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もしかしなくても?

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「なぁ、三人が一緒に組んでる奴ってどんな感じの生徒なんだ?」

「ライドのことか? 俺達と同じ平民の特待生。剣の腕前は俺より上なんだぜ」

「はっ!? それってホントかよ」

ザックスはそれなりの実力を持っている……貴族の子供でも勝てない奴はそこそこいる。
そう思えるほど実力があったのを覚えてる。

努力だけで積み上げてきた訳ではなく、才能も併せ持った俺的に将来大物になると思っている奴だ。
そんなザックスより上って……よっぽど才能があって剣の達人に稽古を付けてもらっていたのか?

「本当よ。私も心底驚いたわ。ザックスはバカだけど剣の腕前は確かよ。一方的に負けた訳じゃないけど、それでもハッキリとザックスの負けと言える戦いだったわ」

「馬鹿ってなんだよ馬鹿って。そこまで考え無しじゃないっての」

「いきなりライドに模擬戦しようぜって言ったのはどこの馬鹿よ」

「うぐっ!!! ら、ライドだって俺達と同じ平民なんだし、そこまで気にする必要はないだろ。あいつは笑顔で引き受けてくれたんだしさ」

……二人の話を聞く限り真面目な好青年、って感じか?
三人がよっぽど正確に難がある様な奴を選ぶとは思えないが、どんな奴かは知っておきたいな。

「ザックスの我儘に付き合ってくれるって考えると良い奴なのかは間違いない、か。でも、そのライドって奴は他に知り合いはいなかったのか?」

試験は誰でも受けられる。
金は必要になるが……いや、特待生の枠は全て埋まっていると考えれば無理な話か。

「おう、どうやら俺達の学校に受かったのはライドだけだったらしくてよ。同じ村から来た奴は学費が無料の学園に受かったんだよ」

「学費が無料の方か。そうなると、自然と関りは薄れて来るかもな」

「私達も一応そっちの学園も受けたんだよ」

「……でも、特待生の枠を勝ち取って合格だったんだろ」

学費が無料の方が平民にとっては有難いが、その分設備や教師の質に大きな差が生まれる。
確か学費が無料の学園で特待生を勝ち取れば在学中に必要な生活費を学園が用意してくれる。

そして学費が有料である三人が通っている学園は特待生になれば学費が全額免除……成績じゃなくて戦績だったか? 
その結果次第ではある程度の生活費も支給されるんだったよな。

「そうだな。でも今通ってる方の学園からも特待生枠の合格通知が来たからそっちに入ったんだよ。そこでライドと出会って、今は一緒に行動してるんだ。見た目はこう……優男って言うのか? そんな見た目なんだけど目標は結構高く持ってるんだぜ」

「目標は高く……いったいどんな目標を持ってるんだ? ゴールドランク冒険者になるとかそんな感じか?」

「それもあるけど、ライドはかなり大きな壁に挑戦しようとしてるの」

大きな壁か……ゴールドランク冒険者も大きな壁だけど、才能を持ちながら努力を惜しまない三人とザックスよりも剣の腕が上のライド君が組めばその高みまで登れる可能性はあるだろうな。

ただ、それより大きな挑戦ってのは凄く気になるな。

「それは俺が聞いても大丈夫なのか?」

「ラガスだったら大丈夫っしょ。なんとな……好きな人が貴族の令嬢なんだよ」

「それは……凄いな。もしかして幼い頃からの知り合いとかそんな感じなのか?」

「そんな感じらしいぞ。でも、貴族の令嬢だからやっぱり婚約者? ってのがいるらしいんだよ。ライドの好きな人はそれを嫌がってるらしいんだけど、親が決めた婚約話だからそう簡単に消すことは出来ないらしくてよ」

そりゃそうだよな。親同士が決めた婚約話……当人たちの気持ちだけでそう簡単に変えられる話じゃない。

…………てかちょと待てよ。どっかで聞いたことがある話?

「で、自分と好きな人が結ばれた方が家にとっても有益だってのを示す為にゴールドランクを目指すんだよ!!!」

「そ、そうか……なんか、ロマン? がある話だな」

「傍から見れば絶対に無理だって思われる内容かもしれないけど、ライドは本気で彼女を正式に勝ち取ろうと頑張ってるわ。あっ、先に言っておくけど二人は両想いなんだからね」

「分かってる分かってる……うん、分かってる」

ちょい待てよ……もしかして、もしかしてだけど……マジでライド君はリーベのライバル、なのか?
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