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もはや後衛職ではない

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ラージュさんと戦い始めて大体二分ぐらいか……この人、やっぱりマジで強い。

接近戦はあまり自信無いみたいな事を言ってたけど、そこら辺の奴らと比べたら普通に強いんだよな。
持っている杖だってそれ用に造られている。

杖から魔力を放出させて魔力を剣の形にする。これには魔力操作の技術が必要になってくる。
でも、ラージュさんが持っている杖は魔力を込めるだけ自動的に刃へと変化する。

「ハッ!!!」

「シッ!!!」

身体強化の練度だって並じゃない。
決してアリクと戦ってた時に手を抜いていたとは思えない。

それでも……この戦いにはシングルスの時には無い覚悟や負けられない思い? みたいなのを背負っている気がする。
だからこそ、アリクと戦っている時と比べて強くなっていると感じてしまう。

「ウィンドカッターッ!!!」

「魔弾!!!」

接近戦の合間に少しでも距離が空けば詠唱破棄で攻撃魔法をぶっこんでくる。
クレア姉さんも大概凄かったけど、ラージュさんも本気で強い。
この人も含めて二人は絶対に後衛職って呼べないだろうな。

クロウザやセルシアとバチバチに斬り合っている時も楽しかったが、こうやって刃と魔力をぶつけ合うバトルも中々気分が良いな。

「ウィンドランスッ!!!!」

「ッ、それはちょっと面倒だな」

五本のウィンドランスが一点に集中して放たれ、それは槍というよりも刃が付いた槌だった。

「うおっ、ら!!!!」

なので魔弾で撃墜はせず、アブストラクトに魔力を纏わせて思いっきり斬撃を放ってぶち壊した。
あんまり時間を掛けて潰してたら、その隙に背後を取られていたかもしれない。
てか、さっきまでのウィンドランスと比べて威力が高かった気がするんだが……気のせいか?

イーリスの様に魔力が暴走したような威力では無い、か。

「ふぅーーー……今のは、接近戦でも十分に通用する攻撃だと思っていたのだけど……どうやらあなたには意味がなかったようね」

「意味がない、という訳ではないと思いますよ。魔弾で対処しようとすればウィンドステップを使っているラージュさんに後ろを取られていたかもしれない。だから魔弾ではなく斬撃で対処させてもらいました」

「……それは光栄だと受け取っておくわ」

この試合、俺はラージュさんの遠距離攻撃に対して全て魔弾で対処してきた。
だが、さっきのウィンドランスの束だけは魔弾より威力が高い斬撃でなければ隙を生む結果となっていた筈。

本当に油断ならない人だ。
まだどんな技術を隠し持っているのやら……やっぱり人格がしっかりとしている強者との戦いは気分が良い。

「あなたは本当に強い、三年生である私や他の学園のトップと戦っても十分に勝てる可能性がある」

「それはどうも、鍛えてるんで」

まぁ、そりゃ獣・鬼・竜魔法を使えば勝てるだろうな。
その三つを使わなくても勝てるとは思うけど……使えば絶対に勝てるって確信はある。

「でも……私も大将として負けられない気持ちがある。それは解るわよね」

そう言った瞬間、ラージュさんの体がから魔力と闘気が溢れ出し……見事に融合した。
は、ははは……マジか。魔闘気まで纏えるとは、やっぱり接近戦が出来る魔法使いじゃなくて魔法戦士だよな。

クレア姉さんも使えるけど、練度的にはもしかしてラージュさんの方が上か?

「えぇ、それは勿論解りますよ。けど、俺にだってこのままパーフェクトゲームで終わらせるという思いはあります。どちらの思いの方が強いかは他者の見解にもよると思いますけど……俺は絶対に負けるつもりはありませんから」

色んな意味で俺の中にも負けたくないという思いがある。
客観的に見ればラージュさんの方がこの試合に負けたくないという思いが強いと思われるだろうが、それでも結果を覆させない。

「それじゃぁ……もっと派手に戦いましょうか」

「えぇ、望むところよ」

俺も闘気を纏い、身体能力を上げて戦いに臨む。
そういえば時間の事とか完全に忘れてたな……まぁ良いや。

本当に楽しいと思える試合なんだ。自分の好きなようにやろう。
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