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レイピアの腕は中々のもの……でも、自由に攻撃させるのはこの程度十分か。
そろそろ攻撃に移るとしよう。
「ぞれじゃ、今度は俺の番な」
「ッ!! な、くっ、そ!!」
突きを躱すと同時に懐に潜り、ボディを狙ってフックを放つ。
そして右のストレートと蹴り。だがそのどれもシール・ソーバットは俺の動きに付いて来れる様で、まともに食らうことは無い。
「良いな、ちょっと速度上げるぞ」
「君は、本当に底無しだ!!!」
「褒め言葉と受け取っておく!!!!」
更にギアを上げ、攻撃の速度を加速させる。
使うアビリティは身体強化だけと変わらないが、さっきまで全速力で動いていた訳じゃ無い。
加速した結果、俺の攻撃はシール・ソーバットに徐々に当たり始める。
最初は掠る程度だったが、次第にシール・ソーバットが反撃の機会を窺える隙も無くなり、防御に徹するようになり始めた。
っと、ちょっと速度が速過ぎたか?
案外楽しいからもうちょい楽しみたいんだよな。
今俺の耳にはシール・ソーバットが動く時の音、息遣い、拳や脚が腕や膝にぶつかる鈍い音。
それぐらいの音しか聞こえていない。
それほどまでに目の前の戦いに集中し……楽しめている。
「なぁ……まだ全部を見せた訳じゃ無いだろ。何かあるなら……見せてみろ」
体術アビリティの技では無く純粋な正拳突きを放ち、それをシール・ソーバットは両腕をクロスさせてガードした。
それでも衝撃を完全に殺せるわけでは無く、リングサイドギリギリまで吹っ飛ばされる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・君は、心の底から戦いを楽しんでいる、のかな?」
「あぁ~~~~、別に心の底からって訳では無いだろうけど、お前の奥の手を知らずに勝つよりは知っておきたいなって思ってさ」
「勝つのは決定事項って訳か……流石にその自信は、イラっとくるね」
ハっ!! 良い感じに目つきが変わったな。
そうだ、そういう感じの目をした奴ほど次に繰り出す攻撃が期待出来る。
強さに変えることができる感情は多々あるだろう。でも、その中で怒りは一番攻撃に変えやすい感情だと思っている。
その感情は魔力に混ざり、繰り出される攻撃に大きく影響されることが多い。
「そんなに見たいなら……是非見せてあげるよ」
「あぁ、是非見せてくれ。キッチリとぶっ飛ばすからさ」
身体強化に加えて闘気を纏って更に身体能力を強化する。
そして……更に腕力強化のアビリティを使用。
「炎よ、我が剣に纏いて敵を穿て……炎狼四閃ッ!!!!」
「ぶっ飛べ、正拳突きッ!!!!!!」
上下左右の角度から放たれる火の狼の顎。
その火力は……十分に驚異、必殺と呼ぶに相応しい技だ。
シール・ソーバットの努力と才が生んだ技なのだろう。
だから俺も渾身の正拳突きで迎え撃った。
放たれた四つの顎は最終的に俺の体の中心部を抉ろうと飛んでくる。
それならば炎狼が到達する前に潰す。
高速で放つ正拳突きが空を殴り、その衝撃波により空間が揺れ響く。
そしてその衝撃波により……四っつの顎は綺麗に消滅した。
SIDE 観客席にいる貴族達
(あれを正拳突きで砕くとは……一体どれ程まで肉体を鍛えているんだ)
(ソーバット家の子息の攻撃は悪く無かった。だがそれを一発で掻き消す程の威力を持つ正拳突き……今回の試合では一切魔弾を使っていない。余裕の表れでは無く単純に使う必要が無いのだろう)
(十分に武器と呼べるほどに脅威な魔弾の技術に魔法を砕くには十分過ぎるほど戦い慣れている接近戦の技術。……高位の攻撃魔法を無詠唱で発動出来る者でなければまず対処出来ないだろう)
(まぁ……あれだな。一言で言えば魔法使い殺し、ウィザードキラーと言うべきか。まだ剣術の技量を見ていないが、接近戦の技術が既に一年目の騎士と同等かそれ以上という事が解る……長男が一番の傑物かと思っていたが、本当の最強はこの子か)
シール・ソーバットの炎狼四閃を正拳突きのみで掻き消したラガスの技量に貴族たちは再度驚嘆していた。
魔法を至上主義と考える者でさえ、机を力の限り握りしめる程の悔しさを見せるも、その口からラガスを侮辱するような言葉を出さなかった。
そんな同じ貴族達をリットは変わらず楽しそうな表情で見ていた。
(魔法至上主義である貴族程ラガスの存在は厄介なものに映るだろうな。明らかに真ん中程度の魔法使いならば瞬殺出来るほどの技術を持っている。その技術を誰もが習得できる訳では無いだろうが……それでも魔法をメインで戦う者達からすれば厄介な存在に映ることに違いはない。それに……あれでまだ本気を出していないんだ)
二回戦でも腰に帯剣するアブストラクトを使っていないラガス。
そして今大会では一度も使用されていない獣、鬼、竜魔法。
(三年生を含めたシングルス戦を行っても勝てる奴は……ゼロだな。ラガスと同じ世代子には悪いが、生まれる年が悪かったとしか言えないな)
二回戦になっても大した手札を見せないラガスだが、この先手札を見せるに値する相手が現れるのか……それとも現れないのか。
リットの様子としては……おそらく現れないだった。
そろそろ攻撃に移るとしよう。
「ぞれじゃ、今度は俺の番な」
「ッ!! な、くっ、そ!!」
突きを躱すと同時に懐に潜り、ボディを狙ってフックを放つ。
そして右のストレートと蹴り。だがそのどれもシール・ソーバットは俺の動きに付いて来れる様で、まともに食らうことは無い。
「良いな、ちょっと速度上げるぞ」
「君は、本当に底無しだ!!!」
「褒め言葉と受け取っておく!!!!」
更にギアを上げ、攻撃の速度を加速させる。
使うアビリティは身体強化だけと変わらないが、さっきまで全速力で動いていた訳じゃ無い。
加速した結果、俺の攻撃はシール・ソーバットに徐々に当たり始める。
最初は掠る程度だったが、次第にシール・ソーバットが反撃の機会を窺える隙も無くなり、防御に徹するようになり始めた。
っと、ちょっと速度が速過ぎたか?
案外楽しいからもうちょい楽しみたいんだよな。
今俺の耳にはシール・ソーバットが動く時の音、息遣い、拳や脚が腕や膝にぶつかる鈍い音。
それぐらいの音しか聞こえていない。
それほどまでに目の前の戦いに集中し……楽しめている。
「なぁ……まだ全部を見せた訳じゃ無いだろ。何かあるなら……見せてみろ」
体術アビリティの技では無く純粋な正拳突きを放ち、それをシール・ソーバットは両腕をクロスさせてガードした。
それでも衝撃を完全に殺せるわけでは無く、リングサイドギリギリまで吹っ飛ばされる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・君は、心の底から戦いを楽しんでいる、のかな?」
「あぁ~~~~、別に心の底からって訳では無いだろうけど、お前の奥の手を知らずに勝つよりは知っておきたいなって思ってさ」
「勝つのは決定事項って訳か……流石にその自信は、イラっとくるね」
ハっ!! 良い感じに目つきが変わったな。
そうだ、そういう感じの目をした奴ほど次に繰り出す攻撃が期待出来る。
強さに変えることができる感情は多々あるだろう。でも、その中で怒りは一番攻撃に変えやすい感情だと思っている。
その感情は魔力に混ざり、繰り出される攻撃に大きく影響されることが多い。
「そんなに見たいなら……是非見せてあげるよ」
「あぁ、是非見せてくれ。キッチリとぶっ飛ばすからさ」
身体強化に加えて闘気を纏って更に身体能力を強化する。
そして……更に腕力強化のアビリティを使用。
「炎よ、我が剣に纏いて敵を穿て……炎狼四閃ッ!!!!」
「ぶっ飛べ、正拳突きッ!!!!!!」
上下左右の角度から放たれる火の狼の顎。
その火力は……十分に驚異、必殺と呼ぶに相応しい技だ。
シール・ソーバットの努力と才が生んだ技なのだろう。
だから俺も渾身の正拳突きで迎え撃った。
放たれた四つの顎は最終的に俺の体の中心部を抉ろうと飛んでくる。
それならば炎狼が到達する前に潰す。
高速で放つ正拳突きが空を殴り、その衝撃波により空間が揺れ響く。
そしてその衝撃波により……四っつの顎は綺麗に消滅した。
SIDE 観客席にいる貴族達
(あれを正拳突きで砕くとは……一体どれ程まで肉体を鍛えているんだ)
(ソーバット家の子息の攻撃は悪く無かった。だがそれを一発で掻き消す程の威力を持つ正拳突き……今回の試合では一切魔弾を使っていない。余裕の表れでは無く単純に使う必要が無いのだろう)
(十分に武器と呼べるほどに脅威な魔弾の技術に魔法を砕くには十分過ぎるほど戦い慣れている接近戦の技術。……高位の攻撃魔法を無詠唱で発動出来る者でなければまず対処出来ないだろう)
(まぁ……あれだな。一言で言えば魔法使い殺し、ウィザードキラーと言うべきか。まだ剣術の技量を見ていないが、接近戦の技術が既に一年目の騎士と同等かそれ以上という事が解る……長男が一番の傑物かと思っていたが、本当の最強はこの子か)
シール・ソーバットの炎狼四閃を正拳突きのみで掻き消したラガスの技量に貴族たちは再度驚嘆していた。
魔法を至上主義と考える者でさえ、机を力の限り握りしめる程の悔しさを見せるも、その口からラガスを侮辱するような言葉を出さなかった。
そんな同じ貴族達をリットは変わらず楽しそうな表情で見ていた。
(魔法至上主義である貴族程ラガスの存在は厄介なものに映るだろうな。明らかに真ん中程度の魔法使いならば瞬殺出来るほどの技術を持っている。その技術を誰もが習得できる訳では無いだろうが……それでも魔法をメインで戦う者達からすれば厄介な存在に映ることに違いはない。それに……あれでまだ本気を出していないんだ)
二回戦でも腰に帯剣するアブストラクトを使っていないラガス。
そして今大会では一度も使用されていない獣、鬼、竜魔法。
(三年生を含めたシングルス戦を行っても勝てる奴は……ゼロだな。ラガスと同じ世代子には悪いが、生まれる年が悪かったとしか言えないな)
二回戦になっても大した手札を見せないラガスだが、この先手札を見せるに値する相手が現れるのか……それとも現れないのか。
リットの様子としては……おそらく現れないだった。
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