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俺だからこそ出来る

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「悪い顔になってますよ、ラガス坊ちゃま」

「そりゃ悪い顔にもなるだろ。挑発してきた奴を好きなだけ殴れるんだからな」

観客の反応を考えると時間制限はあるが、速攻で終わらせる必要はない。

「でもラガスさん、相手が遠距離攻撃がメインの相手だったらどうするんっすか?」

「おい、シュラ。俺のメイン武器がなんなのか忘れたのか」

「……あっ、そうだったっすね」

こいつ、ちょっと迷ったな。
どう考えても俺のメイン武器は魔弾だって印象が強いと思うんだが……まぁ、それ以外の武器もそれなりに使えると思われてるってことか。

「接近戦ができない相手には、魔弾で攻める……ラガス坊ちゃまらしい攻め方ですね」

「魔弾に関しては、やろうと思えば基本的に誰でも出来るさ。ただ、相手にバレないように回復するってのは難しいだろうけどな」

回復魔法って飛ばすことできたっけ?
出来たとしても、相手の狙いが分かったら普通は回避するよな。

それに狙いが観客たちにバレたらこっちがブーイングを食らいそうだ。
それはちょっと避けたいところ。

でも……俺は回復弾を見えなくすることが出来る。

「ふふ、ラガス坊ちゃまにしか出来ない制裁、ですね」

「何かしらの道具やアビリティを使えば出来るかもしれないが、一人では無理だろうな」

攻撃しながら敵を回復させる……どう考えても、一人じゃ出来ない制裁方法だ。
あんまり相手をいたぶるような真似はしたくないけど……そうされても文句言えない奴が相手なら、長時間ボコボコにしても良いよな。

「羨ましいっす。俺もバレないように相手を回復するような手段があれば、ラガスさんの様に挑発してきた野郎を潰せるのに」

「……シュラの場合、回復できるからって加減をミスって一発ノックアウトしそうだよな」

「どうかんですね。力加減を間違えて制裁を加える前に終わらせてしまいますね」

「うっ!! も、もう少し力加減を覚えるっす」

全く出来ないという訳ではないんだけどな……普段もちょいちょいミスる時があるからな。
俺やメリル相手にミスっても良いんだけど、他の執事やメイド相手にミスると絶対に病院送り……ボコボコにする前に風穴開けちゃってもおかしくない拳を持ってるからな。

とりあえず、ガルガント王国と合同で行う大会を……加えて、その大会に執事とメイド枠をつくることを宣言する。
それは確定した。

そして夕食を食べ終えた後、セルシアが俺の部屋にやって来た。

「ティール、本当に……二か国が合同で行う大会を、提案するの、ね」

「あぁ、二人に執事とメイド枠も作れって言われたからな」

国王様にそれを提案すると、夕食時に話した。
三人とも驚いてたな。

「そう……ふふ、楽しみね」

「まぁ、そうだな。ちょっと楽しみではある。でも、セルシアは俺と同じ様に対戦相手にはある程度手加減しろって、上から言われるかもしれないぞ」

「そう、かしら? 私はラガスほど、強くない」

「まだ俺の方が上なのは確かだな。それでも、セルシアは他の奴らと比べれば圧倒的に上だ。三年生を含めても実力はトップクラスだろ」

もしかして、俺が隣にいるからセルシアは自分の実力を過小評価しがちになってるのか?
そんなことしてたら、他の一年生からちょっとブーイングを飛ばされそうだけどな。

「……その大会には、学年関係無く参加する、のでしょ」

「そ、そうだな……そうした方が良さそうだな」

別に一年生、二年生三年生って分けても良さそうだが、それだと大会を終わらせるまで時間がそれなりに長くなりそうだし……いや、観客的には多くの試合を見れて逆に良いのか?

そこら辺は仮に、仮に開催するとしたら国王様たちに決めてもらうか。

「そこら辺がどうなるかはちょっと分からないけど、とにかくセルシアが強いことに変わりはない」

「私の実力を、評価してくれるのは、凄く嬉しい。けれど、やっぱり手加減しなきゃダメなのは、ラガスだけ。だと思う、よ」

む、そう……なのか?
確かに学生の枠には収まらない力を持ってるのは自覚してるが……まっ、力を抑えて戦うのは慣れてる。

そんなに気にする必要はないだろう。
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