438 / 989
インパクトは劣るが
しおりを挟む
「分かってはいたけど、メイドのメリルさんも本当に強いね。英才教育? ってものを彼女も受けたのかな」
「俺と一緒にいることが英才教育って言うなら、そうかもしれないな」
別にメリルに教育をしたつもりは全くない。
ただ一緒に訓練してモンスターと戦って……そんな感じの暮らしは長い間続けてきた。
あまり頭が良くないやり方だろうけど、普通じゃない方法で鍛えたら常識外れな力が手に入る……いや、それはちょっと違うか。
そんな方法で鍛えれば、同年代の奴らより何歩も先に進めるって感じだな。
レアードやセリスにも強くなるんだったろこうした方が良いぞ~~って内容を伝えたし、あの二人も他人が見れば俺たちみたいに何度も驚かれる日々を送るんだろうな。
「歳上だから、普通ではない日々を送っているからと理由はあるけど……こう、友達の全く攻撃が通じないのを見るとやっぱり悔しいと思うところがあるね」
「……悔しいって思えるのは、まだ強くなれる証だろ」
漫画のキャラがそんなことを言ってた気がする。
その考えは間違っていない。
向上心が全くないなら、そもそも悔しいという感情が湧かない。
自分より強い奴、才能がある奴、努力をしている人を見て悔しいと感じ、自分も負けてられないと前を向く。
そういう奴は強くなれる……この目でそういう人たちを見たことがあるからこそ、間違ってないと断言出来る。
「そう、だね……ラガス君やシュラさん、メリルさんにセルシアさんの強さを見ても、諦めようとは思わない」
「良いことだ。それに比べて……あの第三王子はフォロスみたいに前を向いて進む気持ちはなさそうだよな」
「ど、どうだろうね。ブリットもそれなりに努力はする方だと思うけど」
王族なんだからよっぽどゴミ・オブ・クズじゃなかったらそれなりに努力はするだろうけど、俺と戦う時に身に着けていたあの装備の数々思い出すとちょっとな……フォロスが言うほど良い奴には思えない。
本当に努力していて、自分の強さに対してバックボーンがあるなら、精々高品質なマジックアイテムを身に付けるのは武器のみ。
それだけだったら特に何も思うところはなかった。
俺だって竜魔法っていう常人が習得するのは殆ど不可能なレアスキルを使った。
けど、本当に惚れた人の気を惹きたいのか目を覚まさせてやりたかったのか分からないが、あれだけガチガチにマジックアイテムを纏って焦眉に挑むのは……超チキン野郎としか思えない。
「本当に自分の力に自信があって、惚れた女の前で良いところを見せたいなら、道具に頼らず戦うのが普通だろ?」
バカ王子がどれだけ騒いだところで、俺とセルシアのパートナー関係を切ることは出来ない。
それは王族であっても無理なんだが……さすがにそれは理解していたよな?
「まぁ……うん、そうだね。ラガス君の言う通りだ。でも、ブリットがセルシアさんのことが好きだったのは事実だよ。相応しい男になるって言いながら訓練してたし」
「そうなのか? それだけ聞けば真面目に頑張ってるなとは思うけど」
いや、でも俺がセルシアとパートナーの関係になるまでは確かジークの奴と婚約関係だったよな……えっ、もしかして略奪する気満々だったのか?
それともその件に関しては全く知らなかった?
その可能性がゼロとは言えないけど……パートナー関係になった男女が見つかったって情報よりはインパクトが小さいかもしれないが、侯爵家の令息と公爵家の令嬢が結婚したって話題もそれなりにインパクトあるよな。
ということは、普段は模範的な王族なのかもしれないけど、裏の顔はマジでヤバい奴だな。
「ただ、今回の一件でかなりボコボコにしたけど……立ち直れると思うか?」
別に心配はしてない。
ただ、フォロスがそれとなく褒めるので、もしかしたらあの状態から立ち直るのか多少気になる。
「それはちょっと分からないかな。ブリットが挫折を味わった経験は聞いたことがないから……立ち直れるから否かはブリットの気持ち次第だね」
そうか、ならどう考えても立ち直れないだろうな。
ボコボコにされたのにプラスして一部毛がボーボーになり、一部はツルツルになるから。
「俺と一緒にいることが英才教育って言うなら、そうかもしれないな」
別にメリルに教育をしたつもりは全くない。
ただ一緒に訓練してモンスターと戦って……そんな感じの暮らしは長い間続けてきた。
あまり頭が良くないやり方だろうけど、普通じゃない方法で鍛えたら常識外れな力が手に入る……いや、それはちょっと違うか。
そんな方法で鍛えれば、同年代の奴らより何歩も先に進めるって感じだな。
レアードやセリスにも強くなるんだったろこうした方が良いぞ~~って内容を伝えたし、あの二人も他人が見れば俺たちみたいに何度も驚かれる日々を送るんだろうな。
「歳上だから、普通ではない日々を送っているからと理由はあるけど……こう、友達の全く攻撃が通じないのを見るとやっぱり悔しいと思うところがあるね」
「……悔しいって思えるのは、まだ強くなれる証だろ」
漫画のキャラがそんなことを言ってた気がする。
その考えは間違っていない。
向上心が全くないなら、そもそも悔しいという感情が湧かない。
自分より強い奴、才能がある奴、努力をしている人を見て悔しいと感じ、自分も負けてられないと前を向く。
そういう奴は強くなれる……この目でそういう人たちを見たことがあるからこそ、間違ってないと断言出来る。
「そう、だね……ラガス君やシュラさん、メリルさんにセルシアさんの強さを見ても、諦めようとは思わない」
「良いことだ。それに比べて……あの第三王子はフォロスみたいに前を向いて進む気持ちはなさそうだよな」
「ど、どうだろうね。ブリットもそれなりに努力はする方だと思うけど」
王族なんだからよっぽどゴミ・オブ・クズじゃなかったらそれなりに努力はするだろうけど、俺と戦う時に身に着けていたあの装備の数々思い出すとちょっとな……フォロスが言うほど良い奴には思えない。
本当に努力していて、自分の強さに対してバックボーンがあるなら、精々高品質なマジックアイテムを身に付けるのは武器のみ。
それだけだったら特に何も思うところはなかった。
俺だって竜魔法っていう常人が習得するのは殆ど不可能なレアスキルを使った。
けど、本当に惚れた人の気を惹きたいのか目を覚まさせてやりたかったのか分からないが、あれだけガチガチにマジックアイテムを纏って焦眉に挑むのは……超チキン野郎としか思えない。
「本当に自分の力に自信があって、惚れた女の前で良いところを見せたいなら、道具に頼らず戦うのが普通だろ?」
バカ王子がどれだけ騒いだところで、俺とセルシアのパートナー関係を切ることは出来ない。
それは王族であっても無理なんだが……さすがにそれは理解していたよな?
「まぁ……うん、そうだね。ラガス君の言う通りだ。でも、ブリットがセルシアさんのことが好きだったのは事実だよ。相応しい男になるって言いながら訓練してたし」
「そうなのか? それだけ聞けば真面目に頑張ってるなとは思うけど」
いや、でも俺がセルシアとパートナーの関係になるまでは確かジークの奴と婚約関係だったよな……えっ、もしかして略奪する気満々だったのか?
それともその件に関しては全く知らなかった?
その可能性がゼロとは言えないけど……パートナー関係になった男女が見つかったって情報よりはインパクトが小さいかもしれないが、侯爵家の令息と公爵家の令嬢が結婚したって話題もそれなりにインパクトあるよな。
ということは、普段は模範的な王族なのかもしれないけど、裏の顔はマジでヤバい奴だな。
「ただ、今回の一件でかなりボコボコにしたけど……立ち直れると思うか?」
別に心配はしてない。
ただ、フォロスがそれとなく褒めるので、もしかしたらあの状態から立ち直るのか多少気になる。
「それはちょっと分からないかな。ブリットが挫折を味わった経験は聞いたことがないから……立ち直れるから否かはブリットの気持ち次第だね」
そうか、ならどう考えても立ち直れないだろうな。
ボコボコにされたのにプラスして一部毛がボーボーになり、一部はツルツルになるから。
65
お気に入りに追加
3,501
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

傍観している方が面白いのになぁ。
志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」
とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。
その彼らの様子はまるで……
「茶番というか、喜劇ですね兄さま」
「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」
思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。
これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。
「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる