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小言では意味無い

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「全く、あなたはもう少しラガス坊ちゃまの従者だということを意識しなさい」

「分かった、分かった。もう分かったから、これ以上言わなくても大丈夫だっての」

「いいえ、シュラ……あなたに小言程度の説教では、絶対に同じ事を繰り返します」

あぁ~~~~あ。シュラのやつ、こってり絞られてるな。

主人の俺としては、たかが数分ぐらいバトルを楽しんでても良いんだけど……まっ、それなら俺も楽しむ機会をくれよとは思うけど。

ただ、ここでシュラを庇ったら従者として間違っていないメリルの立場がないからな……シュラ、悪いがもうしばらくメリルの説教を受けててくれ。

「従者は主人に似る可能性があると聞きますが、シュラは見事にその例にはまってしまった様ですね」

確かにそうかもしれないな。
実戦でのバトルが好きなのは俺も同じだ。

メリルも偶に笑ってる時があるから、悪くないとは思ってる気がするんだが……俺とシュラに比べたら、その気持ちは小さいか。

……ん? ちょっと待てよ。
今のメリルの言葉、若干俺を馬鹿にしてないか??

「なぁ、メリル。それって……俺のこと馬鹿にしてないか」

「いえ、そんなことはありませんよ。ラガス坊ちゃまは闘争心が強いですが、それを抑える冷静さを持っています。シュラとはまた別です」

「お、おう……そうか」

闘争心が強いというか、基本的にバチバチに戦うのは好きだな。
でも、そんなに冷静さ? は持ってないような……もしかして、過去に参加したパーティーでの出来事を言ってるのか?

確かにあの時はアホ共から絡んでくるのを防ぐために、魔弾に隠蔽の効果を付与して沈めたな。
絡まれる前に沈めるってのが冷静さなら……一応そういう部分はあるってことか。

「なぁ、ルーフェイス。俺って冷静な部分があると思うか」

『ん~~~~……どうだろ? そういう部分もあるんじゃないかな』

ルーフェイスは言葉を誤魔化す様な性格じゃないし、そういうなら俺にも少しはそういう部分はあるのか。

「セルシアはどう思う」

「……自分から、喧嘩は売らない。だから、冷静な部分は、ある。と、思う」

「そうか。ありがとな」

なるほどね。
そう言われてみれば、あんまり自分から喧嘩を売ったことはなかったかもしれないな。

なんだかんだで相手側から絡んできて、挑発することはあっても切っ掛けは向こうだもんな。

……あっ、でもイーリスが相手の時はちょっとイライラしてたか。
あいつのお父さん、リザード公爵からイーリスと婚約しないかって誘われた時はマジでビックリした。

なんとなくそうくるかとは思てても、父親であるリザード公爵から言われるとな……キッチリ断ったから、もうあいつと関わるのは大会だけかと思うけど。

なんてことを考えながら日が落ちるまでできる限り進み、立ち寄った街の宿に泊まった。
別に野宿でも良かったんだが、従者四人が「街に寄れるのであれば、宿に泊まるのが最善」て言われたからな。

「はぁ~~~~。にしても、今日はあんまり疲れてないな……どうせベッドに入れば寝れると思うけど」

既に夕食を食べ終わり、街の大浴場で体を洗ったので、後は寝るだけ。
ただ、結局街に着くまで一回もモンスターと戦わなかった。

それが当たり前といえば当たり前かもしれないけど……やっぱり退屈だったな。
セルシアもちょっと退屈そうな顔してたし、明日メリルに頼んで丁度良い相手と戦わせてもらおう。

四人とも主人に戦わせる訳にはいかないって従者らしい気持ちがあるんだろうけど、その主人がストレスを溜めこむのも良くない筈!!!

そして翌日……結局昼間まで大した敵が襲ってくることはなく、ただただ走って汗を流すだけ。
こりゃ実家に着くまで退屈な日々が続きそうだ。

なんて考えてると、ちょっと頭から抜けていた出来事が起きた。
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