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過去には何もない
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『ラガスの友達はみんな強いんだね』
『そうだな。みんな才能があって、努力を重ねてきた三人だからな』
超小型になったルーフェイスは肉を挟んだサンドイッチを食べながらも三人の実力をある程度把握してるんだろうな。
三人の実力は同年代の生徒と比べれば頭一つ抜けている。
ロッソ学園の生徒の中でも上位に入る実力を持っている……と俺は思っている。
三人が有頂天になって努力を怠るようにも思えないしな。
「ラガスだったらやっぱり何回かそういう騒ぎに巻き込まれたよな」
「断定するなよ。まぁ、実際は決闘にまで発展したり……俺の事を異様に敵視している相手と戦ったりもしたな」
「そういえば、フレイア女学院の生徒に凄い恨まれていたわよね。もしかして過去に何か関わったことがあったの?」
イーリスの事か……確かにそうとう恨まれて妬まれてたよな。
今でもその感情が完全に消えているとは思えないけど、初対面のあいつはマジで俺のことを殺す気満々だった。
アサルトタイガーファングとか、放った対象が俺じゃなかったら大怪我を負うのは当然として、最悪殺していた可能性だってあった。
「特に無かったよ。俺は貴族のパーティーとかに興味が無かったからな。恨まれ絡まれたのはセルシアがパートナーになったからだ」
「身分的な問題で妬む相手が多いという訳ね」
「そうなんだよ。俺としては子供のうちは爵位を継いでる訳でもなく、何か大きい功績を得た訳でもないんだからそういった差で妬むのはおかしいと思ってるんだけどな」
貴族の子供だから戦闘や魔法の才能が上ってのは確かだけど、結果的にはそこまで変わらない実力になる……と思ってる。
それに子供という事件で平民が住みやすい環境を作ったり、少しでも役立とう結果を積み重ねている訳でもない。
そんな奴らをどう敬えば良いんだって話だ。
「でも、結果的にはボコボコにしたじゃない」
「ぼ、ボコボコって……そんな殴って蹴って潰してはいないだろ」
「そうだったかしら? けどあの氷の虎……アサルトタイガーファングだったかしら。あれはおそらくあの子が出せる最強の攻撃魔法でしょ」
「だった思うぞ、セルシアと戦った時もあれ以上に強い魔法は使ってなかったし」
「そんな自分が自信を持って放つ魔法をことごとく破壊したのだから、プライドも一緒に粉々に破壊されてる筈よ」
そ、それは否定出来ないな。
ただ俺としては別に機嫌を取る様な相手じゃない……というか家の当主からは好意的な態度をとられてるし、プライドや心が粉々に砕けようがどうでも良い。
セルシアと戦った後はそれなりに良い顔になってたからそこら辺は修復されてるだろう。
「向こうも公爵家の令嬢だ。一回や二回の敗北で再起不能にはならねぇよ」
「そうかもしれないわね……けれど、アサルトタイガーファングを破壊したのには本当に驚かされたわ」
「わ、私も! あれは本当に驚いた。だって、完全なアサルトタイガーファングじゃなくても氷の強度は相当高い筈だよね。それを声と拳一つで割っちゃうなんて……普通は無理だと思うよ」
「それはあれだ。俺は他の子供達よりも早く訓練を始め、楽しく夢中に重ねていったからだ」
振り返っても訓練が辛い、苦しい、止めたいと思ったことは本当に無い。
そういった部分も他の子供との実力が開く要因になっている。
にしても観客達にはあの光景が一番衝撃的に映っていたのか……他の戦いもそれなりに見応えはあっただろうけど、驚きという一点に関してはアサルトタイガーファングを気合一閃っと正拳突きで破ったのが強く残ってるみたいだな。
「俺もあんな感じで魔法をぶっ壊せたらな……やっぱり魔力をスムーズに纏わせるようになるのが近道か?」
「……人にもよるが、一般的にはそこが近道だろうな。俺は魔弾が得意だから魔弾で撃ち落とすのが手っ取り早いけど」
「それは多分今のところラガスだけよ」
そうか? 魔力の総量によっては俺より威力の高い魔弾を撃つ奴なんていくらでもいると思うが……そもそも魔弾で落とす、潰すなんて考えないか。
あっ、そういえば一つ聞き忘れてたな。
『そうだな。みんな才能があって、努力を重ねてきた三人だからな』
超小型になったルーフェイスは肉を挟んだサンドイッチを食べながらも三人の実力をある程度把握してるんだろうな。
三人の実力は同年代の生徒と比べれば頭一つ抜けている。
ロッソ学園の生徒の中でも上位に入る実力を持っている……と俺は思っている。
三人が有頂天になって努力を怠るようにも思えないしな。
「ラガスだったらやっぱり何回かそういう騒ぎに巻き込まれたよな」
「断定するなよ。まぁ、実際は決闘にまで発展したり……俺の事を異様に敵視している相手と戦ったりもしたな」
「そういえば、フレイア女学院の生徒に凄い恨まれていたわよね。もしかして過去に何か関わったことがあったの?」
イーリスの事か……確かにそうとう恨まれて妬まれてたよな。
今でもその感情が完全に消えているとは思えないけど、初対面のあいつはマジで俺のことを殺す気満々だった。
アサルトタイガーファングとか、放った対象が俺じゃなかったら大怪我を負うのは当然として、最悪殺していた可能性だってあった。
「特に無かったよ。俺は貴族のパーティーとかに興味が無かったからな。恨まれ絡まれたのはセルシアがパートナーになったからだ」
「身分的な問題で妬む相手が多いという訳ね」
「そうなんだよ。俺としては子供のうちは爵位を継いでる訳でもなく、何か大きい功績を得た訳でもないんだからそういった差で妬むのはおかしいと思ってるんだけどな」
貴族の子供だから戦闘や魔法の才能が上ってのは確かだけど、結果的にはそこまで変わらない実力になる……と思ってる。
それに子供という事件で平民が住みやすい環境を作ったり、少しでも役立とう結果を積み重ねている訳でもない。
そんな奴らをどう敬えば良いんだって話だ。
「でも、結果的にはボコボコにしたじゃない」
「ぼ、ボコボコって……そんな殴って蹴って潰してはいないだろ」
「そうだったかしら? けどあの氷の虎……アサルトタイガーファングだったかしら。あれはおそらくあの子が出せる最強の攻撃魔法でしょ」
「だった思うぞ、セルシアと戦った時もあれ以上に強い魔法は使ってなかったし」
「そんな自分が自信を持って放つ魔法をことごとく破壊したのだから、プライドも一緒に粉々に破壊されてる筈よ」
そ、それは否定出来ないな。
ただ俺としては別に機嫌を取る様な相手じゃない……というか家の当主からは好意的な態度をとられてるし、プライドや心が粉々に砕けようがどうでも良い。
セルシアと戦った後はそれなりに良い顔になってたからそこら辺は修復されてるだろう。
「向こうも公爵家の令嬢だ。一回や二回の敗北で再起不能にはならねぇよ」
「そうかもしれないわね……けれど、アサルトタイガーファングを破壊したのには本当に驚かされたわ」
「わ、私も! あれは本当に驚いた。だって、完全なアサルトタイガーファングじゃなくても氷の強度は相当高い筈だよね。それを声と拳一つで割っちゃうなんて……普通は無理だと思うよ」
「それはあれだ。俺は他の子供達よりも早く訓練を始め、楽しく夢中に重ねていったからだ」
振り返っても訓練が辛い、苦しい、止めたいと思ったことは本当に無い。
そういった部分も他の子供との実力が開く要因になっている。
にしても観客達にはあの光景が一番衝撃的に映っていたのか……他の戦いもそれなりに見応えはあっただろうけど、驚きという一点に関してはアサルトタイガーファングを気合一閃っと正拳突きで破ったのが強く残ってるみたいだな。
「俺もあんな感じで魔法をぶっ壊せたらな……やっぱり魔力をスムーズに纏わせるようになるのが近道か?」
「……人にもよるが、一般的にはそこが近道だろうな。俺は魔弾が得意だから魔弾で撃ち落とすのが手っ取り早いけど」
「それは多分今のところラガスだけよ」
そうか? 魔力の総量によっては俺より威力の高い魔弾を撃つ奴なんていくらでもいると思うが……そもそも魔弾で落とす、潰すなんて考えないか。
あっ、そういえば一つ聞き忘れてたな。
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