万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

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その流れが怖い

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「そんで、お前が鍛えてる一年生は勝てそうなのか?」

「……結構凄いんだぞ。三年生になれば、今年と同じようにシングルスは俺が取ってダブルスは俺とセルシアが……団体戦も三勝は確実かもな」

「へぇ~~、そこまでお前が褒めるってことはかなりの実力を持ってるんだな。それなら案外サクッと勝てそうなんじゃないのか?」

「んーーー……初っ端ぶちかませば勝てるとは思うけど、それで相手側の男子……それと婚約者の子が納得出来ると思う?」

ライド君はともかく、アザルトさんは微妙に納得しない気がする。
初めは様子見で来るだろうと油断してたのが悪いと言えば、そこまでなんだけどな。

ただ、物事を円満に収めるにはいきなり切り札を発動させて戦うのはよろしくない。

「……俺が相手側の男子だったら今のはなし、もう一回勝負しろ! って思わず言いそうだな」

決闘を行い、結果が出た後にもう一度勝負しろと申し出るのは、自ら恥を晒しているのと変わらない。
リーベが会得した切り札は卑怯でも何でもない、純粋な力だ。

仮にその様に申し出られても、受け入れる必要はない。

「でしょ、婚約者の子も口には出さなくても、それはちょっと卑怯なんじゃないかって……思いそうじゃん」

力を……技術を得られるのは本人の努力次第だ。
だが、貴族だからこそ容易にその力と技術を手に入れることが出来たんだろって……そう思うかもしれない。

三人から聞いた限り、そんな小者みたいな考えを持っているとは思わないけど……いや、実際に会ったことがある訳じゃないんだし、そう判断するのは早いか。

「とりあえず、開幕速攻で潰す訳にはいかない……ただ、そうなると不安要素がある」

「お前が太鼓判を押す様な奴なのにか? もしかしてそのライバル君も超強いって感じか」

「強いのは確かだろうな。俺の友達が三人とも同じ学園に入学してるんだ。三人共他の平民や貴族の子供より強い……けど、その三人が自分達よりも強いってハッキリと断言してるんだよ」

「ほぉ……それは確かに厄介かもな。こちら側の学園に入学してないからといって、実力に大きな差があるとは限らない。その三人もロッソの一年生と比べれば上位に食い込む実力がある……でも、それより上ってことは厄介な相手なのは決まりか」

そうなんだよ。あの三人より上って時点でそこそこの実力者ってのは決定だ。
元々の才能が……それとも努力を重ね続けた結果、そこまでの力を得たのかは分からない。

ただ、心配なのはそこじゃないんだ。

「俺はさ……この決闘までの過程に注目してるんだよ」

「決闘までの過程……そんなに重要な内容なのか?」

「だってライバル君は平民。でも、子供の頃から男爵家の令嬢と仲良し、そして互いに惹かれている。しかし令嬢には貴族の子息の婚約者がいる。令嬢はその婚約を望んでいない」

「……ライバル君は成り上がり、その令嬢を真正面から奪う為に王都の学園までやって来た」

「そして確実に勝敗を……運命を決める為に決闘が行われる。この流れ……どう思う」

「どうって……まるで小説みたいな話だよな」

そう、そこなんだよ!
まるで小説みたいな流れ……そこが俺は当日の決闘に関係するんじゃないかと思うと……マジでのんびり観戦は出来ない。

「その小説のストリーに実際の登場人物を当てはめてくれよ」

「えっと…………あっ、なるほど……そういう事か。でもよぉ、そんな簡単に上手くいくか? この流れまでは完璧だが、小説みたいに戦いの最中にいきなりパワーアップしたりするか?」

「当てはまるって確証はない。でも、事実としてライバル君は大半の平民が追い付けない速度で強くなっている。それに……そのパワーアップが永続的なものでなくても、一時的な……一撃だけのパワーアップならアリクも少し前に見ただろ」

「少し前……そんな試合あったか? ……いや、確かにあったな。あの暴走、そしてコントロールしたのは驚いた」

そうなんだよ、どういったパワーアップかは分からない。
イーリスみたいに一撃だけかもしれない、もしかしたら一時的……永続的にパワーアップ系のスキルを習得するかもしれない。

その可能性がゼロとは思えない……寧ろ高いと思う。

「そういったもしもの可能性を考えると、決闘が長引いたら……こっちが不利になる可能性が上がりそうなんだよ……全員を納得させる戦いってのは難しいよ」

とりあえず、明日はライド君が在籍している学園に向かい、そこで決闘の案を提示して契約書にサインさせる。
そこからは……当日まで特訓と実戦あるのみだ。
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