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見た目だけ、中身はまとも

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授業を終え、昼食を食べ終えた俺はある生徒に声を掛けられ、あまり人目が無い所に連れてこられた。
なんか前に同じことがあったように思えるんだが、そこは気にしない。

そんで、呼び出した相手は俺と同じ一年生で何と言うか……紙が後ろに沿っていてちょっとヤンキーっぽい人だ。
周りにいる取り巻きの連中もどことなく雰囲気がヤンキー。

「いきなり声を掛けて悪かったな」

「いや、別に今日は大して用事は無いから大丈夫だ。それで、俺になんの用だ?」

いきなり声を掛け、こんな場所に連れて来た事を謝れるって事は、単なるヤンキーって訳じゃないみたいだ。
でも、何となく父さんよりヤンキー君の親父さんの方が爵位が上な気がするんだよな。

何て言えば良いんだろうな……真っすぐなプライドを持ってるって感じか。

「ラガス・リゼード。俺と一対一で戦って欲しい」

まっ、やっぱりそうか。アリクの時もそうだったが、人気の無い場所に呼ばれるイコール模擬戦を申し込まれるって構図が俺の中で出来てきたよ。

「っと、まだ面と向かって名乗っていなかったな。俺はラッセル・バーナーだ」

ラッセル・バーナー。バーナー……どっかで聞いたことがある気がする。
クレア姉さんから貰ったリストに書いてあったような……確か、一族を通して体術が得意な貴族だったか?

というか、後ろのメイドさん申し訳なさそうな顔をしているな。主にメリルの方を向きながら。
従者は従者の授業があるからそっちで知り合った相手なのかもな。

「勿論タダとは言わない。俺がよく行く店のメニューにあるワイバーンのステーキを奢る」

ほ、ほぅーー……中々悪くない条件だな。
ワイバーンの肉は食ったことが無い。でも、竜種の肉が美味いという事は知ってる。

「分かった。それで、どこで模擬戦をするんだ」

「一応既に訓練場は取っておいた」

準備がよろしい事で。

セルシアも観戦するという事で多人数で訓練場まで移動。

「メリル、お前バーナーのメイドと知り合いなのか?」

「授業を一緒に受けてますので多少は。それにそこそこ戦えるので覚えてます」

「そっか。……あいつ、サルネ先輩より強いと思うか?」

体術を得意とする家系。他の奴らと比べれば頭一つ抜けてるんだろうが、サルネ先輩より強いとは思えない。

「……流石に経験値では劣るでしょう。ただ、魔力量はこちらの方が多いかと」

「それはそうかもな……まっ、まともな奴からの誘いだ。俺もしっかりと受けるか」

「ラガスさんも体術で戦うってことっすか?」

「そういう事だ。シュラはあいつの実力はどの程度だと思う?」

シュラも良い目を持ってるから戦わなくてもある程度相手の実力が解る。
参考にはなる筈だ。

「……なんというか、ちょっと自分に似てるかと」

「シュラに似てる、ねぇ……試してみるか」

ちょっとだけ見させてもらうぜ、バーナー。

「なるほどね。確かに似てるかもしれないな」

メリルが言った魔力が多い利点はそれに使われるのかもしれないな。

訓練場に着き、他の生徒が周りにいる中で俺とバーナーの模擬戦が行われる。

審判はメリルが行う。

「それでは……始めてください」

なんとも緊張感の無い合図だが、お互いに動こうとしない。
むやみやたらに突っ込んでくる脳筋じゃ無いって事か。

「そんじゃ、こっちから行くか」

先ずは素の状態で距離を詰め、ジャブで様子見。
顔面、上半身を狙って連続で放つ。

全力では無いが、決して遅くは無い速度……ではあるんだが、結構焦らず避けるんだな。

てか、カウンターまでぶち込んで来た!!!

「良い目を持ってるんだな」

「まだ全力を出していない相手に褒められてもあんあまり嬉しくねぇーな。今度は……こっちから行くぜ!!!!」

今度は俺が躱す番って訳ね。

ただ、向こうはジャブだけじゃなくてフックやアッパーも遠慮なく使ってくる。

どれも重さが乗った良いパンチだ。
外から見ればコンビネーションブローだけど、一発一発にこの一撃で終わらせるっていう意思が乗ってる。

相手がそこら辺の坊ちゃんなら、例え身体強化を使っていても……少なくとも骨に罅は入るだろうな。
そもそも拳が部位鍛錬で鍛え上げたでろう物だ。

普通の拳とは訳が違う。

「ちっ、躱すのも上手いな。でも、避けてるだけじゃないだろ」

「そうだな。至近距離での殴り合いといこうか」
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