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……やっぱり無理
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デザートが来てからも他愛もない会話を続けていき、美味いデザートも食べ終えてしまった。
「さて……一応本題に入ろうか。私の娘、イーリスと婚約しないかい」
「……それは冗談とかではなく、本気……なんですよね」
「勿論さ。こんなことで嘘を付いたりしないよ」
……それはそれで困るな。
こっちも答えは元から決まっているが、そんな真剣な眼でをした人の望みを断るのは少々辛い。
「申し訳ありませんが、お断りさせていただきます。自分よりもイーリス・リザードさんに相応しい男性はいらっしゃいます」
「ふふ……やっぱりそう答えるか。一応理由を尋ねても良いかな」
「自分とイーリスさんとでは色々と合わないかと思います。それに、自分が進む道は戦いが主な仕事のハンターです」
「そうらしいね。確かにイーリスには厳しいかもしれないね……でも、そういう生活はいずれ慣れるかもしれない。それにね、英雄色を好むという言葉がある。君の傍に女性が多くいても、それは自然な流れだよ」
「自分の実力を評価してくれるのは嬉しく思います。ただ、自分には大切な人がいます。その人を思い、守るだけで今は精一杯です……それに、イーリスさんはきっと自分のことを嫌っています」
「そういえば大会の試合前に口戦していたね。けど、それも時間が経てばなくなるかもしれない……いや、それに関しては難しいか。イーリスはセルシアさんのことが大好きで尊敬しているからね」
一番の理由はそこが大きい。
一緒に旅を続ければ関係は変わっていくかもしれない。
でも、最初の空気がマジで最悪になると思う。
そもそもシュラやメリルが許さない気がする。
そして俺もそんなギスギスした空気で冒険したくない。
「それと……やはり好意を持てる人と婚約するのが一番良いかと思います。甘い考えかもしれないですけど、本人のことを考えれば最良の判断かと思います」
仮にイーリスが俺と婚約しても、あいつが幸せと思える未来が来るとは思えない。
勿論俺の未来が幸せになる可能性が低くなる場合だってある。
俺とイーリス、両方の気持ちを考えれば、俺達が婚約するのはどう足掻いても良い結果にはならない。
「好意を持てる人との婚約が一番、か……甘いかもしれないが、確かにその通りだね。ただね、一つ伝えておくよ。イーリスは君との婚約に否定的ではないんだよ」
「えっ……そ、そうなんですか」
後ろのメイドさんもウンウンって頷いてるし、嘘ではない……みたいだな。
でも俺に好意を持っているとは思えないし……やっぱりセシリアが目当てで婚約に応じても良いと思ってるのか?
「そこにどういった思いがあるのか真意は分からないけど、君との婚約に否定的ではない。それは確かだよ」
「そうですか……それでも、俺はその婚約に応じられません」
お互いの気持ちがいずれ徐々に変わっていくかもしれない。
だが、現時点で俺はイーリスと婚約しようとは全く思えない。
絶対に……無理だな。
「そうか、どうやら君の気持ちは固いみたいだね」
「すみません」
「いや、君が謝ることはないよ。初対面のあれは……まぁ、どうかんがえてもイーリスが悪かったからね」
それはちゃんと理解してくれてるんだ。
そうだよな。初めて会ったってのにあんな態度……開始の合図無視しなかった俺を褒めても良いよな。
「ただね……はいそうですかと応じることは出来ないかな」
ッ!!! やっぱりそう簡単に話は上手く進まないか。
こういう展開になるかもしれないと予想はしていたが、さて……どうやって切り抜けば良いか。
「ふ、ふふふ。そう堅くなる必要はない。ラガス君には後ろに立っているメイド、オラリスと模擬戦をして欲しいんだ。その模擬戦の対価はキッチリと用意する……どうかな、受けてくれるかい?」
「……何を、渡してくれるんですか?」
その模擬戦は別に受けても良いと思った。
ただ、先に貰える物を確認しておきたい。
中途半端な物なら……その申し出は受けない。
「白金貨一枚。それと二振りで一つの短剣でどうだい。ランクは七だ」
……それは確かに有難い。
ていうか普通に欲しいと思ってしまう。
ただ……たった一回の模擬戦にそこまでの大金を使うのは少々アホなのではと思ってしまう。
「さて……一応本題に入ろうか。私の娘、イーリスと婚約しないかい」
「……それは冗談とかではなく、本気……なんですよね」
「勿論さ。こんなことで嘘を付いたりしないよ」
……それはそれで困るな。
こっちも答えは元から決まっているが、そんな真剣な眼でをした人の望みを断るのは少々辛い。
「申し訳ありませんが、お断りさせていただきます。自分よりもイーリス・リザードさんに相応しい男性はいらっしゃいます」
「ふふ……やっぱりそう答えるか。一応理由を尋ねても良いかな」
「自分とイーリスさんとでは色々と合わないかと思います。それに、自分が進む道は戦いが主な仕事のハンターです」
「そうらしいね。確かにイーリスには厳しいかもしれないね……でも、そういう生活はいずれ慣れるかもしれない。それにね、英雄色を好むという言葉がある。君の傍に女性が多くいても、それは自然な流れだよ」
「自分の実力を評価してくれるのは嬉しく思います。ただ、自分には大切な人がいます。その人を思い、守るだけで今は精一杯です……それに、イーリスさんはきっと自分のことを嫌っています」
「そういえば大会の試合前に口戦していたね。けど、それも時間が経てばなくなるかもしれない……いや、それに関しては難しいか。イーリスはセルシアさんのことが大好きで尊敬しているからね」
一番の理由はそこが大きい。
一緒に旅を続ければ関係は変わっていくかもしれない。
でも、最初の空気がマジで最悪になると思う。
そもそもシュラやメリルが許さない気がする。
そして俺もそんなギスギスした空気で冒険したくない。
「それと……やはり好意を持てる人と婚約するのが一番良いかと思います。甘い考えかもしれないですけど、本人のことを考えれば最良の判断かと思います」
仮にイーリスが俺と婚約しても、あいつが幸せと思える未来が来るとは思えない。
勿論俺の未来が幸せになる可能性が低くなる場合だってある。
俺とイーリス、両方の気持ちを考えれば、俺達が婚約するのはどう足掻いても良い結果にはならない。
「好意を持てる人との婚約が一番、か……甘いかもしれないが、確かにその通りだね。ただね、一つ伝えておくよ。イーリスは君との婚約に否定的ではないんだよ」
「えっ……そ、そうなんですか」
後ろのメイドさんもウンウンって頷いてるし、嘘ではない……みたいだな。
でも俺に好意を持っているとは思えないし……やっぱりセシリアが目当てで婚約に応じても良いと思ってるのか?
「そこにどういった思いがあるのか真意は分からないけど、君との婚約に否定的ではない。それは確かだよ」
「そうですか……それでも、俺はその婚約に応じられません」
お互いの気持ちがいずれ徐々に変わっていくかもしれない。
だが、現時点で俺はイーリスと婚約しようとは全く思えない。
絶対に……無理だな。
「そうか、どうやら君の気持ちは固いみたいだね」
「すみません」
「いや、君が謝ることはないよ。初対面のあれは……まぁ、どうかんがえてもイーリスが悪かったからね」
それはちゃんと理解してくれてるんだ。
そうだよな。初めて会ったってのにあんな態度……開始の合図無視しなかった俺を褒めても良いよな。
「ただね……はいそうですかと応じることは出来ないかな」
ッ!!! やっぱりそう簡単に話は上手く進まないか。
こういう展開になるかもしれないと予想はしていたが、さて……どうやって切り抜けば良いか。
「ふ、ふふふ。そう堅くなる必要はない。ラガス君には後ろに立っているメイド、オラリスと模擬戦をして欲しいんだ。その模擬戦の対価はキッチリと用意する……どうかな、受けてくれるかい?」
「……何を、渡してくれるんですか?」
その模擬戦は別に受けても良いと思った。
ただ、先に貰える物を確認しておきたい。
中途半端な物なら……その申し出は受けない。
「白金貨一枚。それと二振りで一つの短剣でどうだい。ランクは七だ」
……それは確かに有難い。
ていうか普通に欲しいと思ってしまう。
ただ……たった一回の模擬戦にそこまでの大金を使うのは少々アホなのではと思ってしまう。
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