上 下
340 / 970

サボテン状態

しおりを挟む
全ての試合が終わった後、表彰式が行われた。
そして王様からメダルやカップを受け取るのは殆どうちの学園であり、表彰式にはリング状に団体戦に参加した生徒とシングルスとダブルスに参加した生徒も何名か立っている。

そんな中でまずは一年生のシングルスチャンピオンとして表彰を受け、続いてダブルスのチャンピオンとしてセルシアと一緒に表彰。

そして最後に団体戦のチャンピオンとして七人で王様の前に立ち、表情を向ける。
てか、相変わらず王様はそこそこ歳いってるのに圧力が凄かったな。

メダルやカップも受け取ってこれで終わりだと思い、自分の席に戻ると最後に今回の大会で一番王様の目を惹いた特別賞を授与すると伝えられる。

そこで、まぁ……結構変わった戦い方をしていた俺が選ばれた。
いや、本当に嬉しいと思ってる。思ってるんだが……何回も皆前に出るのはちょっとなぁ~。

今回の大会で殆どうちの学校がメダルやカップを受け取ってるから、突き刺さる嫉妬や妬みに恨みの視線が半端じゃないんだよな。

観客席からは温かい祝福の声が多く聞こえてくるんだが……やっぱる負の感情が籠った視線はちょっとダメージあるな。
視線が可視化出来るなら絶対に四方八方から串刺しになってる。

「おめでとう」

「光栄です。頭を下げながらメダル、そしてカップを受け取る」

「君の戦いは……才が無き物に道を与えるような戦いであった。君がこれからも己の道を突き進むことを望む。来年の大会も楽しみにしている」

「勿体無きお言葉です」

こういった受け答えは事前にクレア姉さんに教わっていなければ失敗していたと思う。
相手が大人であっても基本的にはビビることは無いんだが、この人には一歩引かなければダメって感じがする。

つか、そもそもな話……普段の言葉使いでは不敬だ!!! って言われかねない。
それは父さんや母さんたちの顔を潰す事になるから避けたい事態だ。

「本当に、君の強さや上を目指しているであろう心構えには感嘆させられた。これは私からの感謝だ。是非受け取って欲しい」

「はっ! 大切に……実戦で使わせて頂きます」

王様から渡された武器は一つの長剣だった。
咄嗟に渡されたのでびっくりしたが、上手く言葉が出て良かった。

俺が元の位置に戻った後、王様から有難い労いの言葉を頂いて大会は幕を閉じた。

「国王様から本気で気に入られたみたいだね」

「そうなんですか?」

リングから去る時にリース会長にそう言われた。
特別賞を受けた人は王様に気に入られたという証なのか?

「あぁ、そうだよ。特別賞を受ける時にその長剣を受け取っただろう。国王様は本当に気に入った、戦いを観て感動した生徒にしか武器を渡さないんだよ」

あっ、そっちのことか。
てことは……毎大会でそういった人が現れはしないってことなのか。

「きっとかなり高性能な長剣だと思うよ」

「で、しょうね。それは俺もなんとなく感じます……あの、気に入られたからって何か勧誘を受けたりしませんよね」

今更だがそれが心配になってきた。
王様に気に入られたのだから国に忠誠を誓う騎士になりなさいとか、そんな理不尽な命は下されないよな!?

「あぁ、なるほど。騎士団からの勧誘は私みたいに受けることはあると思うよ。でも、それは決して絶対じゃないから心配する必要はないよ」

「そ、そうなんですね……でも、一応勧誘は来るのか」

「そりゃ来ない方がおかしいよ。シングルスで優勝、そしてダブルスでもセルシアさんと一緒に優勝。そして団体戦でも三戦三勝。最後に国王様から特別賞を受けた……そんな生徒を騎士団は放っておかないよ。でも、無理矢理入団させようとはしないから大丈夫だよ」

「それはまぁ……有難いですね」

そうなった場合はあいつらに動いてもらって何人かの首がリアルに飛ぶことになると思うけど。

「ラガス君は国王様から武器を受け取った。その意味が解らない人なんて騎士団にはいない筈だよ」

……断言はしないんだな。
まだ学生の身ではあるが、侯爵家の令嬢だ。

裏の事情を多少なりとも知ってるんだろうな。

まっ、とりあえずこれで大会というイベントは終了したんだし、今日一ぐらいがぐーたらしよう。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

だって私、悪役令嬢なんですもの(笑)

みなせ
ファンタジー
転生先は、ゲーム由来の異世界。 ヒロインの意地悪な姉役だったわ。 でも、私、お約束のチートを手に入れましたの。 ヒロインの邪魔をせず、 とっとと舞台から退場……の筈だったのに…… なかなか家から離れられないし、 せっかくのチートを使いたいのに、 使う暇も無い。 これどうしたらいいのかしら?

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです! 文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか! 結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。 目を覚ましたら幼い自分の姿が……。 何故か十二歳に巻き戻っていたのです。 最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。 そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか? 他サイトにも公開中。

処理中です...