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その根性は認める

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「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……やった、か?」

「残念ながら、やれてないぞ」

「ッ!!!???」

速攻でフラグ回収していまったな。
でも、あれだけの爆撃を相手に浴びせれば勝ったと思ってしまうのも仕方ないか。

「いつ、俺の後ろに回った」

「いつって……そんなのお前の攻撃を回避して直ぐ……って答えで合ってるよな。まっ、そんな感じだ」

確かに爆撃の咆哮って技の威力と範囲は凄かった。
けど、技を繰り出すまでのちょっと遅かったな。後俺に攻撃が届くまでの時間も回避するには十分な間だった。

身体強化に脚力強化のアビリティを使用し、更に魔闘気で身体能力を強化して爆撃の咆哮を回避。
そしてライオットの後ろに回り込んだ。

「爆撃の咆哮……確かに中々の威力だった」

事前にこういう技を使うと審判に報告していたからか、結界の強度が強化されている気がする。
結界を強化するだけの威力があった。それは十分に解る。だって地面が物凄い抉れてるし。

人が魔力を与えることで再生するらしいけど、それでもこんなに抉れてしまう攻撃は大会中では見た事が無い。

「でもさ、俺は基本的にスピード重視の戦闘スタイルなんだよ。だからお前の攻撃速度が足りなかった、それがお前の敗因だな」

「ふさげるなッ!! 勝負が終わっていないのにもう勝者気取りか。嘗めるのも大概にしろッ!!!!」

いや、別に嘗めては……まぁ俺より実力が高いとは全く思って無かったけど。
でもここからライオットが逆転するのはどう足掻いても無理だろ。

爆撃の咆哮を連撃で放つか? それは絶対に無理だろ。
奥の手を何の代償も無しに仕える訳が無い。そもそもライオット本来の実力には見合っていない技だし。

それに今回の大会で武器以外の装備は認められていない。
制服には色々と耐性が施されているが、弄れるわけでは無い。

「まぁ……どう思うおうがお前の勝手だ。でもな、ライオット。お前の魔力はスッカラカンだろ。その状況からどうやって戦況を変えるつもりだろ」

「ッ、……そんな事を考えていて、戦える訳無いだろ。魔力が無くても……戦うんだよッ!!!!」

ふ~~~~ん……その根性だけは大したもんだな。
魔力がゼロになるまで使ったって事は、ぶっちゃけ気絶してもおかしく無い状態だ。

それなのに大振りだけど俺に攻撃してくるってのは……そこは評価出来る。
でも、爆撃の咆哮で俺を仕留められなかった時点でお前の負けなんだよ、ライオット。

「ふんッ!!!」

「ガハっ!!!???」

斬撃を躱し腹にカウンターをぶち込む、モロに喰らったライオットはそのまま場外まで吹き飛ぶ。
これで完全に終わりだろう、そう思っていたんだが……それでもあいつはなんとか立ち上がった。

魔力切れの状態で俺の腹パンをモロに喰らったってのに……なんで立てるんだよ?
もしかしたら少々特殊なアビリティでも持ってるのか?

「ふざ、けるな。俺は、まだ……負けてな、い」

立ち上がることには成功したが、それでもリングに戻ることは出来ず、ライオットは地面に倒れ伏した。

「そこまでっ!! 勝者、ラガス・リゼード!!!!!」

審判の勝利宣言により歓声が上がる。
客が喜んでいるのはまぁ、嬉しいといえば嬉しいよ。

でも、今の戦いにそこまで見てて楽しい要素があるとは思えなかった。
もしかしてシングルの大会が今日で終わるかもしれないからって、超ハイになってるのか?

「お疲れ様です、ラガス坊ちゃま」

「お疲れ様っす」

「おう。いや~~~、あの攻撃にはちょっと驚いたな」

「そうなのですか? 余裕で躱していたのでそんなことは無いと思っていましたが」

いやいやいや、そんなこと無いよメリル。
何も知らずにあの攻撃が来たら回避って選択肢は無かったかも入れない。

どんな攻撃が来るか解っていたからこそ余裕で回避できた訳だし。

「狼竜眼であいつが持っていた武器を視たんだよ。だから初っ端にどんな攻撃が飛んでくるのか予測出来た。分からなかったら防御か迎撃の二択だっただろうな」

「それでも大したダメージは喰らわなかったんじゃないっすか?」

「確かに拡散系の攻撃だったからな。あれが一点集中で向かって来たらヤバかっただろうけど」

「それでも対応してしまうのでしょう。やはりあの子息がラガス坊ちゃまの相手になる実力はありませんでしたね」

相変わらず辛辣な評価を下すな。
でも、爆撃の咆哮は大した威力だったけど、ライオットの戦いを今まで見た来た限り、普通に戦ったとしてもそんなに楽しい戦いにはならなかっただろうな。
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