上 下
93 / 954

本気ではないが容赦ない

しおりを挟む

「俺の勝ちだな、ザックス」

「くっそーーー! やっぱりラガスには中々勝てねぇな。別に長剣がメインの武器って訳じゃねぇんだろ」

「・・・・・・まっ、メインの武器では無いな」

というか、俺の場合どれがメインだとカウントして良いのかいまいち分らん。

「けど、素手で戦ってもシュラさんには勝てねぇしよぉ」

「そりゃあ・・・・・・体格差があるから仕方ないだろ」

人族には無い成長速度なのか、シュラは他の同年代の男子と比べて体が大きい。
まぁでもザックスだって俺と同じ歳にしては十分に強いと思うけどな。

長剣も使えるがメインは大剣。

それに母さん曰く頑張れば魔法のアビリティを覚えられる可能性だってあるらしい。
それを聞いた時のザックスの表情は物凄い嬉しそうだったな。

やっぱり男でも一度は自力で魔法を使えるようになりたいって思うもんなんだろう。

「それにあいつ結構身軽だし」

レイアとミリアにメリルの三人とシュラは摸擬戦を続けている。
俺とザックスは木剣で戦ってたけど、シュラは既に対して他三人は真剣で戦っている。
ミリアは魔法がメインだけど。

「でもそういう動きはラガスが教えたんだろ」

「教えたとはいっても、全部を教えた訳じゃない。強いて教えた事といえば・・・・・・基本に囚われるなって事だけだ」

素手だと特にその考えが重要だと思っている。
俺が知っている限りの蹴り技や拳を使った攻撃方法は教えた。

大事なのはそれをどの場面で使うかだ。
それを理解というか、実戦するのは早かったな。

「あっ、ミリアのウォーターボールが弾き飛ばされた」

「裏拳で一撃だったな。その隙にメリルとレイアの二人が左右から攻撃」

メリルは短剣でレイアは槍。
攻撃が決まれば両方とも出血は免れない。ただ、それがどうしたとばかりの反撃が始まる。
サイドステップでメリルの攻撃を完全に躱し、レイアの方向に槍を躱しながら近づいて槍を掴む。

「片手で子供一人分の重さを加えてぶん回す・・・・・・あれで身体強化のアビリティを使ってないんだよなぁ。やっぱりあの力は反則だ」

あいつの場合、それだけが力の理由じゃない気がするけど。
ぶん回されたレイアはメリルに思いっきりぶつかった。

体を少し移動させて上手い事遠心力を利用したせいか、メリルの回避が間に合わなかった。

ただレイアは吹っ飛ばされてから着地に失敗したがメリルは成功。
そこからは連撃による連撃。
いくらシュラが真剣で良いからと言ってるとしても、全く容赦がない。

シュラも少し顔を引きつらせて身体強化のアビリティを使い始めたし。

その後もレイアが復活し、ミレアも援護に入るがそれでもシュラの優勢は変わらない。
そしてミレアとレイアの体力が尽き、シュラとメイルの一騎打ちになるが途中でメリルがギブアップ。

理由を尋ねたら「これ以上は摸擬戦と呼べませんから」だってさ。
いやぁーーー・・・・・・おっかないですよメリルさん。

まぁ、接近戦に関して文句なしの十分な相手だから遠慮を忘れてる部分があるんだろう。

「ラガスさん、メリルさん中々に遠慮なしで斬りかかって来たんですけど。というか戦いの最中の表情が笑ってたんで普通に怖かったんだが」

「俺相手だとどうしても少し遠慮してしまう部分があるけど、お前の場合そこは気にしなくても良いと思ってるんじゃないか?」

「あぁ・・・・・・なら納得です」

「だろ。まぁ二人共本気じゃないからどっちが強いとも言えんけど」

シュラはザックスと同じくメインの武器は大剣。
そしてメリルは俺と同じくオールマイティなところはあるが、メインは毒を使った攻撃。
最近は毒の調合に真剣に取り組んでいたおかげか、毒魔法のアビリティまで覚えた。

「けど、魔法を吹き飛ばすお前は魔法使いからすれば天敵だな」

「別に弾いたからといっても無傷って訳じゃないですからね。ミリアさんのウォーターボールを弾いた時だって多少は痺れが残っていたし。というか・・・・・・詠唱を行う魔法使いにとってラガスさんの方がよっぽど天敵だと思うんですけど」

「それはお前・・・・・・確かにそうだな」

魔弾は基本的にノーモーション攻撃だから悠長に詠唱なんてする時間は与えないし。
・・・・・・学校に入れば魔法をメインに使う学生に対しては圧勝出来るかも。

「ラガスさん、ちょっと悪い事を考えてる顔になってますよ」

おっとっと。ポーカーフェイス、ポーカーフェイス。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

公爵令嬢はアホ係から卒業する

依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」  婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。  そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。   いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?  何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。  エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。  彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。    *『小説家になろう』でも公開しています。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...