万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

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自信満々になるのは解かる

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ライオットとの会話が終わり、再び昼食が再開するんだけど……二人がそこそこ不機嫌だ。

「お前ら、よく言い返さなかったな」

「本当は言い返したかったのですよ。ただそれは良く無いかと思いまして」

「俺も同じっす。本当はぶん殴っても良いかなと思っていたんすけど……それはそれで後々問題になるかと思って」

うんうん、二人共よく堪えてくれた。
特にシュラ、本当に堪えてくれた。流石に向こうから手は出してきてないのだから、ぶん殴ってしまうのは不味い。

「抑えてくれて良かったよ。まぁでも……向こうもそれなりに手札は用意してくるだろうな」

「……俺としてはあまり大した手札を用意出来ないと思うっす」

「どうしてそう思うんだ?」

「単純に魔力量が少ないからってのが理由っすね。長剣も使える様だけど一級品の腕を持っている訳では無い。爆発魔法を覚えているのは確かに珍しいっすけど、それでもあいつの魔力総量を考えれば大した攻撃力は無いかと」

なるほどなぁ~~。シュラの言う事は一理あるな。
魔法使いと剣士の中間地点、魔法剣士タイプなんだろうけど……どちらも一流には及ばない。

剣より魔法の方が得意って感じだけど……それでも精々一流より少し手前って感じだ。
それにシュラの言う通り、魔力の総量はそこまで多く無い。

今回の大会で戦ってきた相手の中なら、イーリス・リザードが魔力総量は一番だろう。

「魔法での一撃ならイーリス・リザードの方が上なんだろうけど、あんだけ自信満々ならそれなりの手札を用意してる筈だ……それがなんなのかは分からないけどな」

「一応警戒はしておいた方が良いでしょうね」

「そうだなぁ……あっ、一個思い付いた。攻撃の詳細が分からないからあれだけど」

「そうですか。それなら安心ですね」

俺まだどういった対策を取るのか話してないんだけど……何故安心出来る?
もう一個思い付いたけど……それはちょっと知眼的に厳しいだろうな。

どっちを使うかはその時になってから決めればいいか。

そして夕食を食べ終わり、少し食休憩を挟んで三回戦が始まる。
一回戦目と二回戦目と同じく小遣い全てを自分の勝利に賭けてきたが……俺のオッズがかなり低くなってきた。

三回戦目を勝利してもあんまり稼げなさそうだな。

「変わらず余裕そうな表情だな」

「さぁ、どうだろうな? 想像に任せるよ」

俺とライオットは同時にリングに上がり、対峙する。
観客達のテンションは相変わらずクソ高い。熱中症になってぶっ倒れる人が現れるんじゃないかと心配するぐらい高い。

そして・・・・・・あれが俺を倒すための切り札って奴か。

「武器を変えてきたんだな」

「お前が言い出したことだろ・・・・・・殺す気で掛かって来いとな」

一回戦目、二回戦目の得物は長剣だったけど……今持っている長剣は横に少々長いな。
さてさて、どんな効果が……へぇ~~~、後のことは何も考えて内的な特攻か?

いや、ポーションを飲めばそこら辺は解決出来るか。味は美味しく無いけど魔力はしっかり回復するしな。

「そうか。まぁ、安心しろよ。俺は別にお前を殺すつもりは無いから」

「その余裕な表情、直ぐに絶望に変えてやる」

「やれるもんならやってみろ、一流に届かない二流」

煽り合いが終わり、解説の紹介を挟んでようやく試合が始まる。
試合開始と同時にライオットは速攻で仕掛けて来た。

「望み通り殺しやるよ、爆撃の咆哮ーーーーーーーッ!!!!!!」

手に持つ大剣に近い長剣を横に全力で振る。
それと同時に全面に向かって爆発連鎖が隙間なく俺に襲い掛かる。

本当に隙間が無い。そして威力が中々にヤバい。ちょっと洒落にならない。
観客に爆発が及ばないから心配になるぐらいには威力があった。

なるほどねぇ~~、あれだけ自信満々になる訳だ。
うん、確かに人ひとりを殺せる威力はあるだろうな。

でも……やっぱり威力を過信し過ぎだ。
今回の大会で行われた俺の戦いを見て本当にその手札で勝てると思っていたのなら……ちょっと考えが甘いな。
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