134 / 950
人の本質
しおりを挟む
「はぁ・・・・・・今日は面白い物が見えたのは良かったが。あんな奴が学校にたくさんいると思うとちょっと気が滅入るな」
学校には生徒の従者やメイドが共に通う。
主人が人格者であっても、その従者が主人を尊敬の念を超えるような狂信的な心を持っていると面倒だ。
片付ける事は出来る。ただ状況的に爵位が上の貴族と関わる時が来る可能性は十分にある。
その時傍に付いている従者が厄介な性格だといきなり気絶させるとかはちょっとなぁ・・・・・・。
「ラガス、まだ起きてた、の?」
「ん? セルシアか。何となく起きてるだけだ」
家に帰って晩飯を食べ終えて風呂に入ってからそこそこ時間が経っている。
確かにもう寝るか寝ないかの時間だ。子供にとってはな。
なんとく寝る気分では無い俺はリビングでボケーーーっとしていた。
「となり、座っても良い?」
「ああ。別に構わないぞ」
「ありがとう。・・・・・・昼間は、バーズが馬鹿な事して、ごめんね。シュラは、何も悪くないのに」
「その事はもういいって。俺もシュラも気にしてないんだから」
本当に俺とシュラも・・・・・・多分気にしていない筈だ。
それにこれから関わる事があるかどうかなんて分らんし、シュラもバーズにイラついていたとしてもある程度経てば忘れるだろ。
「それに、バーズがだけが悪いって訳じゃ無いと俺は思う」
「??? シュラにも、悪いところがあった?」
「いいや。シュラに悪いところは無い。悪いのはバーズを育てた環境ってところか」
バーズが自発的にセルシアを崇める様な態度を取るようになった可能性もあるだろうが、そのきっかけは生んだのは主人と従者という関係とセルシアが公爵家の娘だからだろう。
そこに関しては本人にはどうしようも出来ない部分がある。
それに主人が女性で従者が男だったら過保護になるところもある筈だ。
まっ・・・・・・後は俺みたいなセルシアが公爵家の娘だとしてもフランクな態度を取るのが原因てのもあるか。
「バーズを育てた、環境・・・・・・でも、それはどうしようもない、気がする」
「そりゃそうだ。家を飛び出したりしない限り周囲の環境が変わるなんてそうそうないだろう」
シンデレラストーリーの男性バージョンが起きるなんて事はほぼあり得ないんだからな。
というか別にバーズの場合は生活レベルが低いって訳では無いからシンデレラストーリーは関係無いか。
「ただ、本人がどう育つかは最終的にバーズの奴が決める事だ。だからこれからあいつの考えや性格が変わる事はあるかもしれない。今日の出来事がきっかけになったりしてな」
「そっか。でも、バーズはこれから、一緒には過ごさない」
「? なんでだ。バーズはセルシアの従者だろ。なら来年から貴族の学校に入学する時には着いて来るんじゃないか?」
確か入学する時の従者の数は生徒一人につき男女一人づつだったと思うんだが。
「前に、護衛のハンターさんに訊いた、話なんだけど。人の本質は、変わらない。そう言ってたんだ。それを話してくれたハンターの人は嬉しそうで、悲しそうな顔をしていた」
人の本質は変わらない、ねぇ・・・・・・間違った事は言っていないな、そのハンターは。
「バーズは、確かに今日変わったかもしれない。でも、その姿がバーズの本質なのか・・・・・・私には解らない」
「そうか・・・・・・まぁ、別に俺は悪い判断だとは思わないぞ。ただ、入学する時に執事を用意出来るんだったら用意しておいた方が良いぞ」
「うん、それは解ってる」
そうか。解ってんなら別に良いけど。
「ラガスは、私と一緒にいて、楽しい?」
「いきなりどうしたんだ?」
そういう事を訊く様な雰囲気でも無かったと思うんだが。
つか、ちょっと距離が近い。なんか良い匂いがする。
「一緒にいて、楽しい?」
「・・・・・・・・・・・・まぁ、何時もと違った楽しさはあったかな。昨日今日は良い刺激になったよ」
「それは良かった。私も、良い刺激になった。やっぱり・・・・・・ラガスに会えて良かった」
止めて、そんな勘違いしそうな顔をこっちに向けるな。
俺の中のギャグの部分が「惚れてまうやろーーーーー」って叫びそうになってるから。
はぁ・・・・・・中身はちょっと前に二十歳を超えたってのに、なんで九歳相手にちょっと焦ってんだよ。
まだまだ人生経験が足らないって事か。
学校には生徒の従者やメイドが共に通う。
主人が人格者であっても、その従者が主人を尊敬の念を超えるような狂信的な心を持っていると面倒だ。
片付ける事は出来る。ただ状況的に爵位が上の貴族と関わる時が来る可能性は十分にある。
その時傍に付いている従者が厄介な性格だといきなり気絶させるとかはちょっとなぁ・・・・・・。
「ラガス、まだ起きてた、の?」
「ん? セルシアか。何となく起きてるだけだ」
家に帰って晩飯を食べ終えて風呂に入ってからそこそこ時間が経っている。
確かにもう寝るか寝ないかの時間だ。子供にとってはな。
なんとく寝る気分では無い俺はリビングでボケーーーっとしていた。
「となり、座っても良い?」
「ああ。別に構わないぞ」
「ありがとう。・・・・・・昼間は、バーズが馬鹿な事して、ごめんね。シュラは、何も悪くないのに」
「その事はもういいって。俺もシュラも気にしてないんだから」
本当に俺とシュラも・・・・・・多分気にしていない筈だ。
それにこれから関わる事があるかどうかなんて分らんし、シュラもバーズにイラついていたとしてもある程度経てば忘れるだろ。
「それに、バーズがだけが悪いって訳じゃ無いと俺は思う」
「??? シュラにも、悪いところがあった?」
「いいや。シュラに悪いところは無い。悪いのはバーズを育てた環境ってところか」
バーズが自発的にセルシアを崇める様な態度を取るようになった可能性もあるだろうが、そのきっかけは生んだのは主人と従者という関係とセルシアが公爵家の娘だからだろう。
そこに関しては本人にはどうしようも出来ない部分がある。
それに主人が女性で従者が男だったら過保護になるところもある筈だ。
まっ・・・・・・後は俺みたいなセルシアが公爵家の娘だとしてもフランクな態度を取るのが原因てのもあるか。
「バーズを育てた、環境・・・・・・でも、それはどうしようもない、気がする」
「そりゃそうだ。家を飛び出したりしない限り周囲の環境が変わるなんてそうそうないだろう」
シンデレラストーリーの男性バージョンが起きるなんて事はほぼあり得ないんだからな。
というか別にバーズの場合は生活レベルが低いって訳では無いからシンデレラストーリーは関係無いか。
「ただ、本人がどう育つかは最終的にバーズの奴が決める事だ。だからこれからあいつの考えや性格が変わる事はあるかもしれない。今日の出来事がきっかけになったりしてな」
「そっか。でも、バーズはこれから、一緒には過ごさない」
「? なんでだ。バーズはセルシアの従者だろ。なら来年から貴族の学校に入学する時には着いて来るんじゃないか?」
確か入学する時の従者の数は生徒一人につき男女一人づつだったと思うんだが。
「前に、護衛のハンターさんに訊いた、話なんだけど。人の本質は、変わらない。そう言ってたんだ。それを話してくれたハンターの人は嬉しそうで、悲しそうな顔をしていた」
人の本質は変わらない、ねぇ・・・・・・間違った事は言っていないな、そのハンターは。
「バーズは、確かに今日変わったかもしれない。でも、その姿がバーズの本質なのか・・・・・・私には解らない」
「そうか・・・・・・まぁ、別に俺は悪い判断だとは思わないぞ。ただ、入学する時に執事を用意出来るんだったら用意しておいた方が良いぞ」
「うん、それは解ってる」
そうか。解ってんなら別に良いけど。
「ラガスは、私と一緒にいて、楽しい?」
「いきなりどうしたんだ?」
そういう事を訊く様な雰囲気でも無かったと思うんだが。
つか、ちょっと距離が近い。なんか良い匂いがする。
「一緒にいて、楽しい?」
「・・・・・・・・・・・・まぁ、何時もと違った楽しさはあったかな。昨日今日は良い刺激になったよ」
「それは良かった。私も、良い刺激になった。やっぱり・・・・・・ラガスに会えて良かった」
止めて、そんな勘違いしそうな顔をこっちに向けるな。
俺の中のギャグの部分が「惚れてまうやろーーーーー」って叫びそうになってるから。
はぁ・・・・・・中身はちょっと前に二十歳を超えたってのに、なんで九歳相手にちょっと焦ってんだよ。
まだまだ人生経験が足らないって事か。
40
お気に入りに追加
3,491
あなたにおすすめの小説
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした
月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。
それから程なくして――――
お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。
「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」
にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。
「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」
そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・
頭の中を、凄まじい情報が巡った。
これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね?
ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。
だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。
ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。
ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」
そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。
フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ!
うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって?
そんなの知らん。
設定はふわっと。
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
パーティー会場で婚約破棄するなんて、物語の中だけだと思います
みこと
ファンタジー
「マルティーナ!貴様はルシア・エレーロ男爵令嬢に悪質な虐めをしていたな。そのような者は俺の妃として相応しくない。よって貴様との婚約の破棄そして、ルシアとの婚約をここに宣言する!!」
ここ、魔術学院の創立記念パーティーの最中、壇上から声高らかに宣言したのは、ベルナルド・アルガンデ。ここ、アルガンデ王国の王太子だ。
何故かふわふわピンク髪の女性がベルナルド王太子にぶら下がって、大きな胸を押し付けている。
私、マルティーナはフローレス侯爵家の次女。残念ながらこのベルナルド王太子の婚約者である。
パーティー会場で婚約破棄って、物語の中だけだと思っていたらこのザマです。
設定はゆるいです。色々とご容赦お願い致しますm(*_ _)m
他人の人生押し付けられたけど自由に生きます
鳥類
ファンタジー
『辛い人生なんて冗談じゃ無いわ! 楽に生きたいの!』
開いた扉の向こうから聞こえた怒声、訳のわからないままに奪われた私のカード、そして押し付けられた黒いカード…。
よくわからないまま試練の多い人生を押し付けられた私が、うすらぼんやり残る前世の記憶とともに、それなりに努力しながら生きていく話。
※注意事項※
幼児虐待表現があります。ご不快に感じる方は開くのをおやめください。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる