万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

文字の大きさ
上 下
414 / 986

内なる闘争心を感じた

しおりを挟む
「というかドレッグさん、ラガス・リゼードが超強いってのは解ったが……今回の件で同行することになったあのお姉さんは何者なんだ」

近衛騎士であるオルアは既にフェリスから違和感を感じ取っていた。
それはオルアだけではなく、近衛騎士全員……フェリスがただの人間ではないと勘付いていた。

「……正直なところ、私には分らない。ただ、騎士として生きてきた感が告げている……私たちより遥かに強い存在だとな」

「ッ!!! ……ラガス・リゼードやセルシア嬢のような例外的存在がいるから否定は出来ないが、それは本当か?」

今回の件で集まった五人は全員優秀な近衛騎士だが、その中でも実戦的な強さはドレッグが頭一つ抜けている。
そのドレッグが自分より遥かに強いと告げた。

この事実に同じ近衛騎士としては驚かずにはいられない。

「ラガス殿の知人のようだが……いったいどのような知り合いなのか、見当がつかないがな」

「……少々気になったので、鑑定を使ってみたいと思いましたが、その……覗いてはならないと強く感じました」

フィーラが持つ鑑定のアビリティレベルは五。商人として十分にやっていけるレベル。
だが、戦う者としての本能が脳に告げた。

目の前の人物を除いてはならない。除けば……碌な目に合わない。

実際はそんなことにならないのだが、これが全く関係無い人物から覗かれれば、フェリスも少々怒るかもしれない。
だが……そもそもフェリスのステータスを視ようとしても、覗くことができない。

「フィーラのそういうところは信用出来るのよね……確かに普通の女性って感じではなかったけど、いまいち正体がみえてこない」

「……俺は、その人から獣人の様な気配を感じた」

「? おいおいヤガス、あのお姉さんはわざわざ獣人であることを隠してるってのか??」

この国でわざわざ獣人であることを隠す必要はない。
国によっては人族以外の人種を迫害するような最悪な状況も存在するが、ガルガント王国にそのような風潮は存在しない。

「いや、そういう訳ではないのだが……獣人族の多くは胸の内に強い闘争心を秘めている。その闘争心をフェリスさんからも感じ取ったのだ」

「…………ふむ、もしかしたら」

「ドレッグさん、何か分かったんですか?」

「確証はないが、もしかしたらフェリス殿はラガス殿の従魔であるルーフェイス……ブラックウルフの母親、じゃないかと思ってね」

「「「「ッ!!!!」」」」

ドレッグの考察に歩いていた者は思わず足が止まりそうになったが、なんとか気を持ち直して馬車に遅れないように歩き続ける。

「それは……さ、さすがに話が飛び過ぎではないでしょうか」

「そうかな。ラガス殿の従魔……報告ではブラックウルフだが、私には一般的なブラックウルフよりも力強い存在だと感じた」

現在ルーフェイスはいつも通りブラックウルフの外見のまま中でのんびりとしている。
そんなルーフェイスを一目見て、ドレッグは他のブラックウルフとは何か違うと感じた。

「それじゃあ、あのブラックウルフはそもそもブラックウルフではない、ってのか?」

「実際のところどうなのかは分からない。もしかしたら旅の途中にラガス殿が教えてくれるかもしれないが……フェリスもルーフェイス殿も強者なのは間違いな」

「…………あのドレッグさん、一つ訊いてもいいですか」

「あぁ、勿論だ。何か疑問に感じたのか?」

「えっと、その……今回アルガ王国へ向かうのに、私たちは護衛として必要なのでしょうか」

これに関してはフィーラだけではなく、ドレッグを含めて一回は疑問に感じた内容だった。
ラガスは言わずもがな、超強い。

ラガスのパートナーであるセルシアも学生レベルを超えた強さを持つ。
そしてラガスの従者である二人は前日の大会で強敵を押しのけて優勝を掻っ攫った。

そこに加えてブラックウルフにしては疑わしい素貯砂を持つルーフェイスに加えて、近衛騎士の中でも上位に入る実力を持つドレッグが戦わずして勝てないと判断した人物、フェリス。

本当に自分たちの護衛が必要なのかと疑ってしまう面子が揃っている。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

お姉さまに挑むなんて、あなた正気でいらっしゃるの?

中崎実
ファンタジー
若き伯爵家当主リオネーラには、異母妹が二人いる。 殊にかわいがっている末妹で気鋭の若手画家・リファと、市中で生きるしっかり者のサーラだ。 入り婿だったのに母を裏切って庶子を作った父や、母の死後に父の正妻に収まった継母とは仲良くする気もないが、妹たちとはうまくやっている。 そんな日々の中、暗愚な父が連れてきた自称「婚約者」が突然、『婚約破棄』を申し出てきたが…… ※第2章の投稿開始後にタイトル変更の予定です ※カクヨムにも同タイトル作品を掲載しています(アルファポリスでの公開は数時間~半日ほど早めです)

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

処理中です...