77 / 989
会話は突然に
しおりを挟む
クレア姉さんとリサさんとパーティーが終わるまで話していたから特に変な輩に絡まれる事は無かった。
とりあえず腹はしっかりと満たされたので満足。
副騎士団長様に呼ばれ、その息子と戦ったのは予想外だったけど良い報酬が手に入ったから良しとする。
明日貰える追加報酬も気になるし。
そしてパーティーも終わって解散の時間になったので、会場には殆ど人が残っていない。
さて、父さん達に続いて会場から出るか。
「ねぇ・・・・・・少し良い?」
「君は・・・・・・セルシア・ロウレット」
なんでここに、いるのは当たり前か。さっきまで会場に居たんだし。
けど、なんで俺に話しかけて来たんだ?
「えっと、俺に何か用ですか?」
「うん。まず、君は明日のトーナメントに出る?」
明日のトーナメントって、あれしかないよな。
絶対に出ないけど、何故俺にそんな事を訊く?
「いいや、俺は明日のトーナメントに出ないよ。兄と姉は出るけど」
「そう・・・・・・なんで?」
「なんでと言われても、出たくないと思ったから出ないだけだよ」
この子、あんまり表情が変わらないタイプか。
何を考えているのかいまいち解らん。
「そうなんだ。でも、君は・・・・・・なんて名前だっけ?」
そういえば俺はこの子に名前を教えていなかったな。俺が一方的に知っていただけだからな。
「ラガス・ゲインルートだ。家は一応男爵家だ」
「ラガス、君・・・・・・覚えておく」
いや、別に覚えて貰わなくて結構なんだが。
「それで、ラガス君は多分、強いよね。なのに、何でトーナメントに出ないの?」
・・・・・・なんで俺の事を強そうって思うんだよ。
俺の見た目って残念なちょい顔が整ってるだけだし、体格なんて普通も普通だぞ。なのになんで俺の事を強そうだって思うんだよ、謎すぎる。
「別に・・・・・・俺は強くないよ。逆に質問するけど、なんで俺が強いって思ったの?」
「えっと・・・・・・・・・・・・何となく、勘?」
しばらく考えた結果勘かよ。
にしても・・・・・・本当にこの子が俺のパートナーって可能性はありそうだな。
良い事ではないけど。
「勘って、はっはっは。俺は君がロウレットさんが思ってるほど強くは無いよ」
「・・・・・・・・・・・・」
な、なんか言葉返してよ。ちょっと気まずいじゃん。
「でも、ラガス君が戻って来た時、雰囲気が一人だけ違った」
・・・・・・なに、戦闘能力が高い家系は子供ながらに相手の雰囲気で前後に何が起こったのか解るのか!?
「そこまで感情は昂っていなかった。でも、高揚した雰囲気が少し残っていた」
高揚ねぇ。別に昂っても高揚はしていないとは思う。そこまで感情が出る相手では無かったし。
あぁ・・・・・・もしかして声を張り上げた時に無意識に戦意が上がってたのか?
「随分と良い眼を持っているんだな・・・・・・もう少し話していても良いかと個人的に思わなくないけど、時間切れみたいだな」
「? ・・・・・・あっ、そうみたいだね」
「んじゃ、明日頑張れよ」
「うん、有難う」
あっ、やっと表情が変わった。なんか・・・・・・普通に綺麗だな。
会場の外に出れば父さん達が待っていた。
「中で誰かと話していたみたいだけど、誰と話していたんだ?」
「・・・・・・厄介な相手、とだけ言っておきます」
間違った事は言っていない。相手の立場、雰囲気から何があったのかを察する眼、厄介極まりない。
「その割には、あまり嫌そうな顔はしていないじゃない」
「それは・・・・・・別に厄介なだけであって、嫌いな相手と言う訳ではないですから」
にしても本当にトーナメントに出ようとしなくて良かった。
少なくとも面倒な縁が二つは生まれたし。
とりあえず腹はしっかりと満たされたので満足。
副騎士団長様に呼ばれ、その息子と戦ったのは予想外だったけど良い報酬が手に入ったから良しとする。
明日貰える追加報酬も気になるし。
そしてパーティーも終わって解散の時間になったので、会場には殆ど人が残っていない。
さて、父さん達に続いて会場から出るか。
「ねぇ・・・・・・少し良い?」
「君は・・・・・・セルシア・ロウレット」
なんでここに、いるのは当たり前か。さっきまで会場に居たんだし。
けど、なんで俺に話しかけて来たんだ?
「えっと、俺に何か用ですか?」
「うん。まず、君は明日のトーナメントに出る?」
明日のトーナメントって、あれしかないよな。
絶対に出ないけど、何故俺にそんな事を訊く?
「いいや、俺は明日のトーナメントに出ないよ。兄と姉は出るけど」
「そう・・・・・・なんで?」
「なんでと言われても、出たくないと思ったから出ないだけだよ」
この子、あんまり表情が変わらないタイプか。
何を考えているのかいまいち解らん。
「そうなんだ。でも、君は・・・・・・なんて名前だっけ?」
そういえば俺はこの子に名前を教えていなかったな。俺が一方的に知っていただけだからな。
「ラガス・ゲインルートだ。家は一応男爵家だ」
「ラガス、君・・・・・・覚えておく」
いや、別に覚えて貰わなくて結構なんだが。
「それで、ラガス君は多分、強いよね。なのに、何でトーナメントに出ないの?」
・・・・・・なんで俺の事を強そうって思うんだよ。
俺の見た目って残念なちょい顔が整ってるだけだし、体格なんて普通も普通だぞ。なのになんで俺の事を強そうだって思うんだよ、謎すぎる。
「別に・・・・・・俺は強くないよ。逆に質問するけど、なんで俺が強いって思ったの?」
「えっと・・・・・・・・・・・・何となく、勘?」
しばらく考えた結果勘かよ。
にしても・・・・・・本当にこの子が俺のパートナーって可能性はありそうだな。
良い事ではないけど。
「勘って、はっはっは。俺は君がロウレットさんが思ってるほど強くは無いよ」
「・・・・・・・・・・・・」
な、なんか言葉返してよ。ちょっと気まずいじゃん。
「でも、ラガス君が戻って来た時、雰囲気が一人だけ違った」
・・・・・・なに、戦闘能力が高い家系は子供ながらに相手の雰囲気で前後に何が起こったのか解るのか!?
「そこまで感情は昂っていなかった。でも、高揚した雰囲気が少し残っていた」
高揚ねぇ。別に昂っても高揚はしていないとは思う。そこまで感情が出る相手では無かったし。
あぁ・・・・・・もしかして声を張り上げた時に無意識に戦意が上がってたのか?
「随分と良い眼を持っているんだな・・・・・・もう少し話していても良いかと個人的に思わなくないけど、時間切れみたいだな」
「? ・・・・・・あっ、そうみたいだね」
「んじゃ、明日頑張れよ」
「うん、有難う」
あっ、やっと表情が変わった。なんか・・・・・・普通に綺麗だな。
会場の外に出れば父さん達が待っていた。
「中で誰かと話していたみたいだけど、誰と話していたんだ?」
「・・・・・・厄介な相手、とだけ言っておきます」
間違った事は言っていない。相手の立場、雰囲気から何があったのかを察する眼、厄介極まりない。
「その割には、あまり嫌そうな顔はしていないじゃない」
「それは・・・・・・別に厄介なだけであって、嫌いな相手と言う訳ではないですから」
にしても本当にトーナメントに出ようとしなくて良かった。
少なくとも面倒な縁が二つは生まれたし。
70
お気に入りに追加
3,501
あなたにおすすめの小説
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる