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最後まで隠すもの
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「あんたは……本当に人の神経を逆なでるのが上手ね」
「? 別に挑発したつもりも嘗めた態度をとったわけでも無いんだが……まっ、どちらにしろまだ時間はあるんだ。悔いが無いように戦ったらどうだ」
「ッ!!! 言われなくても全力で戦うわよッ!!!!!」
もうある程度イーリスの底が見えたラガスは今回の勝負で万が一は起こらないと思い、一気に頭が冷静になる。
それに対してイーリスはラガスを格下と見ることは無かったが、脳裏にチラつく自身の敗北という結果を全く受け入れようとはしない。
最後の最後まで抗い続け、ラガスを絶対に倒す。
そう思って魔法打ち続け、時には身体強化の魔法であるビルドアップを使用して接近戦を仕掛ける。
しかしそれでも新卒の兵士や騎士よりも接近戦慣れしているラガスに程度の低い奇襲は通じない。
そして通常の魔弾とは一味違う魔弾と魔力を纏ったラガスの拳によって氷の玉も槍も矢も鎖も全て砕かれてしまう。
攻勢に出ているのはイーリスだが、それでも観客達は気付き始める。
どんな攻撃に対してラガスが冷静に対処し、全く疲労を感じさせない。
そんなラガスに対し、イーリスには疲労の色が濃く見える。
ラガスも魔弾を使用したり拳に魔力を纏う事で魔力は消費しているが、それでも消費する魔力量は少ない。
それに対してイーリスが使用する攻撃魔法等の消費量はラガスの魔弾に比べると多い。
そして公爵家の令嬢というプレッシャーもあって精神的疲労による疲れも大きい。
(なんで、なんで私の攻撃がこんなにも通じ無いのよ!!!!)
初級魔法は無詠唱で使え、中級魔法も高速詠唱をしようして常人よりも素早く発動できる。
そして幼い頃から魔法の訓練を行っていた事で魔力量もかなり多い。
貴族の子息や令嬢の中でも同年代の者達と比べれば多くの武器を持っている。
なのに目の前の男の子が倒せない。
貴族の象徴ともいえる属性魔法を習得出来ていない。
それだけで同年代の者達から下から見られる。
確かに魔法を避け、防御し、武器で破壊する事も出来る。
しかしそれはそこまで容易く行える技術では無い。
それなのに……目の前の自分のライバルだと思っているパートナーの男はそれらを用意にこなす。
そして二人の戦いが続くこと五分弱……もう素人目にもどちらが優勢なのか解ってしまう戦況になっていた。
「……そんなに睨んでも戦況は変わらないぞ。まぁ、そのなにがなんでも諦めないって負けん気は凄いと思うけど」
「あい、変わらず。上から目線、ね」
「そういうつもりは無いんだけど……そうなってるのかもしれないな。それで、もう手札は無いのか? だったら……もう終わらせても良いよな」
イーリスが持つ氷魔法を実際に見終えて体験したラガスとしては、もうイーリスと戦う意味は無かった。
既に頭の中ではどうやってイーリスを倒すのか考えている。
だが、イーリスは自身の手札を全て見せていなかった。
「ふふふ、奥の手は最後まで隠しておくものでしょう」
「随分と自信ありげな表情だな」
「そうね……とても自信があるのよ。ただ、あたなはそれと勝負できる覚悟があるかしら?」
「・・・・・・はっはっは、分かりやすい誘いだな。良いぞ、受けてやるよ」
イーリスの奥の手が何なのか正確には解らないラガスだが、その魔法を発動するのには長い詠唱が必要だということだけは分かった。
嘘か本当かは解らない。しかし今の自分がラガスに勝つにはこの魔法しかないイーリスは即座に詠唱に入る。
もう勝負は決まったと思っていた冒険者や騎士、戦える貴族たちはイーリスの詠唱を聞いてまだ勝負は解らないと考えが変わった。
イーリスが詠唱に入ってからラガスは一歩も動かない。もしかしたらラガスはその魔法を真っ向から対処するのかもしれない。
そう考えた者達は自分達の結果が覆るかもしれないと思い始める。
「……これが、私の奥の手よ。食い千切れッ!!! アサルトタイガーファングッ!!!!!」
詠唱が完成したイーリスは氷の虎を生み出し、ラガスに向かって放つ。
「? 別に挑発したつもりも嘗めた態度をとったわけでも無いんだが……まっ、どちらにしろまだ時間はあるんだ。悔いが無いように戦ったらどうだ」
「ッ!!! 言われなくても全力で戦うわよッ!!!!!」
もうある程度イーリスの底が見えたラガスは今回の勝負で万が一は起こらないと思い、一気に頭が冷静になる。
それに対してイーリスはラガスを格下と見ることは無かったが、脳裏にチラつく自身の敗北という結果を全く受け入れようとはしない。
最後の最後まで抗い続け、ラガスを絶対に倒す。
そう思って魔法打ち続け、時には身体強化の魔法であるビルドアップを使用して接近戦を仕掛ける。
しかしそれでも新卒の兵士や騎士よりも接近戦慣れしているラガスに程度の低い奇襲は通じない。
そして通常の魔弾とは一味違う魔弾と魔力を纏ったラガスの拳によって氷の玉も槍も矢も鎖も全て砕かれてしまう。
攻勢に出ているのはイーリスだが、それでも観客達は気付き始める。
どんな攻撃に対してラガスが冷静に対処し、全く疲労を感じさせない。
そんなラガスに対し、イーリスには疲労の色が濃く見える。
ラガスも魔弾を使用したり拳に魔力を纏う事で魔力は消費しているが、それでも消費する魔力量は少ない。
それに対してイーリスが使用する攻撃魔法等の消費量はラガスの魔弾に比べると多い。
そして公爵家の令嬢というプレッシャーもあって精神的疲労による疲れも大きい。
(なんで、なんで私の攻撃がこんなにも通じ無いのよ!!!!)
初級魔法は無詠唱で使え、中級魔法も高速詠唱をしようして常人よりも素早く発動できる。
そして幼い頃から魔法の訓練を行っていた事で魔力量もかなり多い。
貴族の子息や令嬢の中でも同年代の者達と比べれば多くの武器を持っている。
なのに目の前の男の子が倒せない。
貴族の象徴ともいえる属性魔法を習得出来ていない。
それだけで同年代の者達から下から見られる。
確かに魔法を避け、防御し、武器で破壊する事も出来る。
しかしそれはそこまで容易く行える技術では無い。
それなのに……目の前の自分のライバルだと思っているパートナーの男はそれらを用意にこなす。
そして二人の戦いが続くこと五分弱……もう素人目にもどちらが優勢なのか解ってしまう戦況になっていた。
「……そんなに睨んでも戦況は変わらないぞ。まぁ、そのなにがなんでも諦めないって負けん気は凄いと思うけど」
「あい、変わらず。上から目線、ね」
「そういうつもりは無いんだけど……そうなってるのかもしれないな。それで、もう手札は無いのか? だったら……もう終わらせても良いよな」
イーリスが持つ氷魔法を実際に見終えて体験したラガスとしては、もうイーリスと戦う意味は無かった。
既に頭の中ではどうやってイーリスを倒すのか考えている。
だが、イーリスは自身の手札を全て見せていなかった。
「ふふふ、奥の手は最後まで隠しておくものでしょう」
「随分と自信ありげな表情だな」
「そうね……とても自信があるのよ。ただ、あたなはそれと勝負できる覚悟があるかしら?」
「・・・・・・はっはっは、分かりやすい誘いだな。良いぞ、受けてやるよ」
イーリスの奥の手が何なのか正確には解らないラガスだが、その魔法を発動するのには長い詠唱が必要だということだけは分かった。
嘘か本当かは解らない。しかし今の自分がラガスに勝つにはこの魔法しかないイーリスは即座に詠唱に入る。
もう勝負は決まったと思っていた冒険者や騎士、戦える貴族たちはイーリスの詠唱を聞いてまだ勝負は解らないと考えが変わった。
イーリスが詠唱に入ってからラガスは一歩も動かない。もしかしたらラガスはその魔法を真っ向から対処するのかもしれない。
そう考えた者達は自分達の結果が覆るかもしれないと思い始める。
「……これが、私の奥の手よ。食い千切れッ!!! アサルトタイガーファングッ!!!!!」
詠唱が完成したイーリスは氷の虎を生み出し、ラガスに向かって放つ。
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