上 下
189 / 965

手紙に書かれていたあの人

しおりを挟む
食堂で夕食を受け取り、空いている席に座って料理を食べ始める。

やっぱり貴族が通う学園の料理だからか、上品な味だな。
こんな料理がタダで食べられるなんて有難いもんだ。

「ラガス、また新しいあれは、造ってるの?」

「あれ? ・・・・・・あぁ、あれか。ボチボチな。腕が鈍らない程度だが、幾つか造っているよ」

ただし、バルンク様専用の魔靴であるディセクションが最高傑作だけどな。
あの時ほど魔靴を、錬金術を行うのに集中した時は無い

そして・・・・・・あれほど価値の高い素材を使って魔靴を造った事も、あれ以来無い。

素材ならフェリスさんが採ってくると言ってくれたが、俺の錬金術の腕が上達しない事には豚に真珠、ってほど腕は低くないと思うが似たようなもんだしな。

「その魔靴はお売りになるつもりはあるのですか」

「いや、腕を鈍らせないように造ってるだけだから、基本的に売るつもりは無いですよ」

キリアさんも魔靴に興味があるのか?
確かに我ながら使い勝手が良い魔道具ではあると思うけど。

「何の話してんのよ、ラガス!!!」

「のわッ!!!??? な、く、クレア姉さんか。脅かさないでくれよ」

「ふふふ、ごめんなさいね。でも、ラガスそんなに驚くところ初めて見たかも」

「完全に気を抜いていたからね。というか、後ろから急に抱き着かれたら普通にビックリするよ」

胸を押し付けるように抱き着くクレア姉さんを剥し、後ろを振り向くとクレア姉さんの他に女子生徒が二人と男子生徒が二人いた。

何時も行動している四人か。
というか、その内の一人に関しては姉さんからの手紙の中で強調されていたような?

髪は短髪で黒い。褐色肌で・・・・・・超巨乳。
あぁ、何となくは解った。

「さっきの試合、私達も見てたのよ。圧勝するのは予想していたけどラガス・・・・・・あなたにまさかあんな良い意味で悪い部分があったなんてね。お姉ちゃん初めて知ったわよ」

良い意味で悪いって、やっぱりよう解らんな。

「それは、俺も良く解らないけど、ちょっとハイになっていたんだと思うよ。んでさ、とりあえず自己紹介しようよ」

「それもそうね。初対面の面子が殆どだし」

座る場所を多少変えて俺達一年生と三年生が向かい合う形で夕食を再開する。

自己紹介を終え、俺は姉さんの友達の名前はしっかりと覚えた。

優男がベール。巨漢な脳筋男がマッスラ―。ザ・令嬢な金髪お嬢様がミリス。そして制服を着崩して如何にも風紀を乱しそうなアマゾネスのサルネ。

こっちも自己紹介をし、何故かクレア姉さんはセルシアの自己紹介を聞いた時に嬉しそうな顔をしていた。

「それで、ぶっちゃけどうだったの」

「何がですか?」

「あんたに喧嘩を売って来たお馬鹿さんに決まってるじゃない」

お馬鹿さんって。その通りかもしれんが、そこまでいつも通り声量で言っちゃうか?
周囲にいる生徒達は、そのお馬鹿さんが誰なのか解っちゃったと思うんだが。

「そうだね。まぁ・・・・・・強いんじゃないか。一般的には」

「そうね。確かに今年の一年生の中では強い部類でしょうね。でも、物足りなかったんでしょ」

「ナーガルス相手にそういうのは求めてないからそんな感情は持たなかったけど、色々と足りないなと思った」

一番は実戦経験かな。
全くの皆無とは思わないけど、何度も何度も実戦を経験している様には思えない。

「はっはっは!!! あのジーク・ナーガルス相手に色々と足りないって言える奴はこの学園には殆どいないのに、同じ新入生にそう評価されるとはな。まっ、流石クレアの師匠ってところだな」

「・・・・・・クレア姉さん。俺の事なんて説明してるの?」

自慢してくれるのは嬉しいが、あまり誇張し過ぎるのは勘弁なんだが。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...