万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

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待ち望んでいた物

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「当主様、待ち望んでいた物が届きました」

現在私、レアースはメーザス公爵家当主のバルンク様の部屋の前にいる。
そして私は片手に一つの箱を持っている。

「それは本当か!!?? 直ぐに入れ!!!」

今は仕事の最中だった思うのだが・・・・・・気にしたら負けというやつでしょう。

「失礼します」

部屋の中へ入り、早足でバルンク様の元へ向かい、一足の靴が入った箱を渡す。

「こちらがラガス君はお造りになった魔靴でございます。中には魔靴と一緒に説明書が付いています」

「そうかそうか」

バルンク様は子供の様な表情で箱を開ける。
そして中に入っている魔靴を持ち上げ、その見た目にウンウンと頷いて満足そうな表情になった。

「中々に鋭いイメージを与える魔靴だ。良いデザインだな」

外見に満足した後は直ぐに説明書を読み始める。
その目は領地や他の貴族との関連書類に目を通す時と同じ程真剣な眼をしている。

「ふむふむ、なるほどな。そういう事ならば早い内に試さなければならないな」

「何が書いてあったのですか」

「まずはこの魔靴の名前だが、ディセクションというらしい。そしてディセクションの扱い方が書いてあり、魔靴の感想を聞かせて欲しいと書いてあった。だから早急にディセクションの使い心地を試さなければと思ってな!!!」

今日のバルンク様は本当に機嫌が良い。
魔靴か・・・・・・私もバルンク様の様に素材を揃え、報酬を前払いしてラガス君に造って貰おうか。
ただ、流石にバルンク様が前払いとして送ったアブストエンドの様なマジックアイテムは持っていないからなぁ・・・・・・その辺りはおいおい考えよう。

「それでは明日にでもモンスターが生息する森へと向かいますか? 勿論護衛を付けてですが」

特に厄介な件がある訳でも無いので、一日程バルンク様が屋敷から離れても特に問題は無いだろう。

「それで構わん。それでは明日の分の仕事を今日中に終わらせなければな!!!」

・・・・・・ここまでバルンク様が真剣に書類作業をしているのは初めて見るかもしれない。
とりあえず私の用は済んだので部屋から出よう。

さて、明日護衛の面子を探すか。



「ふむ、中々の狩り日和だな」

「そうですね」

ある程度強いモンスターと遭遇する為に奥の方へ走って来たのだが、殆ど息が切れていない。
相変わらず陰で訓練を継続しているのだろう。

「バルンク様は随分と上機嫌だな。そんなに魔靴ってのは凄いのか?」

人族と巨人族のハーフであるビラッズはバルンク様が履いている魔靴を興味深そうに見ている。

「凄いかどうか私には解らない。ただセルシアお嬢様はラガス君からプレゼントされた魔靴を毎日履き、訓練で使う事もあれば外に出て魔物を狩る事もある」

「そういえば新人の騎士達の中でセルシアお嬢様の相手をした奴らが脚技が凄いって言ってたが、正確にはその魔靴ってのが凄いのか。ノエリアから見てそのラガスって小僧はどうだったんだ?」

「とりあえず小僧と呼ぶほど実力は低くないでしょう」

ノエリアは最近、ラガス君から良い影響を受けたのか接近戦に力を入れている。
お世辞にも戦い方が上手いとは言えないけどね。

「ほほぅーーーー、ノエリアにしては随分と褒めるじゃねぇーーか。しっかしそいつは基本属性の魔法アビリティを習得出来ないんだろ」

「そのようですね。ただ生活魔法は使えるらしいので、魔法の適性が完全に無いという訳では無いでしょう」

「そうかそうか。まっ、攻撃魔法も万能って訳じゃ無いからな」

「ビラッズさんみたいな威力の高い魔法を拳一つで木っ端微塵にするような人はそうそういないです」

攻撃魔法があまり意味を為さないという点では、破り方は違っても似ているかもしれない。
問題無いとばかり攻撃を潰すビラッズ。意味が無いとばかりノータイムで速い攻撃を放つか、詠唱の隙間に詰め寄って息の根を止めるラガス君。

いやぁーーーー、魔法使いにとっては本当に天敵な二人だ。

「レアースからも聞いたが、セルシアも随分とラガス君の事を評価していた。並大抵の実力では無いのは確かだ。しかし中々履き心地は良いな」

ラガス君の事を話す時のセルシアお嬢様はわずかにだが表情が柔らかくなる。
それを見た者達は皆癒されると言っているが、その気持ちは解る。

なんて事を考えていると良い獲物が近づいて来た。
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