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種族が違えばそれだけで

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昼食を終えていよいよ執事部門の大会が始まる。
ただ、優勝するのはシュラだと解かりきっているので、どれだけ珍しい戦い方や技術を持っている執事がいるのかに注目だな。

「そろそろ一回戦が始まるね」

「そうだな。優勝は決まってるけど、やっぱりガチの戦いは見ていて面白いな」

魔法合戦じゃ無く武器や体術メインで戦ってるからマジで見てて飽きない。

「あ、相変わらず自信満々だね。でも、さっきのメリルさんの戦いぶりを思い出すと、シュラさんも素手で全員倒しちゃいそうだね」

「ん~~~……まっ、相手が使う武器次第だな。それによっちゃシュラも武器を使わざなければならない状況になるかもしれない」

もし相手が公爵家の執事であれば大金で質の高い武器を用意するかもしれない。
それはそれで勝った要因は武器のお陰だって批判が集まるかもしれないが、負けるという不名誉に比べたらマッシか。

「それは……そうかもしれないね。でも、シュラさんもメリルさんと同じように相手の武器を折ってしまうかもしれないよ」

「あぁ~~~、そういえばそんな事もあったな」

確かに大会中に相手の武器を足に魔闘気を纏わせて蹴り折った。
相手が使う武器の質にもよるだろうが、五体で武器破壊が出来ないことも無いだろう。

「搦手が得意なメリルと違ってシュラは純粋に接近戦が強いからな」

「……メリルさんてあんなに体術が上手いのに、搦手の方が得意なの???」

「あぁ、俺達は基本的な土台に体術があって、その上に色々と組み合わせてるんだよ」

ただ、メリルの糸生産とかは初見じゃまず対応出来ない奥の手だ。
その技に体術も混ぜられたら厄介なことこの上ない。

そしてシュラはまず人族では無く鬼人族。そこが俺達と比べて大きく違う部分だ。

「鬼人族であるシュラのパワーとスピードはロックスが予想してるよりヤバいぞ。もし、シュラが一回戦のメリルと同じぐらいのスピードで相手を殴りつけてたら骨が陥没……それか抉ってる可能性大だ」

「さ、最悪貫いちゃう感じかな?」

「良く解ってるな。その通りだ。別に手加減が苦手って訳じゃ無いが、相手の受け方によってはダメージが異なる場合があるだろ」

「確かに防御の準備が出来ているのと出来ていないとでは食らうダメージがかなり違うね」

そういう事だ。それに加えて状況判断の速度だって速い。
シュラとまともに戦うならば接近戦しかない。

遠距離から戦うならあいつが本能出来ない程のスピードの攻撃を……まっ、無理だろうな。
リングはある程度広いが、そこまで攻撃魔法の詠唱を終えるまでにシュラの脚が対戦者との距離を縮める。

無詠唱、詠唱破棄のアビリティを持っているなら話は別だが……もしかしたら初級魔法を詠唱無しで発動するマジックアイテムの杖とかあったりするか?
そういうのがあればまた話は変わってくるんだが。

「いや、やっぱり無駄か」

「ん? 何が無駄なの?」

「もし、本人の実力か身に付けているマジックアイテムのお陰で無詠唱で攻撃魔法を発動できるとする。その場合は良い勝負が出来るかもしれないと思ったが、素でだと少々あれだけど拳に魔力を纏えば大して意味を為さないなと思ってな」

「あ~~~、それは納得。ボール系やカッター、ランス系の攻撃魔法が飛んできたとしてもシュラさんなら殴り壊しちゃいそうだもんね」

「寧ろ掴んで相手に放り投げてしまいそうだ」

「さ、流石にそれは無理なんじゃ・・・・・・でも、ラガスに執事であるシュラさんだしな……な、なんか出来なくもない気がして来た」

いや、流石にそれは解らないぞ。俺だって試したこと無いしな。
でもシュラならそこまで威力の高い魔法でなければ受け止めてしまいそうではある、な。

「と、とりあえず試合が始まるし、ちゃんと見ようぜ」

「そ、そうだね」
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