416 / 989
休息という名の模擬戦時間
しおりを挟む
バレッドホースの体力を考え、一旦休憩を挟む。
その間に箱の中でのんびりしていたおかげで固まった体をほぐそうと思い、セルシアと木剣を使った模擬戦を行う。
勿論、無駄に怪我しないように身体強化などのスキルは使用しない。
「本当に元気だな。休憩中に模擬戦をする子供なんてそうそういないぞ」
「こういうところがお二人の強さを築き上げてきたのかもしれないわね」
毎日訓練を欠かさないっていう点は、確かに今の俺の強さを築き上げる要因になったと思う。
でも、強くなりたい貴族の令息なら毎日訓練を行うぐらいなら当たり前だと思うんだけどな。
そういうところを考えると、やっぱり俺やセルシアは才に恵まれてるんだろうな。
「ラガス、何か、考え事?」
「ん? いや……俺たちややっぱり色々と恵まれてるんだなぁ~と思ってな」
俺もセルシアも努力はしているが、それでも環境が恵まれているのは否定出来ないと思う。
セルシアは本人が強くなることを望んでいるなら、ロウレット公爵は惜しみなく応援するだろう。
俺の父さんも森の中に入ってモンスターを狩ることを止めなかった。
偶に模擬戦相手にもなってくれてたしな。
環境が一緒ってわけじゃなけど、どちらも恵まれている筈だ。
「……そう、ね。私は色々と、恵まれている。ラガスが、パートナーである、ことも」
「ふふ、それはどうも」
軽く模擬戦をしながら交わす言葉ではないと思うが、そう言ってくれると本当に嬉しい。
こうなってくると……笑顔で近寄ってくるであろう第三王子に対して、セルシアがどの様な態度を取るのか。
そしておそらく予想外の態度を取られた第三王子の表情がどうなるのか……あぁ~~~、なんでこの世界にはスマホがないんだろうか。
もしあるなら、その間抜けな表情をきっちりと映像に収めるのに。
「さて、そろそろ出発します」
三十分ほど休憩という名の模擬戦時間を終え、優雅な時間が再び訪れる。
俺とセルシアだけではなく、メリルたちも軽く動いていたので固まった体がだいぶほぐれた。
「やはり近衛騎士の方々はラガス坊ちゃまとセルシア様の模擬戦を観て驚いていましたね」
「……確かに驚いてた気がするけど、シュラとメリルの模擬戦を観てた時の方が驚いてたと思うぞ」
俺たちが年齢以上の実力を持ってるのは十分に分かっているが、シュラとメリルの実力をかなりぶっ飛んでる。
模擬戦の迫力だけなら、俺たちよりもあったのではと感じたが……俺の気のせいでは無い筈。
「あらそうでしょうか? 私としてはいつも通り動いていただけですが」
解っててとぼけてるな、こいつ。
「俺としてはメリルとの模擬戦でも十分に楽しめるっすけど、どうせなら近衛騎士の人たちと戦ってみたいっすね」
とんでもない発言を軽く口に出された。
近衛騎士と模擬戦……普通に考えれば軽くあしらわれて終わりなんだろうけど、シュラならそれなりに何かを得られる戦いにはなるか。
ただ、ドレッグさんたちの仕事に俺たちの模擬戦相手も含まれているのか否か……おそらくそんな仕事は含まれて無いだろうな。
「その気持ちは解らなくもないが……多分、俺たちの模擬戦相手ってのは仕事に含まれてないと思うぞ。それに、俺たちを守るのが仕事だから万が一……は、基本的に起こらないと思うけど色んな意味でダメな気がする」
「そ、そうっすね……諦めた方が良さそうっすね」
解りやすいぐらいにテンションが落ちたな。
けど、近衛騎士が模擬戦の相手になれば今自分がどれぐらいの位置にいるのか解るし……確かにちょっと戦ってみたいよな。
「私が頼めば、多分……大丈夫」
「……はは、そうだな。その手があったな」
セルシアの言葉に思わず苦笑いになってしまった。
ただ、その言葉の通りセルシアが頼めば、おそらく断るのは不可能だろう。
公爵家の令嬢からの頼みであれば、向こうは断れない。
とんでもない頼みをしようとしてるわけではなく、模擬戦の相手になってほしいという比較的軽い頼み。
セルシアが頼めば、ドレッグさんたちが断る道はなくなる。
その間に箱の中でのんびりしていたおかげで固まった体をほぐそうと思い、セルシアと木剣を使った模擬戦を行う。
勿論、無駄に怪我しないように身体強化などのスキルは使用しない。
「本当に元気だな。休憩中に模擬戦をする子供なんてそうそういないぞ」
「こういうところがお二人の強さを築き上げてきたのかもしれないわね」
毎日訓練を欠かさないっていう点は、確かに今の俺の強さを築き上げる要因になったと思う。
でも、強くなりたい貴族の令息なら毎日訓練を行うぐらいなら当たり前だと思うんだけどな。
そういうところを考えると、やっぱり俺やセルシアは才に恵まれてるんだろうな。
「ラガス、何か、考え事?」
「ん? いや……俺たちややっぱり色々と恵まれてるんだなぁ~と思ってな」
俺もセルシアも努力はしているが、それでも環境が恵まれているのは否定出来ないと思う。
セルシアは本人が強くなることを望んでいるなら、ロウレット公爵は惜しみなく応援するだろう。
俺の父さんも森の中に入ってモンスターを狩ることを止めなかった。
偶に模擬戦相手にもなってくれてたしな。
環境が一緒ってわけじゃなけど、どちらも恵まれている筈だ。
「……そう、ね。私は色々と、恵まれている。ラガスが、パートナーである、ことも」
「ふふ、それはどうも」
軽く模擬戦をしながら交わす言葉ではないと思うが、そう言ってくれると本当に嬉しい。
こうなってくると……笑顔で近寄ってくるであろう第三王子に対して、セルシアがどの様な態度を取るのか。
そしておそらく予想外の態度を取られた第三王子の表情がどうなるのか……あぁ~~~、なんでこの世界にはスマホがないんだろうか。
もしあるなら、その間抜けな表情をきっちりと映像に収めるのに。
「さて、そろそろ出発します」
三十分ほど休憩という名の模擬戦時間を終え、優雅な時間が再び訪れる。
俺とセルシアだけではなく、メリルたちも軽く動いていたので固まった体がだいぶほぐれた。
「やはり近衛騎士の方々はラガス坊ちゃまとセルシア様の模擬戦を観て驚いていましたね」
「……確かに驚いてた気がするけど、シュラとメリルの模擬戦を観てた時の方が驚いてたと思うぞ」
俺たちが年齢以上の実力を持ってるのは十分に分かっているが、シュラとメリルの実力をかなりぶっ飛んでる。
模擬戦の迫力だけなら、俺たちよりもあったのではと感じたが……俺の気のせいでは無い筈。
「あらそうでしょうか? 私としてはいつも通り動いていただけですが」
解っててとぼけてるな、こいつ。
「俺としてはメリルとの模擬戦でも十分に楽しめるっすけど、どうせなら近衛騎士の人たちと戦ってみたいっすね」
とんでもない発言を軽く口に出された。
近衛騎士と模擬戦……普通に考えれば軽くあしらわれて終わりなんだろうけど、シュラならそれなりに何かを得られる戦いにはなるか。
ただ、ドレッグさんたちの仕事に俺たちの模擬戦相手も含まれているのか否か……おそらくそんな仕事は含まれて無いだろうな。
「その気持ちは解らなくもないが……多分、俺たちの模擬戦相手ってのは仕事に含まれてないと思うぞ。それに、俺たちを守るのが仕事だから万が一……は、基本的に起こらないと思うけど色んな意味でダメな気がする」
「そ、そうっすね……諦めた方が良さそうっすね」
解りやすいぐらいにテンションが落ちたな。
けど、近衛騎士が模擬戦の相手になれば今自分がどれぐらいの位置にいるのか解るし……確かにちょっと戦ってみたいよな。
「私が頼めば、多分……大丈夫」
「……はは、そうだな。その手があったな」
セルシアの言葉に思わず苦笑いになってしまった。
ただ、その言葉の通りセルシアが頼めば、おそらく断るのは不可能だろう。
公爵家の令嬢からの頼みであれば、向こうは断れない。
とんでもない頼みをしようとしてるわけではなく、模擬戦の相手になってほしいという比較的軽い頼み。
セルシアが頼めば、ドレッグさんたちが断る道はなくなる。
49
お気に入りに追加
3,501
あなたにおすすめの小説
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
虐殺者の称号を持つ戦士が元公爵令嬢に雇われました
オオノギ
ファンタジー
【虐殺者《スレイヤー》】の汚名を着せられた王国戦士エリクと、
【才姫《プリンセス》】と帝国内で謳われる公爵令嬢アリア。
互いに理由は違いながらも国から追われた先で出会い、
戦士エリクはアリアの護衛として雇われる事となった。
そして安寧の地を求めて二人で旅を繰り広げる。
暴走気味の前向き美少女アリアに振り回される戦士エリクと、
不器用で愚直なエリクに呆れながらも付き合う元公爵令嬢アリア。
凸凹コンビが織り成し紡ぐ異世界を巡るファンタジー作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる