万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

文字の大きさ
上 下
210 / 989

手札は多い

しおりを挟む
そろそろ時間切れかな?

戦い始めてからもう何分経ったのかいまいち覚えていないけど、四分ぐらいは経っている筈だ。
もうサルネさんの攻撃パターンは理解したし、攻撃が俺に当たることは無い。
それに比べて速度はこちらが上だから俺の攻撃はある程度当たる。

骨は折れていないが、もしかしたら罅が入っている可能性はある。

これ以上手札が無いんだったら、そろそろ終わらせるとするか。

「安心してよ。まだカードはあるからさ」

俺の感情を読んだのか、不敵な笑みを浮かべながらサルネさんは後方へ飛んだ。
左手を前に出し、右拳を下げて深く構える。

そしておそらく最後の力を振り絞り、魔闘気を一気に開放した。
その魔闘気は右拳に一点集中し始める。

いやいやいやーーー……そりゃぁ~、本当に喰らう訳にはいかないな。

ならこっちもそれ相応の攻撃で相殺させてもらうか。
サルネさんと同じ構えを取り、魔闘気を右拳に集中させる。
ただ、サルネさんの拳には魔闘気にプラスして風の魔力がプラスされている。

もしかしたら威力で負ける、かもしれない。
なら、こっちは獣の魔力で勝負だ。

「タイガーフィストッ!!!!!!」

「狼旋弾ッ!!!!!!!」

お互いに放った一撃が風の虎に、獰猛な狼となって中央で激突する。
その衝撃は足に力を入れて踏ん張っていないと尻もちをついてしまうほどに激しかった。

結果は相殺。
どちらにも被害は及ばず。

だが、どうやら向こうはガス欠みたいだな。

「へ、へへへ。さ、さすがだね。一応、私の切り札なんだけど、ね」

「切り札に相応しい威力だと思いますよ。ただ、俺は基本属性魔法が使えないだけで、手札は多いんですよ」

「なるほど、それじゃあ……今日は私の負けだね」

今日はって事は、またいつか模擬戦をするって事か?
まっ、それぐらいは構わないけど。

「そこまで、勝負あり。勝者はラガスだ!! にしてもお前、本当に強いな! 想像以上に凄いぜ!!」

「あ、ありがとうございます」

「本当に凄い戦いだった。改めて体術の凄さを思い知らされたよ」

あっ、合格発表の時にレックス先生と一緒にいたイケメンインテリメガネ。

「自己紹介をしていなかったね。ウェル・ラーザスという。三年生の魔法科を担当している者だ。君が三年生になる時を楽しみにしているよ」

「は、はい。その時はよろしくお願いします」

この人、やっぱりレックス先生同様に超強いよな。
サックス先生といい、教師陣マジで強い人しかいないのか?

いや、教える立場なんだから教師が強いのは当たり前だが。

「んじゃ、後は頑張れよラガス!!!」

「へ? は、はい!?」

頑張れって何を・・・・・・あっ、戦いに集中し過ぎて忘れてた。

「ラガス君、ちょっと良い?」

「は、はいっ!!?? な、なんでしょうか」

サルネさん、急に近づいてきてそんな耳元で喋らないでくれよ!!
背中がゾクゾクしてしまうだろ!!

「あのね、別に今すぐじゃなくて良いの。君には絶対に迷惑を掛けないからさ、もっと大人になってから君の種をちょうだい」

「わ……わかりました」

「ありがと!!! それじゃ、私がもっと強くなったらまた模擬戦してね」

それだけ言い終えると速足で去って行った。

「お疲れ様ラガス。最後の一撃も流石だったわ」

「あ、ありがとうクレア姉さん。正直、最後のサルネさんの一撃は喰らっちゃダメだって本能的に思ったからさ」

「それで正解よ。あの技は人に対してめったに使わないのよ。モンスターには別だけど」

そりゃそうだろう。歳の近い奴らでよっぽど防御に特化していない奴なら喰らった場所の骨や肉がボキボキでボコボコにされる。

「それと、あの子のことちょっとは気にかけてあげてね」

「・・・・・・うっす」
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

処理中です...