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恋愛相談?
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昼過ぎになり、セルシアは友人達と出かけているので一人で街をのんびり散策しようと思っていたのだが、俺目当ての客が訪れたらしい。
「ラガス坊ちゃまと同じ一年生、ハンターの授業を受けているジース・リーベ。侯爵家の三男です」
「侯爵家の三男、か……別に敵意とか殺意が漏れて足りはしないんだよな」
「はい、全くそのような気配はありません。尋ねた理由を一応聞きましたが、ラガス坊ちゃまの手を借りたいとのことです」
「俺の手を借りたい、ねぇ。何考えてんのかいまいち解らないな」
俺がディーザスを従えていることはまだ誰も知らない。
もしかしたら他家からの刺客を全て潰したから裏に協力者がいるんじゃないかって勘付かれてるか?
でも、それは侯爵家の三男が知っているとは考えにくいし……まっ、とりあえず会ってみるか。
「何を考えてるのか解らないけど、面白そうだから通してくれ」
「分かりました。少々お待ちください」
メリルが部屋から出た後、直ぐに一人の男子生徒がやって来た。
その姿には確かに見覚えがあった。
赤い髪を持ち、容姿はやや堅物よりのイケメン。
十三歳にしては体格は良い感じで実力は一年生の中で上の中ぐらいだったか?
とにかく悪いイメージは持っていない。
「座ってくれ」
「あぁ、失礼する。それと、面と向かって挨拶はしていなかったな。ジース・リーベだ。よろしく頼む」
「ラガス・リゼードだ。こちらこそよろしく。それで、いったい俺に何の用なんだ?」
今日は特に何かしようと予定があった訳では無い。
なので、リーベの相談をのんびり聞こうじゃないか。
「……実はだな、俺には婚約者がいるのだ」
「ほぅほぅ、それはおめでたいことだな。ちなみに俺が知ってる人物なのか?」
「名前はフィーラ・アザルト。水色の綺麗な髪を後ろで纏めている。容姿はクール、綺麗という言葉を使うのが適しているだろう。俺達と同じハンターの授業を受けている」
水色のポニーテールな感じの髪型……あぁ、そういえばそんな感じの子がいた気がするな。
確かにクール、綺麗って感じの言葉が似合う容姿だった。
へぇ~、そんな子が婚約者とは……リーベは現時点で勝ち組決定な訳だ。
「思い出した。確かにそんな女子生徒がいたな。それで、その婚約者となにかあったのか? 言っとくが俺はあんまり恋愛に関してはアドバイス出来ないぞ」
前世も含めてほぼ恋愛経験がないからな。彼女もいなかったし。
「いや、そのだな……確かに問題はある。まずは俺達が婚約者に至るまでの話をしても良いか」
「あぁ、勿論だ。ぜんぜん構わないぞ」
「そうか……まず、俺とフィーラはとある貴族のパーティーで出会ったんだ」
貴族のパーティー……もしかしてそこは出会いの場として使われるのが多いのかもな。
大人子供関係無しに。パーティーでの出会い……恋愛小説ではありがちな設定かもしれないが、この世界ではそれが当たり前なんだろう。
「……俺の、一目惚れだったんだ。幼いながらにフィーラの美しさに惚れた」
「そ、そうなのか……体に電気が流れた様な感じか?」
「雷魔法を食らったことはないが、同じ様な感覚だと思う。そして家に帰ってから父親に頼み込んだのだ」
「えっと、アザルトを自分の婚約者にしてくれないかって頼んだのか」
「そうだ。我ながら一直線に突っ走ったと思う」
一直線に突っ走った……それはその場で告白することを指すんじゃないのか?
でもこの世界の……それに侯爵家の三男であるリーベの常識的には突っ走ったという言葉が適切なのか。
「そしてお互いの当主が話し合って婚約の話はすんなりと決まった。フィーラの家が男爵家だったからというのもあるがな」
「なるほどね」
確かに男爵家の当主からすれば侯爵家の子息と娘が婚約できることは嬉しい事だろう。
本人がどう思っているのかは知らないが。
「それから学校に通うまで何度か交流を重ね、俺なりに仲を深めようと頑張ってきた」
「良いことだな」
こいつの事を全て知ってる訳じゃないが、それなりにまともな奴だということはなんとなくだが解る。
「ラガス坊ちゃまと同じ一年生、ハンターの授業を受けているジース・リーベ。侯爵家の三男です」
「侯爵家の三男、か……別に敵意とか殺意が漏れて足りはしないんだよな」
「はい、全くそのような気配はありません。尋ねた理由を一応聞きましたが、ラガス坊ちゃまの手を借りたいとのことです」
「俺の手を借りたい、ねぇ。何考えてんのかいまいち解らないな」
俺がディーザスを従えていることはまだ誰も知らない。
もしかしたら他家からの刺客を全て潰したから裏に協力者がいるんじゃないかって勘付かれてるか?
でも、それは侯爵家の三男が知っているとは考えにくいし……まっ、とりあえず会ってみるか。
「何を考えてるのか解らないけど、面白そうだから通してくれ」
「分かりました。少々お待ちください」
メリルが部屋から出た後、直ぐに一人の男子生徒がやって来た。
その姿には確かに見覚えがあった。
赤い髪を持ち、容姿はやや堅物よりのイケメン。
十三歳にしては体格は良い感じで実力は一年生の中で上の中ぐらいだったか?
とにかく悪いイメージは持っていない。
「座ってくれ」
「あぁ、失礼する。それと、面と向かって挨拶はしていなかったな。ジース・リーベだ。よろしく頼む」
「ラガス・リゼードだ。こちらこそよろしく。それで、いったい俺に何の用なんだ?」
今日は特に何かしようと予定があった訳では無い。
なので、リーベの相談をのんびり聞こうじゃないか。
「……実はだな、俺には婚約者がいるのだ」
「ほぅほぅ、それはおめでたいことだな。ちなみに俺が知ってる人物なのか?」
「名前はフィーラ・アザルト。水色の綺麗な髪を後ろで纏めている。容姿はクール、綺麗という言葉を使うのが適しているだろう。俺達と同じハンターの授業を受けている」
水色のポニーテールな感じの髪型……あぁ、そういえばそんな感じの子がいた気がするな。
確かにクール、綺麗って感じの言葉が似合う容姿だった。
へぇ~、そんな子が婚約者とは……リーベは現時点で勝ち組決定な訳だ。
「思い出した。確かにそんな女子生徒がいたな。それで、その婚約者となにかあったのか? 言っとくが俺はあんまり恋愛に関してはアドバイス出来ないぞ」
前世も含めてほぼ恋愛経験がないからな。彼女もいなかったし。
「いや、そのだな……確かに問題はある。まずは俺達が婚約者に至るまでの話をしても良いか」
「あぁ、勿論だ。ぜんぜん構わないぞ」
「そうか……まず、俺とフィーラはとある貴族のパーティーで出会ったんだ」
貴族のパーティー……もしかしてそこは出会いの場として使われるのが多いのかもな。
大人子供関係無しに。パーティーでの出会い……恋愛小説ではありがちな設定かもしれないが、この世界ではそれが当たり前なんだろう。
「……俺の、一目惚れだったんだ。幼いながらにフィーラの美しさに惚れた」
「そ、そうなのか……体に電気が流れた様な感じか?」
「雷魔法を食らったことはないが、同じ様な感覚だと思う。そして家に帰ってから父親に頼み込んだのだ」
「えっと、アザルトを自分の婚約者にしてくれないかって頼んだのか」
「そうだ。我ながら一直線に突っ走ったと思う」
一直線に突っ走った……それはその場で告白することを指すんじゃないのか?
でもこの世界の……それに侯爵家の三男であるリーベの常識的には突っ走ったという言葉が適切なのか。
「そしてお互いの当主が話し合って婚約の話はすんなりと決まった。フィーラの家が男爵家だったからというのもあるがな」
「なるほどね」
確かに男爵家の当主からすれば侯爵家の子息と娘が婚約できることは嬉しい事だろう。
本人がどう思っているのかは知らないが。
「それから学校に通うまで何度か交流を重ね、俺なりに仲を深めようと頑張ってきた」
「良いことだな」
こいつの事を全て知ってる訳じゃないが、それなりにまともな奴だということはなんとなくだが解る。
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