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大会の二日前

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「ラガス坊ちゃま、いよいよ明後日から大会ですね」

「おう、そうだな」

シュラとメリル達が頭の中クルクルパーな新人ハンターに絡まれてから少々日が経ち、既にそんな日になってしまった。

既に王都ではかる~いお祭り騒ぎとなっている。
大会を行う闘技場はバカデカく、平民の人達も入れるぐらいには広い。

というか、五十年ぐらい前に改築したから貴族とそれ以外の権力者と、平民の席が分けられたんだったか?

「明日は二人の見せ場だな」

「……一応そうですね。ただ、見せ場と言える戦いが出来るかどうかは分かりませんが」

「自分んもメリルと同じ考えっすね」

う~~~ん、二人共自信たっぷりだな。第三者からは自意識過剰に思えるかもしれないけど、マジで二人共強い。
というか、俺の訓練に付き合ってくれていたからそうなったのかもしれないけどさ。

「同じメイドとして、私ほど毒を研究している人はそういないでしょう。そしてシュラほどの腕力と既による戦闘技術を身に付けた執事も殆どいないでしょう。もちろん歳の近い者としばりはありますが」

「そりゃそうだろうな。メイドや執事全体を見ればまだまだ色々と飛び抜けた力を持つ人がいてもおかしく無い」

でも、二人共やっぱり十分飛び抜けた実力を持っている訳だから、そう簡単に負ける……では無く、苦戦することは無いだろう。

自分が毒に特化していると評価するメリルだが、体術も武器も扱えるスーパーメイドだ。
そしてシュラも体術だけじゃ無く、メリル以上に武器の扱いに慣れている。後、魔法が使えない訳では無いので遠距離攻撃も行える。

手札の一つである鬼火だってあるしな。二人共戦闘に関しては本当に隙無しって感じだ。

「ただ、ラガス坊ちゃまの場合は完全に見せ場が無いと言いますか……見せ場と言える戦闘が行われず戦いが終わるかもしれませんね」

「・・・・・・ま、まぁ本気で身体強化を行えば力任せで全部終わるかもしれないけど、流石にそんなことはしないよ」

確かに力任せに倒してしまえばそれは見せ場があった戦いとは言えないかもしれない。
そしてただ身体能力を強化するだけで倒すならば余計な検索をされないかもしれないが、自分より一つか二つ上の相手をただただ素手で倒してしまうというのは……それはそれでなんか疑われそうなんだよなぁ~。

「あんまり速く倒し過ぎると相手の見せ場を奪う事になる。そうなると、面倒な馬鹿が現れるかもしれない」

「セルシアのパートナーであるラガス坊ちゃまを狙う者はあまりいないとは思いますが」

確かに先日俺を殺すつもりで挑んで来たヤークチュ・ドークは家の意向とは全く無関係。

それを考えると俺に危害を加えようと考えている家は殆どいないかもしれない。
でも、そんな物分かりの良い連中ばかりじゃないのが貴族だと思うんだよなぁ。

「確かにそうかもしれない。でも、俺が消えてくれた方が都合の良い連中も多いだろう」

「……それは否定出来ない事実ですね」

そうなんだよ。ただでさえ、超優良物件だったセルシアの元婚約者を押しのけてパートナー子供がまさかの男爵家の四男。

そりゃ貴族思考の人間からすれば全くもって気に入らない内容だ。
そういった者達が排除したいと思うのはなんら不思議では無い。

だが、俺はそう簡単に消されるつもりは無いんだよな。
その為に入学前にあいつらの力を自在に動かせるようにしたわけだし。

「あんまり心配するなって。俺の……厳密には俺の力では無いけど、ブラックジョーカー的な存在があるんだからさ」

「ブラックジョーカー的存在……なるほど、そういえば随分と私達を心配させて得たジョーカーがありましたね」

「俺達が心配した? ……あぁ、思い出した。はっはっは、確かにあの時はかなり心配したよな」

は、ははは……た、確かに二人には心配を掛けてしまったな。
でも、あれは相手の力量を考えると俺とルーフェイスじゃなと駄目だって色々考えた末の決断だ。

だから後悔はしていない。

「とりあえず、二人共明日はあんまり深く考えずに戦ってくれ」

「「かしこまりました」」
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