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魔法はパートナーの腕前より上

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「ラガス坊ちゃま、準備はよろしいですか?」

「あぁ、まったく問題無い」

「ラガスさん、あんまりイジメたら駄目っすよ」

「解ってるって……まっ、相手によるけどな」

大会当日、学生服で大会会場に向かい、準備室に入る。
今日はジングルスの一回戦目が全学年行われる。

そして試合が進む時間が早ければ二回戦目も開始されるんだが……それってちょっと人によっては不利になると思うんだよな。

だって一回戦目で大怪我した人は勝ち上がっても怪我の程度によっては二回戦目を辞退しなければならないんだし。
回復魔法を使える従者とかがいるならあれだが……そういえば敗者には治癒が施されるって聞いたけど……まっ、そこら辺は俺に関係無いし気にしなくて良いか。

朝早めに会場に着き、広い控室に入る。
控室は四校ずつに分かれており、今この場には俺が在籍する学園の者しかいない。

「ラガス、調子は、どう?」

「いつも通りで特に問題無しだな。セルシアはどうだ?」

「問題、無し。ラガスと当たるまで、負けない」

「そうか。なら俺もセルシアと当たるまで負けないようにしないとな」

どの位置で当たるのか分からないが、とりあえず誰が相手でも同年代で前ることは無い……筈だ。
出来れば獣、鬼、竜魔法は使いたくないから。解る人には異質さが解ってしまう。

「ラブラブね二人共」

「クレア姉さん、そりゃあ……パートナーだからな」

「ふふ、それもそうね。でもラガス、あんまり油断はし過ぎない方が良いと思うわよ。女学院の方ではセルシアちゃん以外の公爵家の子もいるみたいだしね」

「セルシア以外の公爵家の令嬢、か」

クレア姉さんがわざわざ俺に伝えるって事はそれなりに戦えるという事か。
確かに、血筋だけを考えれば倒されずとも意識をかすめ取られる可能性はあるな。

「女学院……思い出した、イーリス・リザード」

「それがその子の名前か?」

「うん。確か、氷魔法が得意だった、気がする」

氷魔法か、それはちょっと珍しいな。
先天的に……血筋的に使えるのか?

「そいつの家は全員氷魔法が使えるのか?」

「だったと思う、よ。でも、水と風も使える。魔法の腕は多分、私よりも上……かな?」

「セルシアちゃんより上って事は結構な腕前よね。もしかして詠唱破棄か無詠唱も使えるの?」

「私が覚えてる限りは、使えない。でも、もしかしたら……初級の魔法ぐらいは無詠唱で、使えるかも、しれない」

へぇ~~~……それはそれは中々の腕だな。
そもそもセルシアだった遠距離の攻撃魔法が苦手という訳では無い。
寧ろしっかり止まってやれば魔法職にジョブチェンジだって可能だ。

そんなセルシアよりも上って事は……大人と比べても歳の差を覆すことが出来る力を持ってるって事か。

「結構強いんだね。でも、初級魔法ぐらいなんだろ。もしかしたら接近戦もセルシア並みに出来るのか?」

「そんな事は、ない。私が覚えてる限り、接近戦は苦手。あれから成長していても、私より強い事は……あり得ない」

お、おおう。そんな強い目で言わなくても解かるぞ。
元々接近戦は苦手、それを考えると仮に克服しようとしても俺より接近戦が出来るって事は無いか。

なら、別に心配はいらないな。

「そうか、それなら大丈夫だろう。俺の脚と魔弾があれば初級魔法程度は何とでもなる」

「ラガスの魔弾は少し特別だものね」

そう、俺が使う一般的な魔弾すら他人とは少々違う。魔弾というアビリティの影響かもしれないが、威力や硬度とスピードが他人の魔弾と比べて少々高い。

俺が操り慣れているというのもあるかもしれないが、それでもアビリティの効果を発揮してない状態で差がある。

「他にも気を付けておいた方が良い子はまぁまぁいるのだけど……あなたの表情を見る限り、心配するだけ無駄みたいね」

「いいや、心配してくれるのは嬉しいよ」

対戦相手は誰であっても勝つけどね。
これは過信じゃ無く自信だ。

他の人も交えて雑談を行っているとリングに全員が上がる時間になり、生徒会長のリースさんの誘導の元リングに向かう。
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