万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

文字の大きさ
上 下
364 / 983

その流れが怖い

しおりを挟む
「そんで、お前が鍛えてる一年生は勝てそうなのか?」

「……結構凄いんだぞ。三年生になれば、今年と同じようにシングルスは俺が取ってダブルスは俺とセルシアが……団体戦も三勝は確実かもな」

「へぇ~~、そこまでお前が褒めるってことはかなりの実力を持ってるんだな。それなら案外サクッと勝てそうなんじゃないのか?」

「んーーー……初っ端ぶちかませば勝てるとは思うけど、それで相手側の男子……それと婚約者の子が納得出来ると思う?」

ライド君はともかく、アザルトさんは微妙に納得しない気がする。
初めは様子見で来るだろうと油断してたのが悪いと言えば、そこまでなんだけどな。

ただ、物事を円満に収めるにはいきなり切り札を発動させて戦うのはよろしくない。

「……俺が相手側の男子だったら今のはなし、もう一回勝負しろ! って思わず言いそうだな」

決闘を行い、結果が出た後にもう一度勝負しろと申し出るのは、自ら恥を晒しているのと変わらない。
リーベが会得した切り札は卑怯でも何でもない、純粋な力だ。

仮にその様に申し出られても、受け入れる必要はない。

「でしょ、婚約者の子も口には出さなくても、それはちょっと卑怯なんじゃないかって……思いそうじゃん」

力を……技術を得られるのは本人の努力次第だ。
だが、貴族だからこそ容易にその力と技術を手に入れることが出来たんだろって……そう思うかもしれない。

三人から聞いた限り、そんな小者みたいな考えを持っているとは思わないけど……いや、実際に会ったことがある訳じゃないんだし、そう判断するのは早いか。

「とりあえず、開幕速攻で潰す訳にはいかない……ただ、そうなると不安要素がある」

「お前が太鼓判を押す様な奴なのにか? もしかしてそのライバル君も超強いって感じか」

「強いのは確かだろうな。俺の友達が三人とも同じ学園に入学してるんだ。三人共他の平民や貴族の子供より強い……けど、その三人が自分達よりも強いってハッキリと断言してるんだよ」

「ほぉ……それは確かに厄介かもな。こちら側の学園に入学してないからといって、実力に大きな差があるとは限らない。その三人もロッソの一年生と比べれば上位に食い込む実力がある……でも、それより上ってことは厄介な相手なのは決まりか」

そうなんだよ。あの三人より上って時点でそこそこの実力者ってのは決定だ。
元々の才能が……それとも努力を重ね続けた結果、そこまでの力を得たのかは分からない。

ただ、心配なのはそこじゃないんだ。

「俺はさ……この決闘までの過程に注目してるんだよ」

「決闘までの過程……そんなに重要な内容なのか?」

「だってライバル君は平民。でも、子供の頃から男爵家の令嬢と仲良し、そして互いに惹かれている。しかし令嬢には貴族の子息の婚約者がいる。令嬢はその婚約を望んでいない」

「……ライバル君は成り上がり、その令嬢を真正面から奪う為に王都の学園までやって来た」

「そして確実に勝敗を……運命を決める為に決闘が行われる。この流れ……どう思う」

「どうって……まるで小説みたいな話だよな」

そう、そこなんだよ!
まるで小説みたいな流れ……そこが俺は当日の決闘に関係するんじゃないかと思うと……マジでのんびり観戦は出来ない。

「その小説のストリーに実際の登場人物を当てはめてくれよ」

「えっと…………あっ、なるほど……そういう事か。でもよぉ、そんな簡単に上手くいくか? この流れまでは完璧だが、小説みたいに戦いの最中にいきなりパワーアップしたりするか?」

「当てはまるって確証はない。でも、事実としてライバル君は大半の平民が追い付けない速度で強くなっている。それに……そのパワーアップが永続的なものでなくても、一時的な……一撃だけのパワーアップならアリクも少し前に見ただろ」

「少し前……そんな試合あったか? ……いや、確かにあったな。あの暴走、そしてコントロールしたのは驚いた」

そうなんだよ、どういったパワーアップかは分からない。
イーリスみたいに一撃だけかもしれない、もしかしたら一時的……永続的にパワーアップ系のスキルを習得するかもしれない。

その可能性がゼロとは思えない……寧ろ高いと思う。

「そういったもしもの可能性を考えると、決闘が長引いたら……こっちが不利になる可能性が上がりそうなんだよ……全員を納得させる戦いってのは難しいよ」

とりあえず、明日はライド君が在籍している学園に向かい、そこで決闘の案を提示して契約書にサインさせる。
そこからは……当日まで特訓と実戦あるのみだ。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました

ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。 王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。 しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

(短編)いずれ追放される悪役令嬢に生まれ変わったけど、原作補正を頼りに生きます。

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚約破棄からの追放される悪役令嬢に生まれ変わったと気づいて、シャーロットは王妃様の前で屁をこいた。なのに王子の婚約者になってしまう。どうやら強固な強制力が働いていて、どうあがいてもヒロインをいじめ、王子に婚約を破棄され追放……あれ、待てよ? だったら、私、その日まで不死身なのでは?

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

処理中です...