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背中がチクチク
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筆記試験中に爆睡してると、試験官の人に一度起こされてもう問題は解き終わったのかと訊かれた。
それに対して俺は解答用紙は見せなかったが、解き終わりましたと答えると試験官は「そうか」というだけで後は何も言ってこなかった。
もしかしたら昨日の夜、明日が試験という事で寝れなさ過ぎて爆睡していると思ったのか?
でも、俺より前の席に座っている奴らは全員寝てないし、ただ単に問題を解き終わったから寝てるとは思わないか。
俺が試験官に起こされた事に周囲の受験生たちから小さな笑い声が聞こえたが、問題を解き終えたと答えた瞬間にピタリと止んだ。
私語厳禁なので独り言すら聞こえなかったが、後ろからちょいちょい痛い視線が飛んできて寝心地が悪かった。
「そこまで!!! 速やかにペンを置け!!! 問題用紙と解答用紙を前に出せ。解答用紙の向きは周囲に見えないように下向きだ」
試験監督の一言で全員が速やかにペンを置き、溜め息を吐いた。
五十分しっかりと頭を使い切ったから出たのか、それとも問題を解ききれなかったから出てしまった、もしくは完全に諦めの意志が籠った溜め息なのかは分からない。
でも、この人数の中で全員が筆記試験に合格する訳では無い。
なら俺が考えられる全ての溜め息が吐き出されていても可笑しくないな。
「お疲れ様」
「ああ、お疲れ様だな。どうだった? 手応えは良かったか?」
「うん、悪くなかった。ラガスは、結構余裕だったね。もしかして、昨日良く寝れなかった?」
「いいや、普通に快眠だったよ」
しっかりと八時間以上の睡眠を取れたし、ベッドも上質な物だったから疲れは殆ど取れている筈だ。
「そうなんだ。でも、筆記試験の最中に、寝る人は殆どいない、らしいよ。寝てしまう人は、寝不足の人だけだって、お父さんが言ってた」
そ、そうなんですかバルンク様!!?? 筆記試験中に寝るという行為は結構不味い事なんですか!!??
あぁーーー、視線が痛かったのはそういう理由なのかもしれないな。
前世ではテストの最中は問題が解き終わったら良く寝てたからなぁーー・・・・・・しょうがないよな。うん、そうだ、しょうがない。
というか過ぎてしまった事をこれ以上考えていても意味は無い。休憩を挟んで行う次の実技試験に意識を切り替えよう。
「昼食は学食を使えるみたい、だけどラガスはどうるす?」
「学食か・・・・・・そうだな。行ってみよう」
中学はまだ給食だったから学食という料理を食べた事は無い。
だから少し気になっていた。
そしてメリル達と合流してから食堂に向かったのだが、おそらく大半の受験生がいると思われる程の人数がいた。
学園から出て少し歩けば料理店や屋台はあるが、態々学園から出て昼食を取ろうと思う人は少ないか。
料理を受け取り、空いている席に座るとさっそく話す話題は先程まで受けていた筆記試験についてだった。
「ラガス坊ちゃま・・・・・・それは流石に他の受験生から怒りを買ってしまうかと」
「お、俺も同意見っすね。まぁ、流石ラガスさんって俺は思いますけど、他の受験生からしたら自分達は今こんなにも苦労してるのにあいつは思い切り寝やがって!! て思ってるかと」
やっぱりそうかーーーー。敵意なら同じ受験生なんだからまだ分からんくもないが、背中に突き刺さる視線の中には殺意が籠ったものもあった。
あんまり気にしてはいないつもりでも精神的にちょこっとダメージ受けるから止めて欲しいんだよな。
「ですが、その表情から察するにおおよその点は取れているのですよね? なら一先ずは問題無いと思いますよ。合格発表の五日後は少々背後を気を付けた方が良いかと思われますが」
「・・・・・・実際に合格者が不合格者にその日の帰り道に刺されたりした事があるらしいです」
何それこっわ!!! えっ、合格者が一人減れば不合格者の一人が繰り上がるとかそんな事があるから?
でも仮にそうだとしても自分が選ばれるって決まってる訳じゃ無いから、いくらなんでもリスクが高すぎるよな。
「ご安心くださいラガス坊ちゃま。私とシュラとルーフェイスが付いていますので、万が一はありませんよ」
「そうっすよ。そんな阿呆が来たら返り討ちにしてやるんで心配しなくて大丈夫っすよ」
「お、おう。ありがとな」
それは有難い事なんだが、もし不合格者本人が襲って来たら咄嗟に魔弾で反撃してしまいそうだ。
当たった箇所が頭部と心臓以外ならまだ大丈夫・・・・・・だと思うが、もし心臓か頭部を撃ってしまったらマジでヤバいよな。向こうが加害者であっても。
今はそうならないことを祈る事しか出来ないか。
それに対して俺は解答用紙は見せなかったが、解き終わりましたと答えると試験官は「そうか」というだけで後は何も言ってこなかった。
もしかしたら昨日の夜、明日が試験という事で寝れなさ過ぎて爆睡していると思ったのか?
でも、俺より前の席に座っている奴らは全員寝てないし、ただ単に問題を解き終わったから寝てるとは思わないか。
俺が試験官に起こされた事に周囲の受験生たちから小さな笑い声が聞こえたが、問題を解き終えたと答えた瞬間にピタリと止んだ。
私語厳禁なので独り言すら聞こえなかったが、後ろからちょいちょい痛い視線が飛んできて寝心地が悪かった。
「そこまで!!! 速やかにペンを置け!!! 問題用紙と解答用紙を前に出せ。解答用紙の向きは周囲に見えないように下向きだ」
試験監督の一言で全員が速やかにペンを置き、溜め息を吐いた。
五十分しっかりと頭を使い切ったから出たのか、それとも問題を解ききれなかったから出てしまった、もしくは完全に諦めの意志が籠った溜め息なのかは分からない。
でも、この人数の中で全員が筆記試験に合格する訳では無い。
なら俺が考えられる全ての溜め息が吐き出されていても可笑しくないな。
「お疲れ様」
「ああ、お疲れ様だな。どうだった? 手応えは良かったか?」
「うん、悪くなかった。ラガスは、結構余裕だったね。もしかして、昨日良く寝れなかった?」
「いいや、普通に快眠だったよ」
しっかりと八時間以上の睡眠を取れたし、ベッドも上質な物だったから疲れは殆ど取れている筈だ。
「そうなんだ。でも、筆記試験の最中に、寝る人は殆どいない、らしいよ。寝てしまう人は、寝不足の人だけだって、お父さんが言ってた」
そ、そうなんですかバルンク様!!?? 筆記試験中に寝るという行為は結構不味い事なんですか!!??
あぁーーー、視線が痛かったのはそういう理由なのかもしれないな。
前世ではテストの最中は問題が解き終わったら良く寝てたからなぁーー・・・・・・しょうがないよな。うん、そうだ、しょうがない。
というか過ぎてしまった事をこれ以上考えていても意味は無い。休憩を挟んで行う次の実技試験に意識を切り替えよう。
「昼食は学食を使えるみたい、だけどラガスはどうるす?」
「学食か・・・・・・そうだな。行ってみよう」
中学はまだ給食だったから学食という料理を食べた事は無い。
だから少し気になっていた。
そしてメリル達と合流してから食堂に向かったのだが、おそらく大半の受験生がいると思われる程の人数がいた。
学園から出て少し歩けば料理店や屋台はあるが、態々学園から出て昼食を取ろうと思う人は少ないか。
料理を受け取り、空いている席に座るとさっそく話す話題は先程まで受けていた筆記試験についてだった。
「ラガス坊ちゃま・・・・・・それは流石に他の受験生から怒りを買ってしまうかと」
「お、俺も同意見っすね。まぁ、流石ラガスさんって俺は思いますけど、他の受験生からしたら自分達は今こんなにも苦労してるのにあいつは思い切り寝やがって!! て思ってるかと」
やっぱりそうかーーーー。敵意なら同じ受験生なんだからまだ分からんくもないが、背中に突き刺さる視線の中には殺意が籠ったものもあった。
あんまり気にしてはいないつもりでも精神的にちょこっとダメージ受けるから止めて欲しいんだよな。
「ですが、その表情から察するにおおよその点は取れているのですよね? なら一先ずは問題無いと思いますよ。合格発表の五日後は少々背後を気を付けた方が良いかと思われますが」
「・・・・・・実際に合格者が不合格者にその日の帰り道に刺されたりした事があるらしいです」
何それこっわ!!! えっ、合格者が一人減れば不合格者の一人が繰り上がるとかそんな事があるから?
でも仮にそうだとしても自分が選ばれるって決まってる訳じゃ無いから、いくらなんでもリスクが高すぎるよな。
「ご安心くださいラガス坊ちゃま。私とシュラとルーフェイスが付いていますので、万が一はありませんよ」
「そうっすよ。そんな阿呆が来たら返り討ちにしてやるんで心配しなくて大丈夫っすよ」
「お、おう。ありがとな」
それは有難い事なんだが、もし不合格者本人が襲って来たら咄嗟に魔弾で反撃してしまいそうだ。
当たった箇所が頭部と心臓以外ならまだ大丈夫・・・・・・だと思うが、もし心臓か頭部を撃ってしまったらマジでヤバいよな。向こうが加害者であっても。
今はそうならないことを祈る事しか出来ないか。
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