402 / 965
それって結局は
しおりを挟む
王城から戻り、夕食までいつも通り過ごした後、ベランダに出て亜空間から通信用の水晶玉を取り出す。
「ガイ、今大丈夫か」
『あぁ、大丈夫だ。それで、何か厄介事に巻き込まれたのか、マスター』
……こ、今回の件はまだ漏れて無い筈だよな?
なのに厄介事に巻き込まれたって……ちょっと鋭すぎないか。
「ま、まぁそうだな。実はな……アルガ王国の第三王子に絡まれてるんだよ」
『……アルガ王国の第三王子がガルガント王国に入国したという情報はないが』
「実はな、簡単に言うと第三王子がセルシアのパートナーに俺が選ばれたことに納得出来ていないっぽいんだよ」
『マスターのパートナー……あぁ、なるほど。大体状況は把握した。そういえあばアルガ王国の王子の中で一人、マスターのパートナーであるセルシア嬢に惚れているという情報をかなり前に入手したが……その熱が再熱したという訳か』
第三王子がセルシアに惚れていた情報は得ていたのか。
さっさと諦めてくれてたら嬉しいんだが……個人の気持ちだから仕方ないと言えば仕方ないんだよな。
ぶっ飛ばして呪うことに変更はないけどさ。
『そうか……マスターの周りは中々落ち着かないようだな』
「不本意ながらそうみたいなんだよ。それでさ、一応俺が用意できる手札は大丈夫そうなんだけどさ、念のためそっちから少し人を貸してほしいんだよ」
『そういう事なら問題はない。国境を越えて活動を行うことは少なくないからな。そうだな……ゼンスをリーダーにしてもう数人付けよう』
「ゼンスっていうと……あの気の良さそうなおっちゃんか」
『そうだな。その認識で合っている……だが、ゼンスは強いぞ。俺達の中でも強さはトップクラスだ。その分諜報関係は腕が下がるが、その分は他の奴らで補う』
「へぇ~~、それは心強いな」
確かにあれはただ優しいだけのおじさんって感じじゃなかったもんな。
今回は諜報よりも俺の周りの人を守ってほしいってのがメインだから、実戦的な実力に特化した人が来てくれるのが有難い。
『ただ、王城の中に入って周囲を警戒するのはさすがにリスクが大き過ぎる』
「そこに関しては大丈夫だ。王城での護衛に関しては俺が用意した切り札に活躍してもらうから」
『そうか、すまないな。王城に入ればアルガ王国専属の暗殺集団もいるだろうから、俺たちとマスターの関係が仮にバレた場合、国と国の問題に発展しかねない』
「……それはだけは絶対に避けたいな」
俺と国なら……いや、それでも最低限、セルシアには迷惑を掛ける。
元々頼もうとは思っていなかったが、ゼンスたちに王城での護衛は頼まないのが吉だな。
『俺としても国との衝突は避けたいところだ……マスター、一つ提案なんだが』
「なんだ?」
『俺たちディザスターにそうしたように、アルガ王国の暗殺ギルドのトップを掌握したら良いのではないか』
……なるほど。
いや、なるほどって納得しちゃうのは良くないな。
でも……そうしてしまえば、アルガ王国で起きた問題に関わる時、大いに役立つよな。
とはいえ、そこまでアルガ王国に何度も行く予定がなければ、関わろうとも思わない。
「一瞬良い案だとは思ったが、そもそもアルガ王国と関わろうとは思っていない。それに、アルガ王国でトップの暗殺ギルドを掌握してしまったら、それこそ激突しそうじゃないか?」
『……うむ、そうかもしれないな。少々考えが甘かった。だが、実際にマスターたちを襲ってきた裏のギルド連中はどうする? 望みとあれば、襲ってきた連中は殺しておくように伝えるが』
「あぁ……それに関しては、俺が出向くよ。二度と変な気を起こさないようにきっちり示しておいた方が良いだろ」
『そうかもしれない。そうかもしれないが、それでは結局向こうの裏ギルドの連中を掌握することにならないか?』
あっ…………確かに、そうなる、か?
でも報復の役割をフェリスさんに任せるわけにはいかないし、やっぱり俺が自ら乗り込んで忠告しないと駄目だよな。
まぁ、そうなったらそうなったらで仕方ないよな。
暗殺ギルドの連中が仕掛けてきたってことは、アルガ王国の連中が仕掛けてきたのと同じ。
その力を俺に奪われても……しょうがないよな。
「ガイ、今大丈夫か」
『あぁ、大丈夫だ。それで、何か厄介事に巻き込まれたのか、マスター』
……こ、今回の件はまだ漏れて無い筈だよな?
なのに厄介事に巻き込まれたって……ちょっと鋭すぎないか。
「ま、まぁそうだな。実はな……アルガ王国の第三王子に絡まれてるんだよ」
『……アルガ王国の第三王子がガルガント王国に入国したという情報はないが』
「実はな、簡単に言うと第三王子がセルシアのパートナーに俺が選ばれたことに納得出来ていないっぽいんだよ」
『マスターのパートナー……あぁ、なるほど。大体状況は把握した。そういえあばアルガ王国の王子の中で一人、マスターのパートナーであるセルシア嬢に惚れているという情報をかなり前に入手したが……その熱が再熱したという訳か』
第三王子がセルシアに惚れていた情報は得ていたのか。
さっさと諦めてくれてたら嬉しいんだが……個人の気持ちだから仕方ないと言えば仕方ないんだよな。
ぶっ飛ばして呪うことに変更はないけどさ。
『そうか……マスターの周りは中々落ち着かないようだな』
「不本意ながらそうみたいなんだよ。それでさ、一応俺が用意できる手札は大丈夫そうなんだけどさ、念のためそっちから少し人を貸してほしいんだよ」
『そういう事なら問題はない。国境を越えて活動を行うことは少なくないからな。そうだな……ゼンスをリーダーにしてもう数人付けよう』
「ゼンスっていうと……あの気の良さそうなおっちゃんか」
『そうだな。その認識で合っている……だが、ゼンスは強いぞ。俺達の中でも強さはトップクラスだ。その分諜報関係は腕が下がるが、その分は他の奴らで補う』
「へぇ~~、それは心強いな」
確かにあれはただ優しいだけのおじさんって感じじゃなかったもんな。
今回は諜報よりも俺の周りの人を守ってほしいってのがメインだから、実戦的な実力に特化した人が来てくれるのが有難い。
『ただ、王城の中に入って周囲を警戒するのはさすがにリスクが大き過ぎる』
「そこに関しては大丈夫だ。王城での護衛に関しては俺が用意した切り札に活躍してもらうから」
『そうか、すまないな。王城に入ればアルガ王国専属の暗殺集団もいるだろうから、俺たちとマスターの関係が仮にバレた場合、国と国の問題に発展しかねない』
「……それはだけは絶対に避けたいな」
俺と国なら……いや、それでも最低限、セルシアには迷惑を掛ける。
元々頼もうとは思っていなかったが、ゼンスたちに王城での護衛は頼まないのが吉だな。
『俺としても国との衝突は避けたいところだ……マスター、一つ提案なんだが』
「なんだ?」
『俺たちディザスターにそうしたように、アルガ王国の暗殺ギルドのトップを掌握したら良いのではないか』
……なるほど。
いや、なるほどって納得しちゃうのは良くないな。
でも……そうしてしまえば、アルガ王国で起きた問題に関わる時、大いに役立つよな。
とはいえ、そこまでアルガ王国に何度も行く予定がなければ、関わろうとも思わない。
「一瞬良い案だとは思ったが、そもそもアルガ王国と関わろうとは思っていない。それに、アルガ王国でトップの暗殺ギルドを掌握してしまったら、それこそ激突しそうじゃないか?」
『……うむ、そうかもしれないな。少々考えが甘かった。だが、実際にマスターたちを襲ってきた裏のギルド連中はどうする? 望みとあれば、襲ってきた連中は殺しておくように伝えるが』
「あぁ……それに関しては、俺が出向くよ。二度と変な気を起こさないようにきっちり示しておいた方が良いだろ」
『そうかもしれない。そうかもしれないが、それでは結局向こうの裏ギルドの連中を掌握することにならないか?』
あっ…………確かに、そうなる、か?
でも報復の役割をフェリスさんに任せるわけにはいかないし、やっぱり俺が自ら乗り込んで忠告しないと駄目だよな。
まぁ、そうなったらそうなったらで仕方ないよな。
暗殺ギルドの連中が仕掛けてきたってことは、アルガ王国の連中が仕掛けてきたのと同じ。
その力を俺に奪われても……しょうがないよな。
52
お気に入りに追加
3,491
あなたにおすすめの小説
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる