上 下
453 / 950

俺だからこそ出来る

しおりを挟む
「悪い顔になってますよ、ラガス坊ちゃま」

「そりゃ悪い顔にもなるだろ。挑発してきた奴を好きなだけ殴れるんだからな」

観客の反応を考えると時間制限はあるが、速攻で終わらせる必要はない。

「でもラガスさん、相手が遠距離攻撃がメインの相手だったらどうするんっすか?」

「おい、シュラ。俺のメイン武器がなんなのか忘れたのか」

「……あっ、そうだったっすね」

こいつ、ちょっと迷ったな。
どう考えても俺のメイン武器は魔弾だって印象が強いと思うんだが……まぁ、それ以外の武器もそれなりに使えると思われてるってことか。

「接近戦ができない相手には、魔弾で攻める……ラガス坊ちゃまらしい攻め方ですね」

「魔弾に関しては、やろうと思えば基本的に誰でも出来るさ。ただ、相手にバレないように回復するってのは難しいだろうけどな」

回復魔法って飛ばすことできたっけ?
出来たとしても、相手の狙いが分かったら普通は回避するよな。

それに狙いが観客たちにバレたらこっちがブーイングを食らいそうだ。
それはちょっと避けたいところ。

でも……俺は回復弾を見えなくすることが出来る。

「ふふ、ラガス坊ちゃまにしか出来ない制裁、ですね」

「何かしらの道具やアビリティを使えば出来るかもしれないが、一人では無理だろうな」

攻撃しながら敵を回復させる……どう考えても、一人じゃ出来ない制裁方法だ。
あんまり相手をいたぶるような真似はしたくないけど……そうされても文句言えない奴が相手なら、長時間ボコボコにしても良いよな。

「羨ましいっす。俺もバレないように相手を回復するような手段があれば、ラガスさんの様に挑発してきた野郎を潰せるのに」

「……シュラの場合、回復できるからって加減をミスって一発ノックアウトしそうだよな」

「どうかんですね。力加減を間違えて制裁を加える前に終わらせてしまいますね」

「うっ!! も、もう少し力加減を覚えるっす」

全く出来ないという訳ではないんだけどな……普段もちょいちょいミスる時があるからな。
俺やメリル相手にミスっても良いんだけど、他の執事やメイド相手にミスると絶対に病院送り……ボコボコにする前に風穴開けちゃってもおかしくない拳を持ってるからな。

とりあえず、ガルガント王国と合同で行う大会を……加えて、その大会に執事とメイド枠をつくることを宣言する。
それは確定した。

そして夕食を食べ終えた後、セルシアが俺の部屋にやって来た。

「ティール、本当に……二か国が合同で行う大会を、提案するの、ね」

「あぁ、二人に執事とメイド枠も作れって言われたからな」

国王様にそれを提案すると、夕食時に話した。
三人とも驚いてたな。

「そう……ふふ、楽しみね」

「まぁ、そうだな。ちょっと楽しみではある。でも、セルシアは俺と同じ様に対戦相手にはある程度手加減しろって、上から言われるかもしれないぞ」

「そう、かしら? 私はラガスほど、強くない」

「まだ俺の方が上なのは確かだな。それでも、セルシアは他の奴らと比べれば圧倒的に上だ。三年生を含めても実力はトップクラスだろ」

もしかして、俺が隣にいるからセルシアは自分の実力を過小評価しがちになってるのか?
そんなことしてたら、他の一年生からちょっとブーイングを飛ばされそうだけどな。

「……その大会には、学年関係無く参加する、のでしょ」

「そ、そうだな……そうした方が良さそうだな」

別に一年生、二年生三年生って分けても良さそうだが、それだと大会を終わらせるまで時間がそれなりに長くなりそうだし……いや、観客的には多くの試合を見れて逆に良いのか?

そこら辺は仮に、仮に開催するとしたら国王様たちに決めてもらうか。

「そこら辺がどうなるかはちょっと分からないけど、とにかくセルシアが強いことに変わりはない」

「私の実力を、評価してくれるのは、凄く嬉しい。けれど、やっぱり手加減しなきゃダメなのは、ラガスだけ。だと思う、よ」

む、そう……なのか?
確かに学生の枠には収まらない力を持ってるのは自覚してるが……まっ、力を抑えて戦うのは慣れてる。

そんなに気にする必要はないだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

処理中です...