上 下
435 / 950

ここには俺たちしかいない

しおりを挟む
「ラガス様、フォロス様たちがお越しになりました」

「分かりました」

手紙を返してから一時間後に第三王子のクラスメートが王城にやって来た。
内容は手合わせなので、直接訓練場に集合。

「はぁ~~……本当に戦われるのですね」

「なんだよ、まだメリルは反対なのか?」

「個人的には反対です。暇を潰すという目的ならば、身内で模擬戦を行えばいいだけですし」

それは間違ってないな。
メリルやシュラ、セルシアにフェリスさん。
ドレッグさんたちもいるし、模擬戦を行うメンバーには困っていない。

でも……なんとなく楽しそうじゃん。
せっかくこっちの流儀というか考え? をくみ取って金まで用意してくれたんだし。

「メリル、俺のバックに誰がいるのかを忘れたのか?」

「……そういえばそうでしたね。それを考えれば、まぁ……今回の件は問題になりませんね」

「だろ」

ドレッグさんたちは……あの様子だと、バックの意味はロウレット公爵家だと思ってそうだな。
実際にガルガント王国一の暗殺ギルド、ディザスターだ。

そんなヤバ過ぎる存在がバックにいれば、他国の貴族に対してそこまで怯える必要はない……と、思う。

「こちらでフォロス様たちがお待ちです」

訓練場に到着して中に入ると四人の令息と令嬢がいた。

一人は……なんとなく雰囲気がジークに似てるな。
でもそれに強い雰囲気持ってるし……もしかしたらバカ王子より強いかもな。

もう一人の男子は結構強気な雰囲気だな。
もしかしてちょっとヤンキー入ってる?
でも、不機嫌オーラは放ってないし……なにより、俺が入って来た瞬間に絡もうとしない。
それを考えれば、普通に常識を持ってるタイプか。

女の子の片方は……ちょっとヤンキーが入ってそうな男の子と同じで、ちょっと気が強そうだな。
てか、実際に強いだろうな。セルシアと良い勝負か?
ん~~~~……いや、それはないか。

最後の子は……シスター? ってイメージが強い子だな。
狼竜眼で視てないから分からないけど、多分光魔法か回復魔法のアビリティを習得してそうだな。
でも……なんとなくだけど、弱い気がしない。
いや、言葉が違うな。接近戦ができない、後ろからの援護や攻撃がメインって感じじゃない……気がする。

「やぁ、初めまして。ラガス君、で良いかな」

「あぁ、構わないよ。フォロス……で良いか?」

直感でフォロスって言ったけど、この優男がフォロスであってるよな?
もしかして向こうのちょっと強面君がフォロス君ってことはないよな???

「勿論構わないよ。あっちのちょっと怖い顔をしている男はガリバー。そっちの子はセーラ。あっちの大人しそうな子はクリスタだよ。おっと、まずはお礼を言わないとね。突然の申し出を受け入れてくれて有難う」

「用事が終わるまで丁度時間があったんだ。だから寧ろ嬉しい申し出だったよ」

「? 用事はブリットとの決闘とかじゃなかったのかい??」

「それは昨日思ったよ。ただ、貰うもの貰うのにちょっと時間が掛かるみたいなんだ」

「そ、そうなんだ……ねぇ、ブリット戦ってみたどうだった?」

あっ、やっぱりそれは気になるんだな。
……ちょっとオブラートに包んだ方が良いのか?

でも事実を知ってる騎士もいるし……そのまんま話しても良いか。

「どれぐらい強いのか確かめる前に終わらせたから、正直強かったかどうか分からなかった。それより、あの第三王子より俺はフォロスの方が強いと思うよ」

「ッ! ……ふふ、そう言ってくれるのは実に光栄だね」

「そうか? 別に王族だからって全員が強いとは限らないだろ。政治とかに特化してる人もいるだろうし」

「……確かにそうなんだろうけど、ラガス君はあれだね。結構怖いもの知らずというか、容赦ないんだね」

そうかな? ここには有難いことに俺たち以外の人間はいない。
誰かが監視してる気配もないし、そこまでぶっ飛んだこと言わなければ大丈夫だろ。

「容赦ないのは否定しないかな。まぁ……とりあえず、体を軽く動かし終えたらやろっか」

「うん、君の強さ……存分に体験させてもらうよ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

処理中です...