジトを潰そうとは思わなかった。
それは間違いない事実だな。
なるべく早く実家に着こうと思って移動してたし。
「とにかく、ラガス君たちのお陰で私は救われた。本当に……ありがとう」
「ど、どういたしまして。その……今回は俺たちが関わったから良かったですけど、もし気が向いたら一緒に旅をするメンバーを探してみてください」
「そうだな……考えておくよ」
お別れの挨拶を交し、エリサさんとは街中で別れた。
あの「考えておくよ」って言葉は「行けたら行くよ」っていう絶対に行かないパターンの言葉ではない……はず。
「良い助言でしたね、ラガス坊ちゃま」
「……強くてもさ、やっぱり旅をするのは色々と危険が付き纏うだろ」
今回は盗賊に捕まってしまったエリサさんだけど、ある程度の実力は持っている。
それでも、数の力に負けて捕まってしまった。
けど、仲間がいれば勝てなくてもそうった状況からは逃げられたはず。
それを考えるとやっぱり仲間ってのは偉大だよ。
「そういうのを考えると、一人じゃなくて信頼出来る仲間と行動した方が良いと思うんだけど……間違ってないよな」
「えぇ、間違っていませんよ」
この後、泊った宿でエリサさんとバッタリ会ってしまった……なんてオチはなく、翌日には街を出て再び実家に向かって走り出した。
「何してるって……街に入るから列に並ぶんだよ」
「その必要は、ない」
「??」
セルシアが列に並ばず門兵のところに行こうとするので、とりあえず付いて行く。
「私はロウレット公爵の五女、セルシア・ロウレット」
そう言いながら家紋が入った短剣を見せた。
「ッ!!! 少々お待ちくださいませ!!」
門兵は慌てて詰所? に行くと直ぐに戻ってきた。
「失礼します」
あれは……鑑定付きのモノクルか。
俺も同じ物持ってるわ。質が同じかは知らないけど。
鑑定のスキルを持ってる人は貴重だし、鑑定の効果を持つマジックアイテムがないと真偽を調べられないんだろうな。
「……確認させていただきました。直ぐに中へ「ちょっと待って」?」
俺たちが順番を待たずに中へ入りたいと思ってると判断したんだろうな。
そりゃ順番なんて待たずには入れればそれに越したことはないけど、別に並ぶのが嫌になるとの人数が並んでる訳じゃない。
「道中で盗賊に、襲われた。その際に、アジトを潰した。その証明物が、ある」
「な、なるほど。そういうことでしたか。それではこちらへ」
この場で生首を出すわけにはいかず、門兵たちが待機している部屋案内され、亜空間の中からのオルバ頭を取り出し、テーブルに置いた。
「こいつが盗賊団の団長、オルバです」
「……た、確かにそのようですね。少々お待ちください、直ぐに報奨金を用意します」
やっぱり懸賞金が掛かってたんだな。
それなりに実力はあったし、団員もまぁ…………うん、ただのチンピラって感じではなかった。
「お待たせしました。こちらが報奨金の金貨七十枚になります」
「ッ!?」
えっ……ちょ、ちょっと多くないか。
あいつらがそれなりの戦力を持っていたとは思うけど、金貨七十枚って相当だぞ。
「ラガス」
「ん?」
「はい」
……これは、俺が受け取れって言ってるんだよな。
ぶっちゃけオルバを殺したのはシュラやキリアさん、ルーンとメリルなんだけど……四人とも自分が欲しいって顔してないし、とりあえず受け取っておくか。
これで盗賊団の件に関しては伝え終り、今回の話はハンターギルド側にも伝わった。
俺らの名前とか立場に関しては伏せて考慮してくれたようだ。
「本当にありがとう。君達には心の底から感謝している」
「いえいえ、俺たちは偶々襲われただけなんで」
「だとしても、普通はアジトを壊滅しようとは思ないはず」
そ、そうか?
俺たちはその普通に当てはまらないからな……何とも言えないな。
「それを考えると、偶々君達を襲った下っ端たちにはほんの少しぐらい感謝しても良いかもしれない」
エリサさんの言う通り、最初に襲ってきたあいつらが偶々俺たちに狙いを定めなかったら、俺らはそいつらのアジトを潰そうとは思わなかった。
それは間違いない事実だな。
なるべく早く実家に着こうと思って移動してたし。
「とにかく、ラガス君たちのお陰で私は救われた。本当に……ありがとう」
「ど、どういたしまして。その……今回は俺たちが関わったから良かったですけど、もし気が向いたら一緒に旅をするメンバーを探してみてください」
「そうだな……考えておくよ」
お別れの挨拶を交し、エリサさんとは街中で別れた。
あの「考えておくよ」って言葉は「行けたら行くよ」っていう絶対に行かないパターンの言葉ではない……はず。
「良い助言でしたね、ラガス坊ちゃま」
「……強くてもさ、やっぱり旅をするのは色々と危険が付き纏うだろ」
今回は盗賊に捕まってしまったエリサさんだけど、ある程度の実力は持っている。
それでも、数の力に負けて捕まってしまった。
けど、仲間がいれば勝てなくてもそうった状況からは逃げられたはず。
それを考えるとやっぱり仲間ってのは偉大だよ。
「そういうのを考えると、一人じゃなくて信頼出来る仲間と行動した方が良いと思うんだけど……間違ってないよな」
「えぇ、間違っていませんよ」
この後、泊った宿でエリサさんとバッタリ会ってしまった……なんてオチはなく、翌日には街を出て再び実家に向かって走り出した。
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