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興味が無い……というのは嘘

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「ふぅーーー……皆良く飲んで喋って食べるな」

食休みをしようとラガスは食事の席から離れてベランダでのんびりとしていた。

「……やっぱり王都の夜は綺麗だな」

王都というだけあり、夜になっても光が消えることは無い。

(まだこの時間じゃ前世の都会の夜の様に明かりがある。ただ……あっちはおそらく歓楽街だよな?)

王都の中でも特に光っている場所に興味が無い訳ではないラガスだが、流石にセルシアというパートナーがいるので行く勇気は無い。

「もう料理は食べないのかな?」

「会長……」

後ろから声を掛けてきたのはロッソ学園の現生徒会長であるリース・ブライアンだった。

「はい、結構食べたのでもう腹一杯ですよ」

「そうか。君はワインは飲まなかったのかい? 慣れると美味しいものだよ」

「俺は今まで全く飲んでこなかったんでいきなりワインは無理ですよ」

実際に飲んだことがあるわけでは無いが、それでも多少の知識として酒を飲んだことが無い子供がワインは厳しいという事ぐらいは分る。

「会長はあまり飲まれてないんですか?」

「そうだね。祝いの席とはいっても、まだ一回戦が終わっただけ。明日になれば……おそらく二回戦目、三回戦目も行われる。もしかしたら決勝戦まで行われるかもしれない」

「……まぁ、無くはない話ですね」

今日行われた試合数は六十試合。
シングルスの試合を全て終わらせるにしても、五十七試合をすれば終わる。
決して不可能な話では無い。

「会長は、今回の高いの優勝になにか拘ったりしてるんですか?」

「ん? いや、特にこだわりは無いよ。勿論優勝することが一番良い結果だけど」

その答えはラガスにとって少々予想外な答えだった。

(生徒会長を務めるぐらいだから、もっとそういう結果に厳しいのかと思っていたけど……案外そうでも無いのか?)

もっと心の中では闘志が燃え滾っているのかと想像していたラガスだが、リースにはそこまで大会に対する執着は無い。

「私がシングルスやダブルスで、団体戦で優勝すれば家としても名誉なことであり、学園としても良い宣伝になるだろう。まぁ……そうだな。少し嘘を付いた、結果に興味が無い訳では無い。私は女だ。いずれお互いに興味が無い相手と結婚するかもしれない」

リースの実家は侯爵家であり、リースの姉は昔から付き合いがある者と婚約しており、既に結婚している。
姉は昔から交流がある者と結婚した。それならば良いかもしれないが、殆ど面識がない者と結婚する場合もある。

(……もしかしてだけど、会長はあんまり結婚とかに興味が無いのかも)

決して口に出さず、心の中で呟いただけなのだが、リースにはラガスの考えを読み取れていた。

「私はラガスが考えている通り、結婚にはあまり興味が無い」

「……なんで俺が考えてる事が解かったんですか? そんな顔に出てましたか?」

「顔というより、目に出ていたね。私の考えを見透かされたような目だったよ」

リースは当たり前だがラガスより年上なので人と接する機会が断然多い。
社交界に何度も出席しており、腹の探り合いやマウントの取り合いなどは慣れたもので、相手の表情や目から何を考えているのか多少は解るようになっていた。

「誰かの嫁になるより、どちらかといえばラガス君のようにハンターに興味がある」

「冒険者に、ですか」

「そうだよ。あまり似合わないかもしれないが、自由に世界を回るにはハンターとして活動するのが一番だと思っている」

「それは……確かにそうですね。元から世界を回ることに興味があったんですか?」

「……いいや、元から出は無かった。誰かと結婚するという事に興味を持てないと自覚してから意識しだしたんだ。色んな街を、場所を回ってみたいと。そうすれば、心の底から一緒になりたいと思える人と出会えるかもしれないしね」

ブライアン家には既に家督を継いでいる長男がおり、次男三男も存在するのでもしもの跡取りに関しては問題無い。
なのでリースがハンターとして自由に残りの人生を謳歌しようとしても咎める者はいない。

母はハンターになるのは危ないのではと心配しているが、リースの実力を信用している父や長男はハンターになると決めれば応援すると言ってくれた。

「クレアからも誘われているんだよ。一緒にパーティーを組んでハンターにならないかって」

「そうなんですか……でも、そんな顔をするって事はまだ決め切ってはいないんですか?」

「ふふ、そうなんだよ……実は騎士団から推薦状が届いていてね」

王都には国に仕える騎士団が複数存在し、リースは二つの騎士団から推薦状を貰っていた。
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