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人の本質
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「はぁ・・・・・・今日は面白い物が見えたのは良かったが。あんな奴が学校にたくさんいると思うとちょっと気が滅入るな」
学校には生徒の従者やメイドが共に通う。
主人が人格者であっても、その従者が主人を尊敬の念を超えるような狂信的な心を持っていると面倒だ。
片付ける事は出来る。ただ状況的に爵位が上の貴族と関わる時が来る可能性は十分にある。
その時傍に付いている従者が厄介な性格だといきなり気絶させるとかはちょっとなぁ・・・・・・。
「ラガス、まだ起きてた、の?」
「ん? セルシアか。何となく起きてるだけだ」
家に帰って晩飯を食べ終えて風呂に入ってからそこそこ時間が経っている。
確かにもう寝るか寝ないかの時間だ。子供にとってはな。
なんとく寝る気分では無い俺はリビングでボケーーーっとしていた。
「となり、座っても良い?」
「ああ。別に構わないぞ」
「ありがとう。・・・・・・昼間は、バーズが馬鹿な事して、ごめんね。シュラは、何も悪くないのに」
「その事はもういいって。俺もシュラも気にしてないんだから」
本当に俺とシュラも・・・・・・多分気にしていない筈だ。
それにこれから関わる事があるかどうかなんて分らんし、シュラもバーズにイラついていたとしてもある程度経てば忘れるだろ。
「それに、バーズがだけが悪いって訳じゃ無いと俺は思う」
「??? シュラにも、悪いところがあった?」
「いいや。シュラに悪いところは無い。悪いのはバーズを育てた環境ってところか」
バーズが自発的にセルシアを崇める様な態度を取るようになった可能性もあるだろうが、そのきっかけは生んだのは主人と従者という関係とセルシアが公爵家の娘だからだろう。
そこに関しては本人にはどうしようも出来ない部分がある。
それに主人が女性で従者が男だったら過保護になるところもある筈だ。
まっ・・・・・・後は俺みたいなセルシアが公爵家の娘だとしてもフランクな態度を取るのが原因てのもあるか。
「バーズを育てた、環境・・・・・・でも、それはどうしようもない、気がする」
「そりゃそうだ。家を飛び出したりしない限り周囲の環境が変わるなんてそうそうないだろう」
シンデレラストーリーの男性バージョンが起きるなんて事はほぼあり得ないんだからな。
というか別にバーズの場合は生活レベルが低いって訳では無いからシンデレラストーリーは関係無いか。
「ただ、本人がどう育つかは最終的にバーズの奴が決める事だ。だからこれからあいつの考えや性格が変わる事はあるかもしれない。今日の出来事がきっかけになったりしてな」
「そっか。でも、バーズはこれから、一緒には過ごさない」
「? なんでだ。バーズはセルシアの従者だろ。なら来年から貴族の学校に入学する時には着いて来るんじゃないか?」
確か入学する時の従者の数は生徒一人につき男女一人づつだったと思うんだが。
「前に、護衛のハンターさんに訊いた、話なんだけど。人の本質は、変わらない。そう言ってたんだ。それを話してくれたハンターの人は嬉しそうで、悲しそうな顔をしていた」
人の本質は変わらない、ねぇ・・・・・・間違った事は言っていないな、そのハンターは。
「バーズは、確かに今日変わったかもしれない。でも、その姿がバーズの本質なのか・・・・・・私には解らない」
「そうか・・・・・・まぁ、別に俺は悪い判断だとは思わないぞ。ただ、入学する時に執事を用意出来るんだったら用意しておいた方が良いぞ」
「うん、それは解ってる」
そうか。解ってんなら別に良いけど。
「ラガスは、私と一緒にいて、楽しい?」
「いきなりどうしたんだ?」
そういう事を訊く様な雰囲気でも無かったと思うんだが。
つか、ちょっと距離が近い。なんか良い匂いがする。
「一緒にいて、楽しい?」
「・・・・・・・・・・・・まぁ、何時もと違った楽しさはあったかな。昨日今日は良い刺激になったよ」
「それは良かった。私も、良い刺激になった。やっぱり・・・・・・ラガスに会えて良かった」
止めて、そんな勘違いしそうな顔をこっちに向けるな。
俺の中のギャグの部分が「惚れてまうやろーーーーー」って叫びそうになってるから。
はぁ・・・・・・中身はちょっと前に二十歳を超えたってのに、なんで九歳相手にちょっと焦ってんだよ。
まだまだ人生経験が足らないって事か。
学校には生徒の従者やメイドが共に通う。
主人が人格者であっても、その従者が主人を尊敬の念を超えるような狂信的な心を持っていると面倒だ。
片付ける事は出来る。ただ状況的に爵位が上の貴族と関わる時が来る可能性は十分にある。
その時傍に付いている従者が厄介な性格だといきなり気絶させるとかはちょっとなぁ・・・・・・。
「ラガス、まだ起きてた、の?」
「ん? セルシアか。何となく起きてるだけだ」
家に帰って晩飯を食べ終えて風呂に入ってからそこそこ時間が経っている。
確かにもう寝るか寝ないかの時間だ。子供にとってはな。
なんとく寝る気分では無い俺はリビングでボケーーーっとしていた。
「となり、座っても良い?」
「ああ。別に構わないぞ」
「ありがとう。・・・・・・昼間は、バーズが馬鹿な事して、ごめんね。シュラは、何も悪くないのに」
「その事はもういいって。俺もシュラも気にしてないんだから」
本当に俺とシュラも・・・・・・多分気にしていない筈だ。
それにこれから関わる事があるかどうかなんて分らんし、シュラもバーズにイラついていたとしてもある程度経てば忘れるだろ。
「それに、バーズがだけが悪いって訳じゃ無いと俺は思う」
「??? シュラにも、悪いところがあった?」
「いいや。シュラに悪いところは無い。悪いのはバーズを育てた環境ってところか」
バーズが自発的にセルシアを崇める様な態度を取るようになった可能性もあるだろうが、そのきっかけは生んだのは主人と従者という関係とセルシアが公爵家の娘だからだろう。
そこに関しては本人にはどうしようも出来ない部分がある。
それに主人が女性で従者が男だったら過保護になるところもある筈だ。
まっ・・・・・・後は俺みたいなセルシアが公爵家の娘だとしてもフランクな態度を取るのが原因てのもあるか。
「バーズを育てた、環境・・・・・・でも、それはどうしようもない、気がする」
「そりゃそうだ。家を飛び出したりしない限り周囲の環境が変わるなんてそうそうないだろう」
シンデレラストーリーの男性バージョンが起きるなんて事はほぼあり得ないんだからな。
というか別にバーズの場合は生活レベルが低いって訳では無いからシンデレラストーリーは関係無いか。
「ただ、本人がどう育つかは最終的にバーズの奴が決める事だ。だからこれからあいつの考えや性格が変わる事はあるかもしれない。今日の出来事がきっかけになったりしてな」
「そっか。でも、バーズはこれから、一緒には過ごさない」
「? なんでだ。バーズはセルシアの従者だろ。なら来年から貴族の学校に入学する時には着いて来るんじゃないか?」
確か入学する時の従者の数は生徒一人につき男女一人づつだったと思うんだが。
「前に、護衛のハンターさんに訊いた、話なんだけど。人の本質は、変わらない。そう言ってたんだ。それを話してくれたハンターの人は嬉しそうで、悲しそうな顔をしていた」
人の本質は変わらない、ねぇ・・・・・・間違った事は言っていないな、そのハンターは。
「バーズは、確かに今日変わったかもしれない。でも、その姿がバーズの本質なのか・・・・・・私には解らない」
「そうか・・・・・・まぁ、別に俺は悪い判断だとは思わないぞ。ただ、入学する時に執事を用意出来るんだったら用意しておいた方が良いぞ」
「うん、それは解ってる」
そうか。解ってんなら別に良いけど。
「ラガスは、私と一緒にいて、楽しい?」
「いきなりどうしたんだ?」
そういう事を訊く様な雰囲気でも無かったと思うんだが。
つか、ちょっと距離が近い。なんか良い匂いがする。
「一緒にいて、楽しい?」
「・・・・・・・・・・・・まぁ、何時もと違った楽しさはあったかな。昨日今日は良い刺激になったよ」
「それは良かった。私も、良い刺激になった。やっぱり・・・・・・ラガスに会えて良かった」
止めて、そんな勘違いしそうな顔をこっちに向けるな。
俺の中のギャグの部分が「惚れてまうやろーーーーー」って叫びそうになってるから。
はぁ・・・・・・中身はちょっと前に二十歳を超えたってのに、なんで九歳相手にちょっと焦ってんだよ。
まだまだ人生経験が足らないって事か。
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