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やはり差はあった?
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ラガス視点
「勝者、ラガス・リゼード!!!!」
「ふぅーーーー……やっと終わった」
テンカウントが経ち、俺の勝利が決まると登場した時よりも大きな歓声が降りかかってきた。
なんだろうな、試合が終わるとあんまり観客の声量がマイナスに感じないんだよ。
「大丈夫ですか」
「えぇ、大丈夫、よ」
ラージュさんは場外に吹っ飛ばされた後も必死でリングに上がろうとした。
てか、正直上がってくると思っていた。
だから直ぐに戦えるように構えていた部分がある。
でも、流石に体力が底を尽いたらしく、リングに上がる前にテンカウントが経った。
「あなたは……本当に強い、わね」
「鍛えてるんで」
としか言いようがない。
別にドーピングとか全くしてないからな。
獣魔法とかも使ってないから、純粋に努力で得た力……才能も多少はあると思うけど。
「ふふ、そうね。あなたと戦って良く解ったわ。あながたどれだけ鍛え、強くなろうとしているのか。そんなあなたを倒そうと全力で戦った……でも、あなたは本気じゃなかった」
「……」
「そんな申し訳なさそうな顔をしないで。本気じゃなくても真剣なあなたと戦えて私は満足よ」
それなら、良かった。
ラビットぐらいは使っても良かったかなって思うけど、接近戦がメインじゃない人に使うのもあれだしな。
「次の試合、頑張ってください」
そう言いながら俺は握手を交わしている手のひらから回復弾を出した。
これで俺と戦った傷が完全に癒える訳じゃないが、無いよりは良い筈だ。
「……あなた、本当に多才ね」
過ぎにバレてしまったか。
でも、この人ならそんな他人に言いふらすことはしないだろう。
「魔法が使えない分、色々と出来るんですよ」
「そのようね。後二戦……必ずあなた達が勝つと信じているわ」
「ありがとうございます。絶対に勝ちますよ」
他の二校に負けるつもりは一切無い。
そこで俺達は別れ、皆が待っている場所へと戻る。
「よう、お疲れさん」
「お疲れ様、良い試合だったわ」
「クレアの言う通りだ、良い試合だったよ」
「お疲れ様、ラガス」
「ありがとう。思っていたより強かったよ」
嘘偽りない感想だ。
予想していたよりも実力は高く、諦めない心が堅かった。
リングアウトした時だって、あまりの圧に絶対復帰してくると思ってたしな。
「そんなこと言いながらも手札を全て見せてないんだろ」
「そりゃなぁ……俺の手札って遠距離専門の人に使うのは少し卑怯かと思えてな」
音魔法はそうでもないかもしれないが、アブストラクトと獣・鬼・竜魔法は身体強化メインの魔法が多いからな。
「ラガスが本気を出したらレーシアさんは後に残っている二戦に絶対に出れないわよ」
それはどうなんだろうな?
大会に常時待機している医者は有能だと思うから傷は癒えると思うけど……あっ、でも意識を失ってたら次の試合までに戻らない場合もあるか。
それを考えると本当に手札を使ってなくて良かったな。
「どうだい、ラージュの強さは」
「クレア姉さんと同じく魔法剣士……もしくは魔法戦士? って感じでしたね。魔闘気を纏った時は少し驚きましたよ」
「あいつ……絶対に俺と戦ってた時よりマジになってたよな」
それはど、どうなんだろうな?
もしかしたらそうかもしれないけど、あんまり団体戦の方が大事でシングルスはどうせ優勝は無理だからって諦めるような人には思えないし。
「変なこと考えないの。アリクの時も全力で戦っていた筈よ……多分」
「おい、多分ってなんだよ多分って」
は、ははは。クレア姉さんが断言出来ないって事はも、もしかしたら本気度に多少の差はあったのかもしれないな。
「ラガス、スタミナは、大丈夫?」
「あぁ、勿論大丈夫だ」
多少次の試合まで時間が空くとはいえ、やっぱり総当たり戦やトーナメント戦ってスタミナの残量が大事だが……そこら辺に関しては大丈夫だ。
まぁ、思ったよりも試合時間は高かったけどな。
それに基本的に中・近距離戦を続けてたから脚が止まることは中々なかった。
「なにはともあれ、まずは一勝。しかも圧倒しての勝利だ。みんなの実力が高いから当然の結果かもしれないが、この勢いを切らさずに勝ち続けよう」
ラージュの真剣な目に応えるように俺達は頷く。
やっぱりマジックアイテムの性能を利用したフルパワー攻撃が来たら俺でも大きな隙が生まれるかもしれないし、そこら辺は気を付けておかないとな。
「勝者、ラガス・リゼード!!!!」
「ふぅーーーー……やっと終わった」
テンカウントが経ち、俺の勝利が決まると登場した時よりも大きな歓声が降りかかってきた。
なんだろうな、試合が終わるとあんまり観客の声量がマイナスに感じないんだよ。
「大丈夫ですか」
「えぇ、大丈夫、よ」
ラージュさんは場外に吹っ飛ばされた後も必死でリングに上がろうとした。
てか、正直上がってくると思っていた。
だから直ぐに戦えるように構えていた部分がある。
でも、流石に体力が底を尽いたらしく、リングに上がる前にテンカウントが経った。
「あなたは……本当に強い、わね」
「鍛えてるんで」
としか言いようがない。
別にドーピングとか全くしてないからな。
獣魔法とかも使ってないから、純粋に努力で得た力……才能も多少はあると思うけど。
「ふふ、そうね。あなたと戦って良く解ったわ。あながたどれだけ鍛え、強くなろうとしているのか。そんなあなたを倒そうと全力で戦った……でも、あなたは本気じゃなかった」
「……」
「そんな申し訳なさそうな顔をしないで。本気じゃなくても真剣なあなたと戦えて私は満足よ」
それなら、良かった。
ラビットぐらいは使っても良かったかなって思うけど、接近戦がメインじゃない人に使うのもあれだしな。
「次の試合、頑張ってください」
そう言いながら俺は握手を交わしている手のひらから回復弾を出した。
これで俺と戦った傷が完全に癒える訳じゃないが、無いよりは良い筈だ。
「……あなた、本当に多才ね」
過ぎにバレてしまったか。
でも、この人ならそんな他人に言いふらすことはしないだろう。
「魔法が使えない分、色々と出来るんですよ」
「そのようね。後二戦……必ずあなた達が勝つと信じているわ」
「ありがとうございます。絶対に勝ちますよ」
他の二校に負けるつもりは一切無い。
そこで俺達は別れ、皆が待っている場所へと戻る。
「よう、お疲れさん」
「お疲れ様、良い試合だったわ」
「クレアの言う通りだ、良い試合だったよ」
「お疲れ様、ラガス」
「ありがとう。思っていたより強かったよ」
嘘偽りない感想だ。
予想していたよりも実力は高く、諦めない心が堅かった。
リングアウトした時だって、あまりの圧に絶対復帰してくると思ってたしな。
「そんなこと言いながらも手札を全て見せてないんだろ」
「そりゃなぁ……俺の手札って遠距離専門の人に使うのは少し卑怯かと思えてな」
音魔法はそうでもないかもしれないが、アブストラクトと獣・鬼・竜魔法は身体強化メインの魔法が多いからな。
「ラガスが本気を出したらレーシアさんは後に残っている二戦に絶対に出れないわよ」
それはどうなんだろうな?
大会に常時待機している医者は有能だと思うから傷は癒えると思うけど……あっ、でも意識を失ってたら次の試合までに戻らない場合もあるか。
それを考えると本当に手札を使ってなくて良かったな。
「どうだい、ラージュの強さは」
「クレア姉さんと同じく魔法剣士……もしくは魔法戦士? って感じでしたね。魔闘気を纏った時は少し驚きましたよ」
「あいつ……絶対に俺と戦ってた時よりマジになってたよな」
それはど、どうなんだろうな?
もしかしたらそうかもしれないけど、あんまり団体戦の方が大事でシングルスはどうせ優勝は無理だからって諦めるような人には思えないし。
「変なこと考えないの。アリクの時も全力で戦っていた筈よ……多分」
「おい、多分ってなんだよ多分って」
は、ははは。クレア姉さんが断言出来ないって事はも、もしかしたら本気度に多少の差はあったのかもしれないな。
「ラガス、スタミナは、大丈夫?」
「あぁ、勿論大丈夫だ」
多少次の試合まで時間が空くとはいえ、やっぱり総当たり戦やトーナメント戦ってスタミナの残量が大事だが……そこら辺に関しては大丈夫だ。
まぁ、思ったよりも試合時間は高かったけどな。
それに基本的に中・近距離戦を続けてたから脚が止まることは中々なかった。
「なにはともあれ、まずは一勝。しかも圧倒しての勝利だ。みんなの実力が高いから当然の結果かもしれないが、この勢いを切らさずに勝ち続けよう」
ラージュの真剣な目に応えるように俺達は頷く。
やっぱりマジックアイテムの性能を利用したフルパワー攻撃が来たら俺でも大きな隙が生まれるかもしれないし、そこら辺は気を付けておかないとな。
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