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攻撃の軸
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「ラガスは災難に愛されているのかもしれないな」
「絶対に愛されたくない対象の一つですね」
「ラガス坊ちゃまは思った事はついぽろっと言ってしまいますからね。意識していなくても、自然と災難を呼び寄せてしまうのでしょう」
思った事をついぽろったかぁ。確かにそんなところはあるかもしれないな。
ただ、俺としては相手に自分の戯言なんて軽く流してくれる器量が欲しいところだ。
俺がもっと歳を取って体も大きくなれば相手の対応も変わる筈・・・・・・だよな?
「にしても・・・・・・ラガス、さっきの倒し方は反則スレスレじゃないのか?」
「気付いていたんですか?」
「いいや。ただ戦いが始まる前、既にお前が勝負に勝ったって表情をしていたから戦う前に何かを仕込んだのかと思ってな」
かま掛けられた。にしても、そんなに俺顔に気持ちが出ていたか?
ポーカーフェイスは苦手じゃないと思うんだけどな。
「俺って顔に出やすいか?」
「・・・・・・時と場合によりますね。私はラガス坊ちゃまの表情から戦い前に技を仕込んだのは分りませんでしたし」
だよな。メリルが解らなかったとすると単純に父さんの洞察力が優れてるってことか。
「あんまり利益が無い戦いを受けてあげたので、先手の準備ぐらいしても良いかと思って」
「そこら辺はなんとも言えないな。でも・・・・・・三回はやり過ぎなんじゃないのか?」
「まぁ、三回はやり過ぎてかもしれません。でも次のメリルの行動で終わらせるのが最善だと思ったので保険を掛けておきました」
もしかしたらこっちの方が戦闘経験は上かもしれないけど、反射速度とかはまた別だし。
念を入れておいて損は無い。
「それで、ランクが低いルーキー達には何が足らなかった?」
「足りない物は結構あると思いますけど・・・・・・一番大事なのはそいつら自身の軸となる攻撃じゃないですか? まずはその一本がっしりとしたのないと上には上がれないかと」
別にちゃんとした流派を学べって訳じゃないけど、我流なら我流なりの戦いの流れ的なのを引き寄せる為の何かが無いと話にならないだろ。
あの三人がどんなアビリティを持っているのかは知らないけど、そんな軸一本も碌にない筈だ。
「相変わらず坊ちゃまは厳しいですね」
「別にそうしろと強制はしていないんだから厳しいって訳じゃないだろ。ただ、強くなりたいなら先輩たちに教えて貰うなり、自分で考えるなりしっかりと前を向けって話だ。あんだけ広い場所があって施設もあって教官もいるんだ。もっと有効活用しようと普通なら思うものだ」
自分が知らないモンスターや状況と遭遇した時にどうやって対処すれば良いかなんて話も聞けるだろうし。
「そういった考えに辿り着く奴が少ないのが現実なんだがな。まぁ、それは今は置いておこう。どこか行きたいところはあるか?」
「武器屋に行きたいです」
「・・・・・・分かった。そうだよな、お前が興味ある場所はそういった所だもんな」
そういったところって、他にも防具屋とかマジックアイテムを売ってる店とかも見ようとは考えているんだけどな。
「なぁローサ。どうよあの坊主」
「どう、とは?」
「どれだけ強いかって話だ。あいつ、あの歳にしては核が高すぎる。それと、あの阿呆三人を開始直後に攻撃した方法が全く分からんかった」
魔弾、その言葉だけが坊主の口から聞こえた。その後に三人が三回悲鳴を上げてあそこを抑えて蹲った。
あれはいてぇだろうな・・・・・・俺だって耐えられる自信が無い。
「あの馬鹿を倒した瞬間も見ていましたが、正直そこが見えません。まだ十歳にも満たない子供がハンターとしてベテランの域に突入する者を完封出来ると思いますか?」
「普通は思わない。いくらエリート教育を受けた公爵家や王族の子供であっても無理な話だ」
だが、あの坊主はそれをやってのけた。核の高さが同等だとは思わない。坊主の方がさすがに低い筈だ。
しかしその差を覆して勝ったという事は、闘気を扱えるまで身体強化のアビリティレベルが高いって事だ。
普通はあり得ない。というか、絶対にあり得ない筈だ。
が、あの坊主の歳に似合わない思考を考えると、俺らより自由に行動できる時間があるって利点を考えれば不可能じゃないのか?
「まぁ何にしても坊主と約束した内容は守らないとな」
「私も上に掛け合ってみます。多少は力になれるでしょう」
「おう、一人より二人の方が説得力はあるだろうからな」
この街にハンターギルドの利益を考えれば、あの坊主と不仲にならない方が絶対に懸命だ。
「絶対に愛されたくない対象の一つですね」
「ラガス坊ちゃまは思った事はついぽろっと言ってしまいますからね。意識していなくても、自然と災難を呼び寄せてしまうのでしょう」
思った事をついぽろったかぁ。確かにそんなところはあるかもしれないな。
ただ、俺としては相手に自分の戯言なんて軽く流してくれる器量が欲しいところだ。
俺がもっと歳を取って体も大きくなれば相手の対応も変わる筈・・・・・・だよな?
「にしても・・・・・・ラガス、さっきの倒し方は反則スレスレじゃないのか?」
「気付いていたんですか?」
「いいや。ただ戦いが始まる前、既にお前が勝負に勝ったって表情をしていたから戦う前に何かを仕込んだのかと思ってな」
かま掛けられた。にしても、そんなに俺顔に気持ちが出ていたか?
ポーカーフェイスは苦手じゃないと思うんだけどな。
「俺って顔に出やすいか?」
「・・・・・・時と場合によりますね。私はラガス坊ちゃまの表情から戦い前に技を仕込んだのは分りませんでしたし」
だよな。メリルが解らなかったとすると単純に父さんの洞察力が優れてるってことか。
「あんまり利益が無い戦いを受けてあげたので、先手の準備ぐらいしても良いかと思って」
「そこら辺はなんとも言えないな。でも・・・・・・三回はやり過ぎなんじゃないのか?」
「まぁ、三回はやり過ぎてかもしれません。でも次のメリルの行動で終わらせるのが最善だと思ったので保険を掛けておきました」
もしかしたらこっちの方が戦闘経験は上かもしれないけど、反射速度とかはまた別だし。
念を入れておいて損は無い。
「それで、ランクが低いルーキー達には何が足らなかった?」
「足りない物は結構あると思いますけど・・・・・・一番大事なのはそいつら自身の軸となる攻撃じゃないですか? まずはその一本がっしりとしたのないと上には上がれないかと」
別にちゃんとした流派を学べって訳じゃないけど、我流なら我流なりの戦いの流れ的なのを引き寄せる為の何かが無いと話にならないだろ。
あの三人がどんなアビリティを持っているのかは知らないけど、そんな軸一本も碌にない筈だ。
「相変わらず坊ちゃまは厳しいですね」
「別にそうしろと強制はしていないんだから厳しいって訳じゃないだろ。ただ、強くなりたいなら先輩たちに教えて貰うなり、自分で考えるなりしっかりと前を向けって話だ。あんだけ広い場所があって施設もあって教官もいるんだ。もっと有効活用しようと普通なら思うものだ」
自分が知らないモンスターや状況と遭遇した時にどうやって対処すれば良いかなんて話も聞けるだろうし。
「そういった考えに辿り着く奴が少ないのが現実なんだがな。まぁ、それは今は置いておこう。どこか行きたいところはあるか?」
「武器屋に行きたいです」
「・・・・・・分かった。そうだよな、お前が興味ある場所はそういった所だもんな」
そういったところって、他にも防具屋とかマジックアイテムを売ってる店とかも見ようとは考えているんだけどな。
「なぁローサ。どうよあの坊主」
「どう、とは?」
「どれだけ強いかって話だ。あいつ、あの歳にしては核が高すぎる。それと、あの阿呆三人を開始直後に攻撃した方法が全く分からんかった」
魔弾、その言葉だけが坊主の口から聞こえた。その後に三人が三回悲鳴を上げてあそこを抑えて蹲った。
あれはいてぇだろうな・・・・・・俺だって耐えられる自信が無い。
「あの馬鹿を倒した瞬間も見ていましたが、正直そこが見えません。まだ十歳にも満たない子供がハンターとしてベテランの域に突入する者を完封出来ると思いますか?」
「普通は思わない。いくらエリート教育を受けた公爵家や王族の子供であっても無理な話だ」
だが、あの坊主はそれをやってのけた。核の高さが同等だとは思わない。坊主の方がさすがに低い筈だ。
しかしその差を覆して勝ったという事は、闘気を扱えるまで身体強化のアビリティレベルが高いって事だ。
普通はあり得ない。というか、絶対にあり得ない筈だ。
が、あの坊主の歳に似合わない思考を考えると、俺らより自由に行動できる時間があるって利点を考えれば不可能じゃないのか?
「まぁ何にしても坊主と約束した内容は守らないとな」
「私も上に掛け合ってみます。多少は力になれるでしょう」
「おう、一人より二人の方が説得力はあるだろうからな」
この街にハンターギルドの利益を考えれば、あの坊主と不仲にならない方が絶対に懸命だ。
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