万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

文字の大きさ
上 下
182 / 989

相手の土俵で勝負を挑め

しおりを挟む
まさか教師をしている間にパートナーに選ばれた者を見る事が出来るとはな。

「おめでとう、少年。先程の少女が君のパートナーだ」

先程の少女、確かロウレット家の三女だったな。
あそこの子は皆優秀だが、三女もまた周囲と比べて頭三つほど抜けている。
見ている景色が違うとも言えるか。

そして目の前の少年の家族もまた有名だ。
両親は元シルバーランクのハンター。

兄姉も全員異質・・・・・・いや、全員では無いがそれでも他の生徒から見れば異質に見えるか。

んで、この少年はそんな奴らの中でも特にヤバそうだな。
家族全員実力者とは言っても、爵位は男爵家。
普通はそれ以上の爵位を持つ親の子供の機嫌を損なわない様に気を付けてオドオドしてるもんだが、こいつは兄や姉よりも堂々としてる。

ただ単に開き直ってるだけじゃない。

「そ、そうですか。わかりました」

この結果自体には多少なりとも動揺しているみたいだな。
そりゃそうか。自身のパートナーが現れるなんて、基本的巡って来ない奇跡だ。

ただ・・・・・・・俺の記憶が正しければ、ロウレット家の三女には侯爵家の子息という婚約者がいた気がするんだが。
あっ、後方の列から物凄い眼で睨んでる。
今にラガス君? に詰め寄って殴りかかりそうな形相だな。
パートナーが見つかれば、例えどれほどの権力を持つ者であっても、介入することは国が禁じている。

俺が生まれるよりも前の話だが、それを王族が守ったんだ。
侯爵家如きがそれを破る訳にはいかない、んだが。それが感情的に理解出来るほど熟達はしていないだろう。

ラガス君もそれが解っているからか、嫌そうな表情をしている。

・・・・・・・万一を考えて、一つ訓練場を今の内に使用許可を取っておいた方が良さそうだ。


「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

な、なにを喋ったらいいのか解らん!!!

後ろを振り向いてメリル達に助けを求めるが、四人とも良い笑顔で頭を下げるだけで助けてくれない!!

メリル、シュラ!! お前ら俺の従者なんだろ!!! 主が困ってるんだからちょっとは助けたらどうだ!!!

「ラガス」

「お、おう! なんだセルシア?」

急に喋りだすなよ、振り向くなよ。緊張するだろ。
いや、俺がただ単にテンパってるだけか。

「これから、よろしくね」

「・・・・・・・おう、よろしくな」

はぁーーーー、この笑顔には何があっても敵わん気がする。
というか、そもそも基本的に無表情な美少女の笑顔とか反則だよな。

さて、後はあの面倒な奴をどう処理するかが問題だ。


入学式。学園長の言葉と生徒会長の言葉。そして新入生代表の言葉をセルシアが読み上げ、特に問題無く式は進んでいった。

そしてもう一度学園長が壇上に立ち、マイクの様な魔道具を握った。

「さて、学生諸君。君たちは貴族の子息、令嬢。だが進むべき道は各々違うだろう。全員が全員貴族の世界に残る訳では無い。ただし、どこの世界に行っても個人の人柄や努力だけでは越えられない壁が存在する」

見た目は凄い厳つい爺さんだから、昔は戦場で暴れたりしていたのかもな。

「そんな世界でも礼儀は必要じゃ。まっ、こんな事を言わんでも君たちは理解しているだろう。しかしッ!!!!!」

のわッ!!!??? いきなり大きな声出さないでくれよ学園長先生。
俺だけじゃなくて他の生徒、親御さん達までびっくりしちゃってるじゃん。

「まだまだ若い君達に、感情を完全にコントロールしろというのは無理な話だ。解っていても、蓋を閉めていても漏れ出してしまう感情がある!!!!」

しっかりと子供の事を考えてるんだな学園長は。

ただ・・・・・・・一つだけ疑問なのは、何故視線が俺に向いてるんだ?
いや、俺の勘違いかもしれんが。

「そういう時は、相手の土俵に立って堂々と勝負を挑むのだ!!!!」

・・・・・・・あ、あの爺さん、もしかして俺とセルシア、それとジーク? って奴の関係を知ってるのか!!?? だから俺に視線を向けていたのか?

「ただ、相手がその勝負を受けてくれるかは別だがな」

そ、それは別に勝負を受ける必要は無いって言ってるようなもんだよな。

だったらあいつからもし決闘を申し込まれたとしても受ける必要は・・・・・・・違うか。
この問題はいずれどこかで解決しなければならない問題だ。

なら、早い内に解決することに越した事は無いな。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

俺だけ皆の能力が見えているのか!?特別な魔法の眼を持つ俺は、その力で魔法もスキルも効率よく覚えていき、周りよりもどんどん強くなる!!

クマクマG
ファンタジー
勝手に才能無しの烙印を押されたシェイド・シュヴァイスであったが、落ち込むのも束の間、彼はあることに気が付いた。『俺が見えているのって、人の能力なのか?』  自分の特別な能力に気が付いたシェイドは、どうやれば魔法を覚えやすいのか、どんな練習をすればスキルを覚えやすいのか、彼だけには魔法とスキルの経験値が見えていた。そのため、彼は効率よく魔法もスキルも覚えていき、どんどん周りよりも強くなっていく。  最初は才能無しということで見下されていたシェイドは、そういう奴らを実力で黙らせていく。魔法が大好きなシェイドは魔法を極めんとするも、様々な困難が彼に立ちはだかる。時には挫け、時には悲しみに暮れながらも周囲の助けもあり、魔法を極める道を進んで行く。これはそんなシェイド・シュヴァイスの物語である。

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

簡単に聖女に魅了されるような男は、捨てて差し上げます。~植物魔法でスローライフを満喫する~

Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』
ファンタジー
ifルート投稿中!作品一覧から覗きに来てね♪ 第15回ファンタジー小説大賞 奨励賞&投票4位 ありがとうございます♪ ◇ ◇ ◇  婚約者、護衛騎士・・・周りにいる男性達が聖女に惹かれて行く・・・私よりも聖女が大切ならもう要らない。 【一章】婚約者編 【二章】幼馴染の護衛騎士編 【閑話】お兄様視点 【三章】第二王子殿下編 【閑話】聖女視点(ざまぁ展開) 【四章】森でスローライフ 【閑話】彼らの今 【五章】ヒーロー考え中←決定(ご協力ありがとうございます!)  主人公が新しい生活を始めるのは四章からです。  スローライフな内容がすぐ読みたい人は四章から読むのをおすすめします。  スローライフの相棒は、もふもふ。  各男性陣の視点は、適宜飛ばしてくださいね。  ◇ ◇ ◇ 【あらすじ】  平民の娘が、聖属性魔法に目覚めた。聖女として教会に預けられることになった。  聖女は平民にしては珍しい淡い桃色の瞳と髪をしていた。  主人公のメルティアナは、聖女と友人になる。  そして、聖女の面倒を見ている第二王子殿下と聖女とメルティアナの婚約者であるルシアンと共に、昼食を取る様になる。  良好だった関係は、徐々に崩れていく。  婚約者を蔑ろにする男も、護衛対象より聖女を優先する護衛騎士も要らない。  自分の身は自分で守れるわ。  主人公の伯爵令嬢が、男達に別れを告げて、好きに生きるお話。  ※ちょっと男性陣が可哀想かも  ※設定ふんわり  ※ご都合主義  ※独自設定あり

処理中です...