上 下
138 / 975

ちょっと贅沢に

しおりを挟む
相変わらず角が嫌な感じに上に向かって尖ってるな。
それに速さも中々。このままコンバットドールとぶつからせるのは得策じゃないな。

「腕力、脚力強化」

コンバットドールに強化の魔弾が効くのは実証済み。
角を受け止める腕力と踏ん張る脚力を上げれば何とななるだろ。

「ブルルルアアアアーーーーー!!!!

アッパーバイソンの突き上げを視覚同調を使って正確に捉え、角を掴んで威力を抑える事に成功。
そして強化した脚力をで突進の威力を減速。
後退りしてしまったが、それでも何とか抑える事に成功した。

完全に動きを止めたところで右足を振り上げ、顎をカチ割る勢いで蹴りを放つ。
そして腹が見えた瞬間に今度は左足で前蹴りをぶちかます。

コンバットドールと感覚まで同調してる訳では無いから骨が折れたかどうかは解らないけど、跳んだ飛距離からしてノーダメージって事は無い筈。

「ダメージはあっても直ぐに起き上がるか。戦い慣れているのか?」

「古傷が少しあるようですし、もしかしたら生まれて来てそこそこ生きている個体かもしれませんね」

「なるほど。ただ、長い間生きている割には学習能力が無いのかもしれないな」

起き上がったのは良いが、もう一度突進か。
何か策があっての突進なのか、それとも考え無しの攻撃。

後者ならカウンターで角を片方切り落とす。

「ッ!! 前者か。というか、古傷が残る程戦っているならそんな真似はしないか」

コンバットドールとの距離が詰まる前に跳び、そのまま空中で一回転してからの角で角刺し狙いか。

「ただそれで倒せると思ったら嘗められたもんだ」

まだ脚力強化の効果は続いている。
だからそれぐらいの攻撃を躱すなら余裕だ。

「坊ちゃま!!!」

なるほど。本命はコンバットドールでは無く俺か。
コンバットドールからの攻撃を我慢してでもまずは俺を倒すと。

「ただ、それこそ嘗められたってもんだ」

「ブモッ!!!???」

アッパーバイソンのカチ上げを紙一重で避け、躱し際に跳ねに蹴りを一発当て、更に魔弾を二発放って前足を潰す。
そして空中に飛ばしたコンバットドールの刃を展開し、上から角を根元から斬り裂く。

「綺麗に切断されましたね」

「だな。良い鉱石を使って造った甲斐がある」

鉱山から採れた魔力の通しはそこまで良くないが、それでも刃に変えた時は切断力が高く頑丈なブルーライト鉱石。そして風の魔力を強く含んだ風魔結晶。
最後にほんの少し、ほんの少しだが採掘出来たミスリル鉱石。
ミスリル鉱石を混ぜた事でブルーライト鉱石の魔力伝達の低さをカバー出来たからかなり使い勝手が良くなっている。

「しかしアッパーバイソンはかなり荒れ始めましたね」

「そりゃ自慢の角を斬られたんだから怒るだろ。でも角が無いアッパーバイソンとかボア系のモンスターと大して変わらないよな。あっ、ボア系のモンスターも角はあるからそれ以下か」

勿論そんな事は無い。というか一概にどっちの系統のモンスターが強いのかなんて決められない。
ただこの状況のアッパーバイソンにならおそらく言葉が解らないであろう人の言葉から、その者から向けられた感情は解るのではと思ったが・・・・・・やっぱり解るもんなんだな。

「ブモモモモアアアアァァァアアアアアアアーーーーーーーーーッッッ!!!!!」

「声がデカ過ぎるって。他のモンスターが寄ってくるかもしれないな」

ここにきてようやく身体強化のアビリティを使ったか。
というか、角を切断された痛みと前足を貫かれた痛みはどこにいった?
もしかしてアドレナリンがドバドバ出てるから一時的に痛みが消えてるのか。

というか、身体強化のアビリティを使ってるからさっきより速いのは当たり前だが、それだけでこの速さが出せるのかは疑問だな。

「後で調べるとしよう」

威力は申し分ないんだろうが、それでも突進する姿勢が悪いな。
俺のコンバットドールを操る技量次第である程度の動きは出来る。

こちらもコンバットドールを走らる。ただし姿勢は超前傾姿勢。上半身は完全に前に倒れている。
そしてアッパーバイソンの顎より仕方から二つの刃を振り上げ、動きを完全に止めた。

っと思ったが、思いの外アッパーバイソンの突進力が強く、刃は刺さって上に持ち上げる事に成功しけどそのまま勢い余って後ろにかなり仰け反った。

「とりあえず、こいつでこれで終わりだな」

まだ生きてはいるが、それでも直ぐには抜け出せないアッパーバイソンの脳を貫いて決着。
喉が張ってる状態だったから随分とすんなり貫けたな。

ランク四のモンスターなら実際はコンバットドールだけでも何とかなりそうだ。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった

ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」  15歳の春。  念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。 「隊長とか面倒くさいんですけど」  S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは…… 「部下は美女揃いだぞ?」 「やらせていただきます!」  こうして俺は仕方なく隊長となった。  渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。  女騎士二人は17歳。  もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。   「あの……みんな年上なんですが」 「だが美人揃いだぞ?」 「がんばります!」  とは言ったものの。  俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?  と思っていた翌日の朝。  実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた! ★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。 ※2023年11月25日に書籍が発売!  イラストレーターはiltusa先生です! ※コミカライズも進行中!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

フェンリルさんちの末っ子は人間でした ~神獣に転生した少年の雪原を駆ける狼スローライフ~

空色蜻蛉
ファンタジー
真白山脈に棲むフェンリル三兄弟、末っ子ゼフィリアは元人間である。 どうでもいいことで山が消し飛ぶ大喧嘩を始める兄二匹を「兄たん大好き!」幼児メロメロ作戦で仲裁したり、たまに襲撃してくる神獣ハンターは、人間時代につちかった得意の剣舞で撃退したり。 そう、最強は末っ子ゼフィなのであった。知らないのは本狼ばかりなり。 ブラコンの兄に溺愛され、自由気ままに雪原を駆ける日々を過ごす中、ゼフィは人間時代に負った心の傷を少しずつ癒していく。 スノードームを覗きこむような輝く氷雪の物語をお届けします。 ※今回はバトル成分やシリアスは少なめ。ほのぼの明るい話で、主人公がひたすら可愛いです!

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

処理中です...