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努力と意志は伝わってきた
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目的の舞台が始める会場に着き、金を払って席に座る。
俺達以外の客はやはり富裕層が多いが、中にはそうでもない客がいる。
ただ、それに文句を言う様な富裕層はいない。
結構良識な客が多いのか……それともそうで無ければ追い出されてしまうのか、どちらかだろうな。
「シュラ、分かっているとは思うが寝るなよ」
「……努力する。せめて音は出さずに寝る」
「はぁーーーー、正直に言えばなんでも許されるという訳じゃないんだぞ」
それぐらい分かっている。分かっているが……開始から終わるまで起きていられる自信が無い。
舞台の内容は定番物であるらしい騎士と貴族の令嬢のラブストーリー。
身分違いの恋というものだ。
ラガスさんとセルシア様も両親の爵位の差で言えば身分違いになるかもしれないが、騎士と令嬢ならそれ以上の差だろう。
今のところ恋愛に関してはさほど興味が無い……強いて言えば、マックの今後の恋の行方は気になる。
ただ自分に今後彼女が出来るのか、どういう人を好きになってしまうのかなど、興味は無い。
だから舞台を見ていて自分の立場になって考えるという事が出来ない。
それを考えるとやはり俺が今回の舞台を見て楽しむというのは無理ではないだろうか?
「分かってるよ。ただ、本当に興味が無いからなぁ……逆にデイビスは俺に舞台を見る様な趣味があると思うか?」
「……まぁ、まず似合いは無いの一言だ」
随分とバッサリ切り捨てるじゃ無いか。でもその通りだ。
俺が舞台を見て楽しむとか、本当に似合わない。
戦っているか鉄を叩いているか、そのどちらかの方が似合っている筈だ。
「だろ、まぁ……少しだけ期待してる場面はあるけど、それまでに襲ってくる眠気に耐えられるかどうか……難しいところだな」
「まったく……とりあえず、いびきだけはやめてくれ。頼んだぞ」
「分かってる」
流石に皆静かに見ている中でいびきは本当に不味いって事ぐらいは解かる。
今こうして小声で話していてまた周りも隣の人同士で話しているから紛れているけど、客の喋り声が消えたら聞こえてくる音は舞台の音と声、そして余計なノイズだ。
腹の音とかなら掻き消されるかもしれないが、いびきは……不味い。
マックに無理やり参加させられた感はあるけど、あいつの顔に泥を塗るのも良くない。
はぁ~~~~……今度から遊びでも舞台を見に来るのは止めよう。
そう思っているうちに客の声はどんどん小さくなり、舞台が始まる。
騎士と令嬢の出会い、お互いがお互いをどう思っているかの心情、二度目の出会い、そして更に変わっていく思い。
ただ、それでも思い知らされる身分の差と障害。
テンポよく変わっていくステージに客のテンションは上がり、もしくは涙を流す者もいた。
そして俺が少しだけ期待していた戦い場面。
その感想は……まぁ、技術は大したものではと感じた。
職業が戦闘職では無いのでスピードは遅いが、それでも長年積んできたのかそれとも短期間の間で死に物狂いで覚えたのかは分からない。
ただ、必死で努力を重ねたという事実は感じ取れた。
というか、周囲の客の反応によって上がる声のお陰で結局眠ることは無かった。
物語のラストは無事、主役とヒロインが結ばれてハッピーエンドで幕を閉じた。
するとマック達も含めて客達は役者達に盛大な拍手を送った。
その流れにのって俺も拍手を送る。
確かに役者一人一人がリアルを追及して客達に楽しさを与えようとしているのは解かった。
解ったのだが……うん、やっぱり俺個人としてはあまり面白いとは思わないな。
「シュラ、よく睡魔に負けなかったな」
「あれだけ周囲がちょいちょい騒いでいたら寝ようにも寝れないだろ」
「それはそうかもな。それで、どうだった?」
「……悪いが、やっぱり俺の趣味じゃ無いな」
「そう言うと思った。ただ、話は合わせてくれよ」
「分かってるよ」
皆で楽しく感想を話し合う場で空気を読まないって選択肢は無い。というか論外だ。
俺達以外の客はやはり富裕層が多いが、中にはそうでもない客がいる。
ただ、それに文句を言う様な富裕層はいない。
結構良識な客が多いのか……それともそうで無ければ追い出されてしまうのか、どちらかだろうな。
「シュラ、分かっているとは思うが寝るなよ」
「……努力する。せめて音は出さずに寝る」
「はぁーーーー、正直に言えばなんでも許されるという訳じゃないんだぞ」
それぐらい分かっている。分かっているが……開始から終わるまで起きていられる自信が無い。
舞台の内容は定番物であるらしい騎士と貴族の令嬢のラブストーリー。
身分違いの恋というものだ。
ラガスさんとセルシア様も両親の爵位の差で言えば身分違いになるかもしれないが、騎士と令嬢ならそれ以上の差だろう。
今のところ恋愛に関してはさほど興味が無い……強いて言えば、マックの今後の恋の行方は気になる。
ただ自分に今後彼女が出来るのか、どういう人を好きになってしまうのかなど、興味は無い。
だから舞台を見ていて自分の立場になって考えるという事が出来ない。
それを考えるとやはり俺が今回の舞台を見て楽しむというのは無理ではないだろうか?
「分かってるよ。ただ、本当に興味が無いからなぁ……逆にデイビスは俺に舞台を見る様な趣味があると思うか?」
「……まぁ、まず似合いは無いの一言だ」
随分とバッサリ切り捨てるじゃ無いか。でもその通りだ。
俺が舞台を見て楽しむとか、本当に似合わない。
戦っているか鉄を叩いているか、そのどちらかの方が似合っている筈だ。
「だろ、まぁ……少しだけ期待してる場面はあるけど、それまでに襲ってくる眠気に耐えられるかどうか……難しいところだな」
「まったく……とりあえず、いびきだけはやめてくれ。頼んだぞ」
「分かってる」
流石に皆静かに見ている中でいびきは本当に不味いって事ぐらいは解かる。
今こうして小声で話していてまた周りも隣の人同士で話しているから紛れているけど、客の喋り声が消えたら聞こえてくる音は舞台の音と声、そして余計なノイズだ。
腹の音とかなら掻き消されるかもしれないが、いびきは……不味い。
マックに無理やり参加させられた感はあるけど、あいつの顔に泥を塗るのも良くない。
はぁ~~~~……今度から遊びでも舞台を見に来るのは止めよう。
そう思っているうちに客の声はどんどん小さくなり、舞台が始まる。
騎士と令嬢の出会い、お互いがお互いをどう思っているかの心情、二度目の出会い、そして更に変わっていく思い。
ただ、それでも思い知らされる身分の差と障害。
テンポよく変わっていくステージに客のテンションは上がり、もしくは涙を流す者もいた。
そして俺が少しだけ期待していた戦い場面。
その感想は……まぁ、技術は大したものではと感じた。
職業が戦闘職では無いのでスピードは遅いが、それでも長年積んできたのかそれとも短期間の間で死に物狂いで覚えたのかは分からない。
ただ、必死で努力を重ねたという事実は感じ取れた。
というか、周囲の客の反応によって上がる声のお陰で結局眠ることは無かった。
物語のラストは無事、主役とヒロインが結ばれてハッピーエンドで幕を閉じた。
するとマック達も含めて客達は役者達に盛大な拍手を送った。
その流れにのって俺も拍手を送る。
確かに役者一人一人がリアルを追及して客達に楽しさを与えようとしているのは解かった。
解ったのだが……うん、やっぱり俺個人としてはあまり面白いとは思わないな。
「シュラ、よく睡魔に負けなかったな」
「あれだけ周囲がちょいちょい騒いでいたら寝ようにも寝れないだろ」
「それはそうかもな。それで、どうだった?」
「……悪いが、やっぱり俺の趣味じゃ無いな」
「そう言うと思った。ただ、話は合わせてくれよ」
「分かってるよ」
皆で楽しく感想を話し合う場で空気を読まないって選択肢は無い。というか論外だ。
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