万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

文字の大きさ
上 下
457 / 989

その女ではなく

しおりを挟む
「それで、国王様。一つ自分から、今回の件とは関係ありませんが一つ提案があります」

「ほぅ……面白そうだな。是非とも聞かせてほしい」

まだ何も言ってないのに面白いと決めつけられるのは困るんだが……まぁ、良いか。
多分考えてる通り、面白いことではありそうだし。

「ガルガント王国とアルガ王国の二か国で、大会を行うのはどうでしょうか」

「……それは、今回の一件で少々罅が入った関係を修復するための親善試合……という訳ではなさそうだな」

「はい。今回の件に関して俺はもうそこまで気にしていません」

「私も、もう……気にしてません」

本当かい、セルシアさんや?
未だに見つけたら斬ってやりたいって顔してるけど……とりあえず、俺たちの目の前に現れなければ大丈夫そうか。

「生徒たちに国内で行われる大会ではなく、他に有力者に己の力をアピール出来る場所があればと思いまして」

「なるほど、確かに生徒たちにとっては良い機会だ……ただ、本当にそれだけか?」

うっ……やっぱり俺がこういうことを進言すれば、他に何か考えてるんじゃないかと疑われるよな。
でも、別にそんな怪しいことは企んでない。

「向こうに滞在してた時、第三王子の同級生と模擬戦をしていました」

「あぁ、そうらしいな。結果は殆どラガス君たちが勝利したらしいじゃないか」

「え、えぇ。一応そうですね」

本当にバッチリ情報は伝わってるみたいだな。

「ただ、それでも向こう側の生徒たちが持つ実力には感心しました」

「こちらと同じぐらいの実力を持っているということか? いや、それはあり得ないか。ラガス君に勝てる学生はこの世にいないだろうからな」

「お褒め言葉ありがとうございます。しかし、それでも向こうの生徒たちと戦う機会があれば……是非大きな舞台で戦ってみたいと感じました」

アルガ王国の生徒たちのトップクラスはどれぐらいの実力を持っているのか。
二年生、三年生になれば当然実力は上がる。

本当のトップクラスはどれぐらい強いのか……なんだかんだで戦うのは好きだからな。
イーリスみたいな面倒な奴は嫌いだけど。

「それに、自分やセルシアが在学している最中に大会を行えば……こちら側が圧倒出来るのは眼に見えています」

「……ふ、ふふふ。君は本当に面白い。ただ熱いだけではなく、客観的な視点も持っている。確かにラガス君、そしてセルシア君が持つ実力は三年生にすら勝る」

「国王様、一つ進言させていただきます。こちらの主力メンバーには、必ずもう一人……勝利をもたらすであろう生徒がいます」

「ふむ、その様な一年生がいたか? もしやリザード家の令嬢であるイーリス君のことか?」

「えっ、いや……ま、まぁそうですね。遠距離戦であればあいつもトップクラスの実力を持ってるので、並みの相手であれば完全に圧倒出来ると思います。ただ、自分が主戦力になると考えている生徒は他にもいます」

遠距離攻撃だけであれば、確かにあの面倒女……いや、もしかしてメンヘラ女?
セルシアに対してかなり意識してるっぽいから、本当にメンヘラか?

じゃなくて、今はそんなことどうでも良いんだよ。
アサルトタイガーファングとかを考えれば実力は超一級だが、接近戦であれば不安が残る。

「その人は、私に近い実力を、持ってます……いえ、真剣勝負なら、どうなるか分かりません」

「ほほぅ~~~、セルシア君がそこまで言う人物がいたのか。大会には出ていなかったが、短期間で急成長したということか」

……随分と評価してたんだな。
あいつの努力と決闘を観てたから、そうなるのは当然か。

模擬戦であればセルシアの方に分がありそうだが、確かに真剣勝負となれば……どっちかが勝つか分からないな。

「色々事情がありましたが、自分たちがまだ残っている代に大会を開催できれば、ガルガント王国に多数の勝利を捧げることができます」
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

処理中です...