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前はいなかった

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うっ、わーーーー。ついにやって来たよ。
豪華な馬車に乗ってんな。つか、馬車を引いている馬も普通の馬じゃないよな。

そんなあきらか普通な馬が止まると護衛をしていたメンバーの中で周囲のハンター達とは装備が違うイケメンが前に出て来た。
イケメンさんがハンターの一人に紙を渡すとハンター達はお先にとばかり門に向かう。

こちらに向かって来るイケメン対して父さんも前に出て対応を始める。

お互いの自己紹介から名前はレアース・バルクス。
ロウレット公爵家が有する騎士団の副騎士団長だそうだ。
そういえば前にあった騎士団の人間も副騎士団長だったな。あっちは国の騎士団だけど。

領地に何かあった時の為に騎士団のトップは易々と移動できないんだろうな。

因みに馬車を引く馬を操る御者をしていた女の人もロウレット公爵家が抱える魔法師団のエースだとか。
狼竜眼を使って鑑定しなくても何となくだけど解る。
ハンターの中に攻撃魔法をメインにして戦う人が何人かいただろうけど、明らかに魔力の総合量が違う。

そしてついにセルシア・ロウレットが馬車のなかから降りて来た。
最後に会ったのは二年ぐらい前だったか。相も変わらず綺麗だな。良い意味で人形の様な美しさを持っている。
それと心なしか少し女性らしい体つきになっている気がする。

おっと、確か女の人はそういった男の視線に敏感だったな。
不敬だーーーー!!! って斬りかかってくる事は無いだろうけど、良い印象は持たれない。
俺は別に構わないけど父さんの事を考えるとそこら辺も気を付けた方が良さそうだな。

というか、前と比べて従者が一人増えていないか? 前はバーズって生意気な悪い意味で貴族っぽい奴一人だけだったけど今回はもう一人侍女らしきメイドが一人いる。
というかいきなり俺を睨みつけてくるって、そんなにご主人様から俺にお前は勝てない的な事を言われたことに対して根に持ってんのか?

「久しぶり、だね。ラガスは元気にしてた?」

「ああ、元気にしてたよ。セルシアは元気にしてたか?」

「うん、元気にしていたよ。基本的には、家の人達と訓練する事が殆どだったけど」

なるほど。俺とあまり変わらない生活を送っていた訳か。
にしてもバーズ君・・・・・・目から血涙が出そうなほど俺を睨まなくても良いと思うんだが。
もしかして男爵家の四男如きが公爵家の三女であるセルシアお嬢様にタメ口使ってんじゃねぇーーーぞおおお!!! 的な感じで怒ってるのか?

確かにそこら辺は気を付けなきゃいけないところなのかもしれないけど、本人が気にしてないんだから別に良くないか?

父さんとイケメン副騎士団長のレアースさんの話し合いが終わったので街の中に入って家に向かう。
セルシア・ロウレット達は馬車の中に戻るのかと思ったが戻らずに俺と一緒に歩いて来た。

「後ろにいる二人の内、片方の男はラガスも前に会った事があると思うけど、バーズ」

後ろを見ると睨み付けるような視線は変わらないけどこちらに一礼してきた。

「そしてもう片方のメイドがキリア。魔法も使えて接近戦も少し出来るスーパーメイド」

こちらも俺に対して綺麗な所作で一礼してきた。
容姿に加えて青色のショートカットのせいか、メリルよりザ・クールビューティーって感じな雰囲気を出してるな。
というかちょっとドヤ顔のセルシア可愛いな。ちょっと小動物感が出ている。

というか、セルシア・ロウレットがキリアを説明した時に俺では無くキリアをバーズが睨んでいた気がするんだが・・・・・・もしかして一対一で戦ったらバーズはキリアに負けるのか?

「ところで、この後は何をするのか、決まっているの?」

「訓練は午前で終わらせているのでこれから昼食をとってから森の中に入ってモンスターノ討伐に向かうんだけど、一緒にやる?」

「うん、やる!!!」

普段と変わって随分と目をキラキラさせるな。
間もなく返事するって事はある程度モンスターと戦った経験はあるのか?
ならいつも通りの探索で良いのかもしれないな。
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