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問答無用の攻撃

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「・・・・・・はぁ~~~~、良く寝た」

久しぶりにアリクと二人で話した日の翌日、睡眠はバッチリと取れた。
……いや、やっぱりまだちょっと眠いかも。

でも、二度寝すると大会に送れる可能性があるしな。

「ラガス坊ちゃま、起きてますか」

「あぁ、起きてる。直ぐに下に向かう」

大会の戦闘着である制服に着替えて良い匂いがするリビングへと向かう。

「相変わらず良い匂いだな」

既に全員が集まっているので、俺が席に座ると直ぐに朝食を食べ始める。

「そういえばラガスさん、団体戦はどうするんすか?」

「戦い方か?」

「はい。団体戦が学園にとって一番重要だ、なんて話を聞いたんである程度全力を出して速攻で終わらすのかなと思って」

「試合によってはそれもアリだと思っていた。でも、ちょっと事情があってな」

リース会長からあれを伝えられていなかったら、真面目に速攻で終わらせる試合があったかもしれない。

「学園側としては、あんまり速く試合を終わらせないで欲しいみたいでな」

「……お金の問題でしょうか?」

「大体そんな感じですね。キリアさんの言う通り、金が絡んでるって言っても過言では無い。俺が行う試合次第で学校にクレームが来るかもしれないらしいからな」

前世では神の子と言われた総合格闘家が試合開始四秒で試合を終わらせた事があったよな。
確か相手は全治六か月ぐらいの重傷だったっけ? そんな瞬殺劇を見られるのも良いかもしれないが、後になってやっぱりバチバチとした試合を長い間観たいって思うものだ。

その一瞬に興奮すれど、その熱は急激に冷めるだろう。
ボクシングでもワンラウンドで終わる試合もあるが……放送局が尺に困るって言うし、俺に伝えられた要望はそれらと同じ。

「……それって、私もなのか、な」

「それは……どうだろうな? でも、セルシアの力と戦闘スタイルを考えれば、瞬殺するのに向いてるよな」

俺は死角から一撃ぶち込んで終わらせる瞬殺劇、セルシアは速度特化による怒涛の猛撃による瞬殺劇。
でも、これから戦うであろう人達は二年生は三年生がいる訳で……でも、リース会長は俺とセルシアの実力ならばニ、三年生でも絶対に倒せるからって三戦とも団体戦に組み込んだって事だよな。

……これって、俺は頑張って三分ぐらい戦ってから勝負を終わらせても、セルシアが速攻で試合を終わらせたら意味無いのでは???

「もしかして、私も……長い間戦った方が、良い?」

「えっと、それは……正直、解らないな。リース会長から聞いた話では、そういった要望は俺だけに来ているらしいからな」

「それだけラガス坊ちゃんの実力を学園側は解っているのでしょうね」

「そう……なんだような」

なんでそんなちょっと嬉しそうなんだよ、メリル。
お陰で俺はちょっと面倒なことを頼まれてるのに……でも、セルシアの今の実力を考えれば気にしなくても良いかもな。

「どう考えても相手の実力が自分より下だなと解ったら、ちょっとぐらい遊んでやっても良いんじゃないか。そうでは無い相手なら、最初から本気で倒しにいった方良いと俺は思う」

「……中途半端に、余裕をこかない、って事。だよね」

「そういう事だな。本気で勝ちに来ている奴は後の試合なんて考えずに、一気に勝負を決めに来るかもしれないからな」

シングルスでそんな勝負を挑んで来た奴がいた筈なんだが……全く名前が思い出せない。
というか、良く考えれば魔力なんてポーションを飲めば回復するんだし、そこら辺は遠慮なしにガンガン攻めてくるかも。

一応リース会長に報告しておいた方が良さそうだな。
いや……でも体内から殆ど、もしくは全ての魔力を放出なんて行為は体に毒だ。
繰り返し行い続ければ後遺症が残るかもしれない……けど、貴族特有の面子とかプライドを考えれば三回ぐらい問答無用でぶっ放してくるか。

……俺もあんまり油断し過ぎない方が良いな。
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