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できれば全員と仲良くしたい
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「ラガス坊ちゃま、今更ですが……馬車で移動しなくても良かったのですか?」
「別に良いだろ。思ったよりも熱くないし」
「確かにラガス坊ちゃまの水弾のお陰で涼しいですが」
国王様に第三王子の件を報告し終えた翌日、セルシアたちと一緒に実家に向かい始めた。
まだバリバリ夏だから少々暑いが、魔力操作をそれなりに極めた水弾を霧状にしたものを全員に纏わせながら走っている。
「俺は走ってる方が気持ち良いんで、このままで良いっすけどね」
「シュラはスタミナバカですからね」
「なんだよそれ。メリルだってスタミナはそこら辺の奴に負けてないだろ」
実家まで全速力で移動はしていない。
身体強化のスキルなども使っておらず、体に魔力や闘気を纏っていない。
それでもそれなりの身体能力を持ってるから、馬車で進むより速いまである。
「そうかもしれませんが、シュラほど多くありません」
「そんなこと言いながら、全く汗かいてないじゃん」
「それはラガス坊ちゃまが水弾で涼しくさせてくれているからですよ。まぁ、このメンバーであれば大抵の敵は撃退できると思いますが」
それはそうだろうな。
俺やセルシア、その従者たちもかなりの強さを持っているが、そこに狼竜であるルーフェイスがいる。
現在は体力節約の為にキリアさんを背中に乗せて走っている。
相変わらず学園に居る時よりも外で走ってる時の方が楽しそうだな。
「それなら、こうやって走って移動してても問題無いだろ。烏合の衆であれば、魔弾だけで十分だし」
「そうでしたね。えぇ、勿論分かっておりますよ。ラガス坊ちゃまの手に掛かれば雑魚がいくら集まろうとも雑魚は雑魚でしかないということは」
「お、おぅ……ま、お前たちに迷惑は掛けないからさ」
貴族の令息や令嬢が実家に帰るのに護衛を雇わないのはアホ過ぎると思われるかもしれないが、俺からすれば金の無駄遣いだ。
ゴブリンやコボルトの群れぐらいであれば、魔弾だけでなんとか出来る。
あんまり来られると後処理が面倒だけど。
「何を言ってるんですか。もしラガス坊ちゃまやセルシア様に襲い掛かるような愚か者がいれば、始末するのは私たちの仕事です。お二人はゆっくりのんびりしていてください」
「メリルの言う通りっすよ、お二人共。俺たちの仕事はお二人を守ることなんすから」
「そりゃそうだが……ま、善処するよ。なっ、セルシア」
「そう、ね。なるべく、善処する、わ」
四人ともそんな呆れた顔するなって。
仕方ないじゃん。走ることは体を動かすことにはなるけど、やっぱり実戦で体を動かしたいと思うところがあるんだ。
それはセルシアも同じ。
だから適当な相手が現れれば、少しぐらいは俺たちも戦いたい。
「ねぇ、ラガス。あなたの実家に、行った後。本当に、私の実家にも来るのよ、ね」
「あぁ、勿論行くぞ。だって……ほら、俺はセルシアのパートナーになったわけだし、しっかり挨拶はしておかないと駄目だろ」
確かにセルシアが既に手紙を送っていた。
ここでやっぱり行けませんなんて伝えたら、絶対に心証が悪くなる。
義理の家族になるかもしれない方達だから、そうなるのだけは避けたい。
「そう、ね。そう思ってくれてるのは、嬉しい。お父様も、凄く楽しみにしてる」
「そ、そうか。それは俺も嬉しいよ」
少なくとも、一人は俺がそちらに向こうことを歓迎してくれてるのは嬉しい。
これは本音だ。
セルシアやロウレット公爵は俺に好意的だが、公爵家の人間全員が俺に好意的とは限らないからな。
中には男爵家の四男である俺のことを、あまり良く思ってない人がいるかもしれない。
それはこの世界じゃ仕方ないのかもしれないけど……できれば全員と仲良くしたいんだよね。
「……ッ! ラガス坊ちゃまとセルシア様はそこから動かないように」
グレーグリズリーか。
実戦の相手としては悪くないんだが……完璧に出遅れたし、後ろで観戦しておくか。
「別に良いだろ。思ったよりも熱くないし」
「確かにラガス坊ちゃまの水弾のお陰で涼しいですが」
国王様に第三王子の件を報告し終えた翌日、セルシアたちと一緒に実家に向かい始めた。
まだバリバリ夏だから少々暑いが、魔力操作をそれなりに極めた水弾を霧状にしたものを全員に纏わせながら走っている。
「俺は走ってる方が気持ち良いんで、このままで良いっすけどね」
「シュラはスタミナバカですからね」
「なんだよそれ。メリルだってスタミナはそこら辺の奴に負けてないだろ」
実家まで全速力で移動はしていない。
身体強化のスキルなども使っておらず、体に魔力や闘気を纏っていない。
それでもそれなりの身体能力を持ってるから、馬車で進むより速いまである。
「そうかもしれませんが、シュラほど多くありません」
「そんなこと言いながら、全く汗かいてないじゃん」
「それはラガス坊ちゃまが水弾で涼しくさせてくれているからですよ。まぁ、このメンバーであれば大抵の敵は撃退できると思いますが」
それはそうだろうな。
俺やセルシア、その従者たちもかなりの強さを持っているが、そこに狼竜であるルーフェイスがいる。
現在は体力節約の為にキリアさんを背中に乗せて走っている。
相変わらず学園に居る時よりも外で走ってる時の方が楽しそうだな。
「それなら、こうやって走って移動してても問題無いだろ。烏合の衆であれば、魔弾だけで十分だし」
「そうでしたね。えぇ、勿論分かっておりますよ。ラガス坊ちゃまの手に掛かれば雑魚がいくら集まろうとも雑魚は雑魚でしかないということは」
「お、おぅ……ま、お前たちに迷惑は掛けないからさ」
貴族の令息や令嬢が実家に帰るのに護衛を雇わないのはアホ過ぎると思われるかもしれないが、俺からすれば金の無駄遣いだ。
ゴブリンやコボルトの群れぐらいであれば、魔弾だけでなんとか出来る。
あんまり来られると後処理が面倒だけど。
「何を言ってるんですか。もしラガス坊ちゃまやセルシア様に襲い掛かるような愚か者がいれば、始末するのは私たちの仕事です。お二人はゆっくりのんびりしていてください」
「メリルの言う通りっすよ、お二人共。俺たちの仕事はお二人を守ることなんすから」
「そりゃそうだが……ま、善処するよ。なっ、セルシア」
「そう、ね。なるべく、善処する、わ」
四人ともそんな呆れた顔するなって。
仕方ないじゃん。走ることは体を動かすことにはなるけど、やっぱり実戦で体を動かしたいと思うところがあるんだ。
それはセルシアも同じ。
だから適当な相手が現れれば、少しぐらいは俺たちも戦いたい。
「ねぇ、ラガス。あなたの実家に、行った後。本当に、私の実家にも来るのよ、ね」
「あぁ、勿論行くぞ。だって……ほら、俺はセルシアのパートナーになったわけだし、しっかり挨拶はしておかないと駄目だろ」
確かにセルシアが既に手紙を送っていた。
ここでやっぱり行けませんなんて伝えたら、絶対に心証が悪くなる。
義理の家族になるかもしれない方達だから、そうなるのだけは避けたい。
「そう、ね。そう思ってくれてるのは、嬉しい。お父様も、凄く楽しみにしてる」
「そ、そうか。それは俺も嬉しいよ」
少なくとも、一人は俺がそちらに向こうことを歓迎してくれてるのは嬉しい。
これは本音だ。
セルシアやロウレット公爵は俺に好意的だが、公爵家の人間全員が俺に好意的とは限らないからな。
中には男爵家の四男である俺のことを、あまり良く思ってない人がいるかもしれない。
それはこの世界じゃ仕方ないのかもしれないけど……できれば全員と仲良くしたいんだよね。
「……ッ! ラガス坊ちゃまとセルシア様はそこから動かないように」
グレーグリズリーか。
実戦の相手としては悪くないんだが……完璧に出遅れたし、後ろで観戦しておくか。
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