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近況報告
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「はぁ~~~……今日も良い夜だな」
セルシア達の小さな祝勝会も終わり、昨日と同じようにのんびりと夜空を眺めている。
今日戦ったクロウザって奴は本当に良い相手だったな。
強い相手と戦えるな恐怖心なんて吹き飛んでしまうって性格だった。
そこまで振り切った奴が相手だとなんだが気分が良かったな。
でも、ダブルスに一緒に参加していた女の子が本当に婚約者だったら……上手くいくのか?
メリルは案外問題無いのではって言ってたけど、女の子の方が苦労するのは間違いないだろうな。
「ん? なんだ?」
暗殺ギルドの元トップから渡された通信用のマジックアイテムから連絡があり、懐から取り出す。
「……なんか用か?」
『用というか……報告だな。それよりまず、シングルスの優勝おめでとう。それとダブルスも順調だな』
連絡を寄こしたのは暗殺ギルドに所属しているわりに、妙に正義感があるガイだった。
当たり前だが、大会の結果は知ってるようだな。
「・・・・・・そりゃあ、俺はあんたらのトップだからな。王都最強の暗殺ギルド、ディーザスのトップが学生に負けるとかあり得ないだろ」
『はっはっは、確かに普通はあり得ないな。ただ、俺達にみせたあの力は大会で使うつもりはないのだろう。それなら万が一ということはあるだろう』
「結構強いと思う学生はいたけど、所詮は学生だ。基本的に毎日従者やモンスターと戦ってきた俺とは比べられないっての」
才能だけで言えば俺より上の奴は存在するだろう。
というか、俺は生活魔法と音魔法以外の基本的な魔法は使えないからな。
大抵の貴族の子息や令嬢は、魔法の才能に関しては俺より上だ。
武器の才も、俺はダッシュで前に進んでたから今は追いつかれていないけど、十年も経てば才が開花されてセンスも磨かれ……俺より腕が立つ同年代が多くなると思う
『……やっぱり中々珍しい幼少期を歩んでいたんだな』
「俺が自分から望んで選んでる道だ。それで……いったい何の用なんだ?」
もしかしてガイ達でも面倒な相手が俺達を狙ってるって感じか?
『そう急かすなよ。まぁ……あれだよ、一言で言えばマスターは中々に他の貴族から反感を買っているなって事だ』
「それは逆恨み的な感じか?」
『そうだな。大前提として、マスターのパートナーであるセルシア・ロウレットは超優良物件だ』
「だろうな。セルシアの全てを考えればそういう見解になるだろ」
家柄良し、容姿良し、スタイル良し、性格良し……欠点なんてないだろってぐらいパーフェクトだ。
いや、流石にそれは身内贔屓が過ぎるか? でも、欠点らしい欠点とか無いからな。
『マスターの言う通りだ。ジーク・ナーガルスが婚約者だった時もあまり周囲は穏やかではなかったようだ』
「侯爵家の子息が婚約者でも騒ぐのか……それで、今は男爵家の四男が婚約者だから裏で消しても全く問題は無い……そんな感じの思想を持ってるのか?」
『そんなところだ。普通に考えれば阿呆としか言えない選択なのだが、マスターとセルシア・ロウレット……両者の立場が立場だ。過去のパートナーとは少し話が変わってくるのだろう』
「……片方が貴族で片方が平民でも似た様な感じにはなるんだよな」
人伝に聞いた話だが、国が認めている制度であっても、それを裏では認めようとしない貴族はちょいちょい存在するらしい。
国が決めたルールなんだから大人しく従っておけば良いのに。
『それは……貴族の爵位による。男爵家や子爵家ならそこまで話は大きくならない。その貴族の子息や令嬢の容姿や能力にもよる……というのが今までの結果だ』
「あぁ~~~~……だから今回はセルシアのパートナーを狙う人が多いのか」
『そういう事だ、マスター。だが、こちらでキッチリと処分しているか安心して欲しい』
「それはそれは……頼もしい限りだな」
地獄の沙汰も金次第。金を積めば大きな組織の人間も動く。
そうなれば厄介な暗殺者が俺のところやって来て殺そうとしてもおかしく無いが……ディーザスを雇って……いや、乗っ取ってか?
とりあえず用心しておいて良かった。
『それと、一応報告しておくが……狙われているのはマスターだけでは無い』
「それってクレア姉さんやアリクを狙ってる奴がいるって事か」
自然と……拳を強く握る。
ディーザスの頭になったのは正解だが、やっぱり自分の手でぶっ殺してやりたいって気持ちが強いな。
『いいや、マスターの執事とメイドも狙われている』
……マジでぶっ殺してやろうか。
セルシア達の小さな祝勝会も終わり、昨日と同じようにのんびりと夜空を眺めている。
今日戦ったクロウザって奴は本当に良い相手だったな。
強い相手と戦えるな恐怖心なんて吹き飛んでしまうって性格だった。
そこまで振り切った奴が相手だとなんだが気分が良かったな。
でも、ダブルスに一緒に参加していた女の子が本当に婚約者だったら……上手くいくのか?
メリルは案外問題無いのではって言ってたけど、女の子の方が苦労するのは間違いないだろうな。
「ん? なんだ?」
暗殺ギルドの元トップから渡された通信用のマジックアイテムから連絡があり、懐から取り出す。
「……なんか用か?」
『用というか……報告だな。それよりまず、シングルスの優勝おめでとう。それとダブルスも順調だな』
連絡を寄こしたのは暗殺ギルドに所属しているわりに、妙に正義感があるガイだった。
当たり前だが、大会の結果は知ってるようだな。
「・・・・・・そりゃあ、俺はあんたらのトップだからな。王都最強の暗殺ギルド、ディーザスのトップが学生に負けるとかあり得ないだろ」
『はっはっは、確かに普通はあり得ないな。ただ、俺達にみせたあの力は大会で使うつもりはないのだろう。それなら万が一ということはあるだろう』
「結構強いと思う学生はいたけど、所詮は学生だ。基本的に毎日従者やモンスターと戦ってきた俺とは比べられないっての」
才能だけで言えば俺より上の奴は存在するだろう。
というか、俺は生活魔法と音魔法以外の基本的な魔法は使えないからな。
大抵の貴族の子息や令嬢は、魔法の才能に関しては俺より上だ。
武器の才も、俺はダッシュで前に進んでたから今は追いつかれていないけど、十年も経てば才が開花されてセンスも磨かれ……俺より腕が立つ同年代が多くなると思う
『……やっぱり中々珍しい幼少期を歩んでいたんだな』
「俺が自分から望んで選んでる道だ。それで……いったい何の用なんだ?」
もしかしてガイ達でも面倒な相手が俺達を狙ってるって感じか?
『そう急かすなよ。まぁ……あれだよ、一言で言えばマスターは中々に他の貴族から反感を買っているなって事だ』
「それは逆恨み的な感じか?」
『そうだな。大前提として、マスターのパートナーであるセルシア・ロウレットは超優良物件だ』
「だろうな。セルシアの全てを考えればそういう見解になるだろ」
家柄良し、容姿良し、スタイル良し、性格良し……欠点なんてないだろってぐらいパーフェクトだ。
いや、流石にそれは身内贔屓が過ぎるか? でも、欠点らしい欠点とか無いからな。
『マスターの言う通りだ。ジーク・ナーガルスが婚約者だった時もあまり周囲は穏やかではなかったようだ』
「侯爵家の子息が婚約者でも騒ぐのか……それで、今は男爵家の四男が婚約者だから裏で消しても全く問題は無い……そんな感じの思想を持ってるのか?」
『そんなところだ。普通に考えれば阿呆としか言えない選択なのだが、マスターとセルシア・ロウレット……両者の立場が立場だ。過去のパートナーとは少し話が変わってくるのだろう』
「……片方が貴族で片方が平民でも似た様な感じにはなるんだよな」
人伝に聞いた話だが、国が認めている制度であっても、それを裏では認めようとしない貴族はちょいちょい存在するらしい。
国が決めたルールなんだから大人しく従っておけば良いのに。
『それは……貴族の爵位による。男爵家や子爵家ならそこまで話は大きくならない。その貴族の子息や令嬢の容姿や能力にもよる……というのが今までの結果だ』
「あぁ~~~~……だから今回はセルシアのパートナーを狙う人が多いのか」
『そういう事だ、マスター。だが、こちらでキッチリと処分しているか安心して欲しい』
「それはそれは……頼もしい限りだな」
地獄の沙汰も金次第。金を積めば大きな組織の人間も動く。
そうなれば厄介な暗殺者が俺のところやって来て殺そうとしてもおかしく無いが……ディーザスを雇って……いや、乗っ取ってか?
とりあえず用心しておいて良かった。
『それと、一応報告しておくが……狙われているのはマスターだけでは無い』
「それってクレア姉さんやアリクを狙ってる奴がいるって事か」
自然と……拳を強く握る。
ディーザスの頭になったのは正解だが、やっぱり自分の手でぶっ殺してやりたいって気持ちが強いな。
『いいや、マスターの執事とメイドも狙われている』
……マジでぶっ殺してやろうか。
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