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確かに珍しくはあるが

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「知ってるかもしれないけど、俺の主は錬金術の授業も受けてるんだ」

「そういえばそうですたね……あぁ~~、なるほど。確かに普通の人とは違う視点からアクセサリーに興味を持ってるって表現が正しいです」

おっ、良い感じに納得してくれたか?
言ってることは当たり前というか、普通の事だしな。

でも、ラガスさんはちょいちょい物騒な事を考えてるけど……それは言わない。
髪留めに武器を仕込んだりとか、普通は思いつかないだろうし。

「不思議といえば、目標はハンターになる事なのに、貴族しか入れない学校に入学してるのも珍しといえば珍しいですよね。そこら辺はどうしてか聞いてないのですか?」

ハンターを目指しているのに何故貴族しか入れない学校に入学したのか。
確かに普通ならハンターとしての実技や座学を学べる専門の学校にいくのが妥当だろう。

・・・・・・まっ、全部を話す必要は無いな。

「ラガスさんの両親は元ハンターなんだ。だからハンターとしての知識や技能はわざわざ専門の学校に行かずとも学べる環境だったんだ。ただ、受かれば貴族専用の学校に入学は出来るのだから入学したんだろう」

「へぇーーー、そうだったんですね。ご両親が元ハンターなら、シュラさんの言う通りわざわざハンターになるための学校に通う必要は無い。でも……もしかしたらですが、私の個人的な意見なんですけど、もしかしたらラガス様はセルシア様と結ばれるために本能的にこの学園に入学したんじゃないかって思います」

「本能的に、か・・・・・・それが本当かどうかは分からないが、あり得なくはない推測だな。実際に二人は運命のパートナーだった訳だし」

ラガスさんの実力を考えれば直ぐにでもハンターになれる。
見た目で絡んでくる馬鹿共はいるだろうけど、そういった実力を正確に判断出来ない奴にラガスさんが負ける筈が無い。

でも、ラガスさんはこの学園に入学すれば良い縁と出会えるかもしれないと言っていた。
基本的にはそれが理由だろうけど、もしかしたら入学理由に無意識にセルシア様と会うためって感情もあったのかもしれない。

「でも、主人であるラガス様がハンターになるんでしょ。それなら執事であるシュラさんやメイドであるメリルさんもハンターになるのですよね」

「そりゃ当然な。主人がハンターとして活動していくのに、使える俺とメリルがハンターにならない訳にはいかないだろ」

他に道が有ろうと、俺は必然的にハンターという職業を選ぶ。
鍛冶師としてはまだまだ半人前だし、そもそも鍛冶はラガスさんの錬金術と同じで趣味の範囲で構わない。

「それでは、セルシア様もハンターになられるのですか?」

「……そうだと思うぞ。確かに公爵家の令嬢がハンターになるなんて普通は考えられないかもしれないが、そんなやわな人では無い」

「それはそうかもしれませんが……やはり冒険者になれば、外で一晩を明かしたりするのですよね」

「受ける依頼によってはそうなるかもしれないな」

「そういった環境に慣れていなければ、慣れるまではかなり苦労するかと思われますが」

エリスの意見はごもっともだな。
普段寝ているような高級ベットで寝られる訳でも無く、夕食も豪華なものでは……いや、自分達が持つ収納ならば少しの間は状態を維持したままに出来るから豪華では無くても腹一杯にはなるか。

野営の見張りに関しては確かに交代して行うものだが、基本的にはルーフェイスがいれば事が足りる。
あいつの鼻は恐ろしく優れているからな。

というか、主に見張りとか俺もメリルもあの二人もさせるつもりは無い。

それを考えればそこまで苦では無い……と思う。

「そこら辺はセルシア様も分かっている筈だ。そもそもハンターになるのが嫌ならば、あそこまで仲良くはならないだろう」

普段はあまり表情に変化が無いセルシア様だが、ラガスさんと話している時は比較的笑顔でいることが多い。
あれほど仲が良いことを考えれば、ハンターになる事が人生の苦になるとは思っていないだろう。
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