万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

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ギリギリ伸ばさなかった

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「こちらに国王様がお待ちです」

ようやくアルガ王国の国王様……イギラス国王が待っている部屋にやって来た。

中に入ると、ソファーに一人の男が座っていた。
この人がイギラス国王か……うちの国の国王様と比べれば、少し線が細いな。

でも、魔力の総量はこっちの方が多い気がする。
もしかしたら魔法に特化した人なのかもしれないな。

「君たちがラガス君とセルシアさんだね。さぁ、座ってくれ」

言われるがままにソファーに腰を下ろす。

メリルたちはソファーの後ろに立ち、いつでも動けるようにしていた。
ただ、向こうも万が一の可能性は想定してたんだろうな。

後ろに立っている二人の騎士がヤバい。
アルガ王国に入ってから同行した騎士も強かったが、その比ではない。

おそらくこの国トップレベルだろうな。
まっ、それでもフェリスさんに敵うとは思えないけど。

「まずは一言、言わせてほしい……申し訳ない、息子の我儘なせいで君たちには迷惑を掛けた」

……思ってもないことを言ってる、ってわけじゃなさそうだな。
心の底から俺たちに悪いことをしたと思ってるんだろう。

良かった。さすがに国王様はまともな人だったみたいだな。

「丁度夏休みが始まる段階でした。ちょっとした旅行だと思えば悪い気分ではありません」

「……ラガスと同意見です」

セルシアさん、ちょっと簡潔に纏め過ぎでは?
無表情なのはいつも通りだけど、不機嫌オーラが俺には見える。

「そう言ってくれると嬉しいよ。ただ、謝罪をするだけで今回の件を済まそうとは思っていない。ラガス君とセルシアさんが望む物を必ず用意しよう」

……ふむ、目の前の国王は話が解るやつみたいだったな。
希望通りの言葉が出てきてくれて良かったよ。

ここで俺たちに詫びの品を用意しないなら、ぶん殴……りはしないが、髪の毛は全て抜ける。それ以外の毛は生えまくる呪弾をぶち込むところだった。

「……私は、雷の細剣が欲しいです。詫びの品というならば、最低ランク七の物を」

セルシアの言葉を聞いた二人の騎士の表情が揺れた。
青筋が浮かぶほどキレてるって感じではないが、少々ダメージを食らったって表情だな。

セルシアは最低ランク七といった。
ここでアルガ王国がランク七の細剣を用意すれば、自分たちは最低限の品しか用意できませんと自分たちの無能さを露呈することになる。

なので、実質アルガ王国はランク八か九の一品を用意しなければならない。
普通ならさすがに要望が大き過ぎると思われる内容だが、自国の王子が隣国の公爵令嬢に迷惑を掛けたのだ。

それぐらいの品を用意出来なければ、自分たちの格を下げる結果になる。

「うむ、分かった。セルシアさんに相応しい一品を用意しよう。ラガス君はどのような者をお望みかな」

「……空間魔法のスキル結晶、ですね」

「「「ッ!!!!!」」」

はっはっは!! やっぱりそういう表情になるよな。
無茶なことを言ってるのは解ってる。

だが、やっぱり欲しい。
実質セルシアが欲する細剣より価値は上かもしれないけど、欲しいな。

そんで後ろの二人……そんな圧を俺に飛ばしても良いのか?

「あなたたち、ラガスさんにその様な気配を飛ばすとは……敵対したい、ということですか?」

「「ッ!!!」」

フェリスさんから圧を飛ばされ、騎士二人は帯剣している剣に手が伸びかけた。

「止めるんだ、二人共」

「「申し訳ありませんでした」」

「私にではない、ラガス君に頭を下げるんだ。彼は己が欲しい物を素直に答えただけだ」

「「申し訳ありませんでした、ラガス殿」」

「構いませんよ」

抜剣してたらアウトだったかもしれないが、二人とも思い留まってくれた。
てか、抜剣してたら先にフェリスさんが動いてただろうな。

「空間魔法のスキル結晶、それがラガス君が希望の物ということでいいかい」

「えぇ、それが俺の希望の品です」

「……分かった。出来る限り直ぐに用意させよう」

どちらも直ぐに用意できるかもしれない、集める……細剣に関しては造る必要があるかもしれない。
それを考えると、今すぐに用意するのは不可能か……まっ、それぐらいは見逃して当然か。
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