上 下
131 / 970

んーー・・・・・・残念

しおりを挟む
昨日と同様に人数が多いのでモンスターから不意打ちを喰らう事は無い。
ルーフェイスの鼻にかかればある程度は見破られるしな。
それに今日はレアースさんがいるから余計に心配は無い。

まっ、今日の戦いの中であだレアースさんは一度も戦っていないけど。
それでもレアースさんがいるってだけ自分達が負けそうになっても慌てる必要は無いって安心感がある。

いや、そもそも俺達で倒せないようなモンスターが現れたらそれはそれで結構一大事なんだけどな。
今のところはそんな面倒な相手は現れていない。

ビックアントが現れた時は少し驚いたが、それは基本的にあまり遭遇しないので驚いただけ。
鉱山に行けばアイアンアントはちょいちょいいるけどな。

ビッグアントは張り切って突っ込んだバーズとキリアさんが戦った。
基本的に善戦しており、殆ど攻撃も貰う事無く戦いを進めていた。
バーズはまだ多少モンスターと戦う事に慣れていない気がするが、それでも対応し始めている。
そんな様子を見てレアースさんはちょっと嬉しそうな表情で頷いていた。

そして終始善戦で戦いは進む。
最後にバーズが振り下ろした斬撃で決着が着くのだが、その際に噴き出したビックアントの血がバーズに降りかかる。

勝負には勝った、確かに勝負は勝った・・・・・・けど、この何とも言えない空気感が俺を笑わせようとする。
これで血に濡れても何でも無さそうな表情をしていればそれはそれでカッコ良かったんだが、生憎とバーズにそんな事が出来る訳無く、溜息を吐きながらしょうがないといった様子のキリアさんにクリーンを使って汚れを落としてもらう。

生活魔法は比較的簡単な魔法アビリティ。
俺もこれは覚える事が出来た。基本的に俺は魔弾があるから火とか水に光もあるから正直必要ないんだが、汚れを落とすクリーンだけは重宝している。

生活魔法は頑張れば一般人でも覚えられるアビリティだと聞いたんだが、生活魔法にも一応の適性はあるのか、バーズはどうやら使えないみたいだな。

さて、驚く様な敵は基本的にそれだけだったんだが・・・・・・出たよこのデブッ腹。

「お嬢様、お下がりください」

キリアさんは直ぐにセルシアの視界を塞ぐように前に立った。
バーズも同様にセルシアの前に立ち、敵を睨み付ける。

過保護すぎる・・・・・・とは言えないな。
目の前にいるニタニタした気持ち悪い笑みを浮かべているのはオーク。

俺としては過去に何度も倒した事があるので正直興味は惹かれない。ただの通常種だしな。
正直多少の時間はかかるがメリル一人でも倒せる筈だ。

「私も、戦いたいんだけど」

「「駄目です」」

オークと戦ってみたかったセルシアだが、従者二人から即座に却下された。
有無を言わせない表情だな。
でも、外でモンスターと戦うならいずれ戦う相手なんだし、別に今戦っても変わらない気がするんだが。

それにセルシア一人でも多分倒せると思う。

「ラガス君。君ならオークをどうやって倒す?」

「魔弾で顔を貫けば直ぐに終わりますけど、やっぱりモンスター・・・・・・というか人もそうですけど急所への攻撃ってかなり敏感なんでギリギリ避けたり腕を盾にしたりするんで直ぐには終わりません」

本気の魔弾ならそんな事ないんだけどな。

「なので身体強化のアビリティを使ってオークに捕まらない速さで体を斬りまくればいずれ大量出血で死ぬかと」

「なるほど。確かにそれが一番妥当だな。それはセルシアお嬢様が出来る戦法かな」

「レアースさんも倒せると思っているでしょう。まぁ、もし心配ならバーズとキリアさんも含めて三人で戦わせるのが安全かと」

「そうだね。というか、オークもあまり待ってくれないようだ。バーズ、キリア!! 心配ならセルシアお嬢様と一緒に戦うといい」

レアースから戦って良いと許可が出たセルシア口端を少しだけ上げ、その場から一気に地を蹴る。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

悪役令嬢は蚊帳の外です。

豆狸
ファンタジー
「グローリア。ここにいるシャンデは隣国ツヴァイリングの王女だ。隣国国王の愛妾殿の娘として生まれたが、王妃によって攫われ我がシュティーア王国の貧民街に捨てられた。侯爵令嬢でなくなった貴様には、これまでのシャンデに対する暴言への不敬罪が……」 「いえ、違います」

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

処理中です...