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増えた未来の面倒事

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「ただ、何度も何度も敗れているみたいだけどな」

「や、敗れている?」

振られるじゃなくて敗れているってどういう事だ?
いや、何度も振られるってのは色々とヤバいとは思うが。

「文字通り敗れてるんだ。その女子生徒は自分との一対一の戦いに勝った相手なら付き合っても良いと宣言してるらしくてね」

「中々過激な人ですね」

「確かにそうかもしれないね。ただ、家が武闘派の令嬢にはそういった考えを持っている人はそこまで珍しくないんだ。でもアリクが狙っている女子生徒は一一対一の戦いでの武器と魔法は使用を禁止にしているんだ」

「単純に己の五体で戦って自分より強い人が良いって事ですか?」

しかし武器と魔法を禁止ねぇ・・・・・・いや、一瞬卑怯じゃないかと思ったが、クレア姉さんの友達がそんな事を思って戦ってる訳無いか。

「それに文句を付けた男子生徒が魔法や武器ありで戦ったらしいが、あっけなく惨敗したらしい」

「なるほど。元から武器や魔法を使ったところで意味が無いと」

「魔法に関しては壊滅的に意味を為さないらしい。無詠唱や詠唱破棄のアビリティを持っていなければそもそもな話、攻撃する前にやられる。長剣や槍を持って戦っても間合いを潰されてやられると手紙には書かれてあった」

へぇ・・・・・・俺と似たような感じの事が出来るのか。
ん? でも貴族の学校に通ってるって事は、魔法が使えるはずだよな。

「その女子生徒は基本属性の魔法アビリティを習得しているんですよね」

「ああ。火と土のアビリティを習得しているらしい。ある程度腕の立つ相手には武器や魔法アビリティの使用を許可するが、自身も火と土魔法を使って応戦してるらしい」

「それが今も続いているという事は、未だ無敗という事ですか」

「のようだね。クレアから話を聞く限り、母親が少し特殊らしいからその影響もあるんだろう」

母親が特殊か。もしかして獣人やエルフなのか?
でも基本的に貴族が獣人やエルフを嫁にする事は無いと思うんだが。パーティー等にも人族以外の子息や令嬢はいなかったし・・・・・・解らんな。

「とりあえずその無茶強い正常にアリクは夢中という事ですね」

「そういう事だね。僕としては授業も真面目に受けている様だから文句はないさ。手紙で僕にどうすれば強くなれるか聞くぐらいだからね」

「へぇーーーー・・・・・・あのアリクが。結構マジなのか。卒業までに付き合えそうなんですか?」

「どうだろうね。その関係が結構長いらしくて気になって一度学園にいって戦いの様子を見て来たんだ」

卒業生が母校に行けるのは当たり前だからコッソリ見に行くことも出来るんだろうな。

「学生にしては頭が二つぐらい抜けてる。ただ、印象的には随分と戦い慣れていると感じた。ラガスみたいにね」

「それは、俺みたいにモンスターと戦ってるって事ですか」

「それもあるかもしれないが、貴族なら家が所有する兵士と戦う事も出来るだろう。そういった辺りで経験を積んでいるのかもしれない。アリクも中々に健闘していたが、それでも一歩か二歩足りないね」

アリクも俺にはボロクソに負けていたけど、同学年の奴らに比べればやっぱり頭一つは抜けてると思うんだけどな。
まぁ、習得しているアビリティによっては男女の体格差なんて意味を為さないからその女子生徒の努力プラス、習得しているアビリティにアリクの実力が及ばないのか。

「・・・・・・もしかしたら、ラガスはその女子生徒に目を付けられるかもしれないな」

「ど、どういう事ですか?」

眼を付けられるって、もしかしてその令嬢はヤンキー気質なのか?

「当初は強そうな男子生徒の摸擬戦を自分から申し込んでいたんだ。その時期から結構経って、今度はその女子生徒が摸擬戦を申し込まれる立場になったようなんだ」

「今度新入生として入学する俺はまだ実力が全く解らないからもしかしたら目を付けられるかもしれない、と」

「そういう事だ。というか、既にクレアはその友達に自分の弟は素手でも強いと自慢してるらしいからね」

クレア姉さん、余計な事はしないでくれよぉ・・・・・・はぁーーー、入学早々に起こる面倒事が増えた。
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