353 / 965
もしかしなくても?
しおりを挟む
「なぁ、三人が一緒に組んでる奴ってどんな感じの生徒なんだ?」
「ライドのことか? 俺達と同じ平民の特待生。剣の腕前は俺より上なんだぜ」
「はっ!? それってホントかよ」
ザックスはそれなりの実力を持っている……貴族の子供でも勝てない奴はそこそこいる。
そう思えるほど実力があったのを覚えてる。
努力だけで積み上げてきた訳ではなく、才能も併せ持った俺的に将来大物になると思っている奴だ。
そんなザックスより上って……よっぽど才能があって剣の達人に稽古を付けてもらっていたのか?
「本当よ。私も心底驚いたわ。ザックスはバカだけど剣の腕前は確かよ。一方的に負けた訳じゃないけど、それでもハッキリとザックスの負けと言える戦いだったわ」
「馬鹿ってなんだよ馬鹿って。そこまで考え無しじゃないっての」
「いきなりライドに模擬戦しようぜって言ったのはどこの馬鹿よ」
「うぐっ!!! ら、ライドだって俺達と同じ平民なんだし、そこまで気にする必要はないだろ。あいつは笑顔で引き受けてくれたんだしさ」
……二人の話を聞く限り真面目な好青年、って感じか?
三人がよっぽど正確に難がある様な奴を選ぶとは思えないが、どんな奴かは知っておきたいな。
「ザックスの我儘に付き合ってくれるって考えると良い奴なのかは間違いない、か。でも、そのライドって奴は他に知り合いはいなかったのか?」
試験は誰でも受けられる。
金は必要になるが……いや、特待生の枠は全て埋まっていると考えれば無理な話か。
「おう、どうやら俺達の学校に受かったのはライドだけだったらしくてよ。同じ村から来た奴は学費が無料の学園に受かったんだよ」
「学費が無料の方か。そうなると、自然と関りは薄れて来るかもな」
「私達も一応そっちの学園も受けたんだよ」
「……でも、特待生の枠を勝ち取って合格だったんだろ」
学費が無料の方が平民にとっては有難いが、その分設備や教師の質に大きな差が生まれる。
確か学費が無料の学園で特待生を勝ち取れば在学中に必要な生活費を学園が用意してくれる。
そして学費が有料である三人が通っている学園は特待生になれば学費が全額免除……成績じゃなくて戦績だったか?
その結果次第ではある程度の生活費も支給されるんだったよな。
「そうだな。でも今通ってる方の学園からも特待生枠の合格通知が来たからそっちに入ったんだよ。そこでライドと出会って、今は一緒に行動してるんだ。見た目はこう……優男って言うのか? そんな見た目なんだけど目標は結構高く持ってるんだぜ」
「目標は高く……いったいどんな目標を持ってるんだ? ゴールドランク冒険者になるとかそんな感じか?」
「それもあるけど、ライドはかなり大きな壁に挑戦しようとしてるの」
大きな壁か……ゴールドランク冒険者も大きな壁だけど、才能を持ちながら努力を惜しまない三人とザックスよりも剣の腕が上のライド君が組めばその高みまで登れる可能性はあるだろうな。
ただ、それより大きな挑戦ってのは凄く気になるな。
「それは俺が聞いても大丈夫なのか?」
「ラガスだったら大丈夫っしょ。なんとな……好きな人が貴族の令嬢なんだよ」
「それは……凄いな。もしかして幼い頃からの知り合いとかそんな感じなのか?」
「そんな感じらしいぞ。でも、貴族の令嬢だからやっぱり婚約者? ってのがいるらしいんだよ。ライドの好きな人はそれを嫌がってるらしいんだけど、親が決めた婚約話だからそう簡単に消すことは出来ないらしくてよ」
そりゃそうだよな。親同士が決めた婚約話……当人たちの気持ちだけでそう簡単に変えられる話じゃない。
…………てかちょと待てよ。どっかで聞いたことがある話?
「で、自分と好きな人が結ばれた方が家にとっても有益だってのを示す為にゴールドランクを目指すんだよ!!!」
「そ、そうか……なんか、ロマン? がある話だな」
「傍から見れば絶対に無理だって思われる内容かもしれないけど、ライドは本気で彼女を正式に勝ち取ろうと頑張ってるわ。あっ、先に言っておくけど二人は両想いなんだからね」
「分かってる分かってる……うん、分かってる」
ちょい待てよ……もしかして、もしかしてだけど……マジでライド君はリーベのライバル、なのか?
「ライドのことか? 俺達と同じ平民の特待生。剣の腕前は俺より上なんだぜ」
「はっ!? それってホントかよ」
ザックスはそれなりの実力を持っている……貴族の子供でも勝てない奴はそこそこいる。
そう思えるほど実力があったのを覚えてる。
努力だけで積み上げてきた訳ではなく、才能も併せ持った俺的に将来大物になると思っている奴だ。
そんなザックスより上って……よっぽど才能があって剣の達人に稽古を付けてもらっていたのか?
「本当よ。私も心底驚いたわ。ザックスはバカだけど剣の腕前は確かよ。一方的に負けた訳じゃないけど、それでもハッキリとザックスの負けと言える戦いだったわ」
「馬鹿ってなんだよ馬鹿って。そこまで考え無しじゃないっての」
「いきなりライドに模擬戦しようぜって言ったのはどこの馬鹿よ」
「うぐっ!!! ら、ライドだって俺達と同じ平民なんだし、そこまで気にする必要はないだろ。あいつは笑顔で引き受けてくれたんだしさ」
……二人の話を聞く限り真面目な好青年、って感じか?
三人がよっぽど正確に難がある様な奴を選ぶとは思えないが、どんな奴かは知っておきたいな。
「ザックスの我儘に付き合ってくれるって考えると良い奴なのかは間違いない、か。でも、そのライドって奴は他に知り合いはいなかったのか?」
試験は誰でも受けられる。
金は必要になるが……いや、特待生の枠は全て埋まっていると考えれば無理な話か。
「おう、どうやら俺達の学校に受かったのはライドだけだったらしくてよ。同じ村から来た奴は学費が無料の学園に受かったんだよ」
「学費が無料の方か。そうなると、自然と関りは薄れて来るかもな」
「私達も一応そっちの学園も受けたんだよ」
「……でも、特待生の枠を勝ち取って合格だったんだろ」
学費が無料の方が平民にとっては有難いが、その分設備や教師の質に大きな差が生まれる。
確か学費が無料の学園で特待生を勝ち取れば在学中に必要な生活費を学園が用意してくれる。
そして学費が有料である三人が通っている学園は特待生になれば学費が全額免除……成績じゃなくて戦績だったか?
その結果次第ではある程度の生活費も支給されるんだったよな。
「そうだな。でも今通ってる方の学園からも特待生枠の合格通知が来たからそっちに入ったんだよ。そこでライドと出会って、今は一緒に行動してるんだ。見た目はこう……優男って言うのか? そんな見た目なんだけど目標は結構高く持ってるんだぜ」
「目標は高く……いったいどんな目標を持ってるんだ? ゴールドランク冒険者になるとかそんな感じか?」
「それもあるけど、ライドはかなり大きな壁に挑戦しようとしてるの」
大きな壁か……ゴールドランク冒険者も大きな壁だけど、才能を持ちながら努力を惜しまない三人とザックスよりも剣の腕が上のライド君が組めばその高みまで登れる可能性はあるだろうな。
ただ、それより大きな挑戦ってのは凄く気になるな。
「それは俺が聞いても大丈夫なのか?」
「ラガスだったら大丈夫っしょ。なんとな……好きな人が貴族の令嬢なんだよ」
「それは……凄いな。もしかして幼い頃からの知り合いとかそんな感じなのか?」
「そんな感じらしいぞ。でも、貴族の令嬢だからやっぱり婚約者? ってのがいるらしいんだよ。ライドの好きな人はそれを嫌がってるらしいんだけど、親が決めた婚約話だからそう簡単に消すことは出来ないらしくてよ」
そりゃそうだよな。親同士が決めた婚約話……当人たちの気持ちだけでそう簡単に変えられる話じゃない。
…………てかちょと待てよ。どっかで聞いたことがある話?
「で、自分と好きな人が結ばれた方が家にとっても有益だってのを示す為にゴールドランクを目指すんだよ!!!」
「そ、そうか……なんか、ロマン? がある話だな」
「傍から見れば絶対に無理だって思われる内容かもしれないけど、ライドは本気で彼女を正式に勝ち取ろうと頑張ってるわ。あっ、先に言っておくけど二人は両想いなんだからね」
「分かってる分かってる……うん、分かってる」
ちょい待てよ……もしかして、もしかしてだけど……マジでライド君はリーベのライバル、なのか?
64
お気に入りに追加
3,491
あなたにおすすめの小説
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる