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インパクトは劣るが

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「分かってはいたけど、メイドのメリルさんも本当に強いね。英才教育? ってものを彼女も受けたのかな」

「俺と一緒にいることが英才教育って言うなら、そうかもしれないな」

別にメリルに教育をしたつもりは全くない。
ただ一緒に訓練してモンスターと戦って……そんな感じの暮らしは長い間続けてきた。

あまり頭が良くないやり方だろうけど、普通じゃない方法で鍛えたら常識外れな力が手に入る……いや、それはちょっと違うか。

そんな方法で鍛えれば、同年代の奴らより何歩も先に進めるって感じだな。

レアードやセリスにも強くなるんだったろこうした方が良いぞ~~って内容を伝えたし、あの二人も他人が見れば俺たちみたいに何度も驚かれる日々を送るんだろうな。

「歳上だから、普通ではない日々を送っているからと理由はあるけど……こう、友達の全く攻撃が通じないのを見るとやっぱり悔しいと思うところがあるね」

「……悔しいって思えるのは、まだ強くなれる証だろ」

漫画のキャラがそんなことを言ってた気がする。
その考えは間違っていない。

向上心が全くないなら、そもそも悔しいという感情が湧かない。
自分より強い奴、才能がある奴、努力をしている人を見て悔しいと感じ、自分も負けてられないと前を向く。

そういう奴は強くなれる……この目でそういう人たちを見たことがあるからこそ、間違ってないと断言出来る。

「そう、だね……ラガス君やシュラさん、メリルさんにセルシアさんの強さを見ても、諦めようとは思わない」

「良いことだ。それに比べて……あの第三王子はフォロスみたいに前を向いて進む気持ちはなさそうだよな」

「ど、どうだろうね。ブリットもそれなりに努力はする方だと思うけど」

王族なんだからよっぽどゴミ・オブ・クズじゃなかったらそれなりに努力はするだろうけど、俺と戦う時に身に着けていたあの装備の数々思い出すとちょっとな……フォロスが言うほど良い奴には思えない。

本当に努力していて、自分の強さに対してバックボーンがあるなら、精々高品質なマジックアイテムを身に付けるのは武器のみ。
それだけだったら特に何も思うところはなかった。

俺だって竜魔法っていう常人が習得するのは殆ど不可能なレアスキルを使った。

けど、本当に惚れた人の気を惹きたいのか目を覚まさせてやりたかったのか分からないが、あれだけガチガチにマジックアイテムを纏って焦眉に挑むのは……超チキン野郎としか思えない。

「本当に自分の力に自信があって、惚れた女の前で良いところを見せたいなら、道具に頼らず戦うのが普通だろ?」

バカ王子がどれだけ騒いだところで、俺とセルシアのパートナー関係を切ることは出来ない。
それは王族であっても無理なんだが……さすがにそれは理解していたよな?

「まぁ……うん、そうだね。ラガス君の言う通りだ。でも、ブリットがセルシアさんのことが好きだったのは事実だよ。相応しい男になるって言いながら訓練してたし」

「そうなのか? それだけ聞けば真面目に頑張ってるなとは思うけど」

いや、でも俺がセルシアとパートナーの関係になるまでは確かジークの奴と婚約関係だったよな……えっ、もしかして略奪する気満々だったのか?

それともその件に関しては全く知らなかった?
その可能性がゼロとは言えないけど……パートナー関係になった男女が見つかったって情報よりはインパクトが小さいかもしれないが、侯爵家の令息と公爵家の令嬢が結婚したって話題もそれなりにインパクトあるよな。

ということは、普段は模範的な王族なのかもしれないけど、裏の顔はマジでヤバい奴だな。

「ただ、今回の一件でかなりボコボコにしたけど……立ち直れると思うか?」

別に心配はしてない。
ただ、フォロスがそれとなく褒めるので、もしかしたらあの状態から立ち直るのか多少気になる。

「それはちょっと分からないかな。ブリットが挫折を味わった経験は聞いたことがないから……立ち直れるから否かはブリットの気持ち次第だね」

そうか、ならどう考えても立ち直れないだろうな。
ボコボコにされたのにプラスして一部毛がボーボーになり、一部はツルツルになるから。
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