49 / 981
雪遊び
しおりを挟む
新しい武器についてメリルと話し合っているとようやく勉強を終えたところでレアードとセリスがやって来た。
「ラガスお兄様、勉強終わりました!!」
「終わりました!! だから一緒に遊ぼ!!」
「おう、そうだなぁ・・・・・・雪合戦でもするか」
二人共去年にやった事を覚えているのか、いそいそと雪玉を作り始めた。
「俺達もある程度作っておくぞ」
「分かりました。それにしても、遊ぶと言いつつ訓練にもなる事をするんですね」
「あいつらが遊びだと思っているから別に良いんだよ」
二人には投擲の訓練に、そして俺達が投げる雪玉を避ける回避の訓練にもなる。
勿論俺達は二人の雪玉に当たるつもりはないし、投げる雪玉も手加減をしてレアードとセリスがギリギリ避けられる速度で投げる。
投げる物が雪玉なので当たってしまっても冷たいと感じるだけで、痛みは殆ど無い筈だ。
「メリルだって良い案だって言ってたろ」
「別に否定はしていませんよ。ただ、遊びの内容に訓練も含まれていると言っただけです。正確には心配性だなと思っただけです」
「その考えは別に隠す必要は無いだろ。てか、弟妹の事を心配するのは当たり前だろ」
二人共学校を卒業したら俺達同様にハンターになるって言ってるんだし。
それを聞いた父さんと母さんは諦めた表情をしてたっけ。
まぁ、もはやそういう血が流れているとしか言いようがないな。
「お二人共才能という点ではかなりの物をお持ちです。そこまで過保護にならずとも確実に強くなっていかれると思いますが」
「確かにその通りだろうな。レアードは良い魔法使いに、セリスはカロウス兄さんの様な剣士になるかもしれない。ただ、人生何が起こる変わらないのが基本だろ。その何かが良い事だけとは限らない。だからその良くない事が二人に起きた時に俺は後悔したくはないんだよ」
父さんと母さんのハンター人生を聞いていると、万全に準備をしていても予期せぬ襲撃に対応できない事が起こると思い知らされる。
「俺にはおそらく人がどう足掻いても手に入らない切り札が複数ある。それでも二人にはまだ優秀の域を出ていないし、切り札と呼べる技も持っていない。才能が有るから、その才能に胡坐をかかずに努力しているから万が一の時でも大丈夫。そう思っていたらいつか足元を掬われるかもしれない」
「・・・・・・そうかもしれませんね。ただ、その言葉だとラガス坊ちゃまは足元を掬われる事は無いと言っている様に聞こえますが」
こいつ・・・・・・いや、確かそう聞こえても可笑しくはないか。
けど、別にそんな慢心している訳じゃない。そこら辺の奴に負けるとは思っていないけど。
「俺には本当にお互いの命を懸けた戦いの経験が無い。逆鱗を露わにして襲い掛かってくる奴、自分の限界や死線を超えて立ち向かってくる相手との戦いもな。だからそういった局面での対応が遅れるかもしれない。勿論そんな場面に遭遇したらどう対処しようかと考えているけど、いざ実戦になれば思い通りに動かない方が大半だろう」
「命を懸けた戦い。逆鱗に触れた、死線を超えた攻撃。確かに私達はそういった修羅場を乗り越えた経験はありませんね。ただ、そんな場面に意図的に遭遇するのは難しいのではないですか?」
「それはそうだろうな。まぁ、ある程度雪玉が作れたんだし、考えるのは後にしよう」
うん、長々と話しながら作っていたから五十以上は雪玉が出来上がっていた。
「レアード、セリス! 準備は出来たか!?」
「「出来ました!!」」
「よぉし、それじゃあいくぞ!!」
こうしてまずは俺達からの先制攻撃で雪合戦は始まった。
「ラガスお兄様、勉強終わりました!!」
「終わりました!! だから一緒に遊ぼ!!」
「おう、そうだなぁ・・・・・・雪合戦でもするか」
二人共去年にやった事を覚えているのか、いそいそと雪玉を作り始めた。
「俺達もある程度作っておくぞ」
「分かりました。それにしても、遊ぶと言いつつ訓練にもなる事をするんですね」
「あいつらが遊びだと思っているから別に良いんだよ」
二人には投擲の訓練に、そして俺達が投げる雪玉を避ける回避の訓練にもなる。
勿論俺達は二人の雪玉に当たるつもりはないし、投げる雪玉も手加減をしてレアードとセリスがギリギリ避けられる速度で投げる。
投げる物が雪玉なので当たってしまっても冷たいと感じるだけで、痛みは殆ど無い筈だ。
「メリルだって良い案だって言ってたろ」
「別に否定はしていませんよ。ただ、遊びの内容に訓練も含まれていると言っただけです。正確には心配性だなと思っただけです」
「その考えは別に隠す必要は無いだろ。てか、弟妹の事を心配するのは当たり前だろ」
二人共学校を卒業したら俺達同様にハンターになるって言ってるんだし。
それを聞いた父さんと母さんは諦めた表情をしてたっけ。
まぁ、もはやそういう血が流れているとしか言いようがないな。
「お二人共才能という点ではかなりの物をお持ちです。そこまで過保護にならずとも確実に強くなっていかれると思いますが」
「確かにその通りだろうな。レアードは良い魔法使いに、セリスはカロウス兄さんの様な剣士になるかもしれない。ただ、人生何が起こる変わらないのが基本だろ。その何かが良い事だけとは限らない。だからその良くない事が二人に起きた時に俺は後悔したくはないんだよ」
父さんと母さんのハンター人生を聞いていると、万全に準備をしていても予期せぬ襲撃に対応できない事が起こると思い知らされる。
「俺にはおそらく人がどう足掻いても手に入らない切り札が複数ある。それでも二人にはまだ優秀の域を出ていないし、切り札と呼べる技も持っていない。才能が有るから、その才能に胡坐をかかずに努力しているから万が一の時でも大丈夫。そう思っていたらいつか足元を掬われるかもしれない」
「・・・・・・そうかもしれませんね。ただ、その言葉だとラガス坊ちゃまは足元を掬われる事は無いと言っている様に聞こえますが」
こいつ・・・・・・いや、確かそう聞こえても可笑しくはないか。
けど、別にそんな慢心している訳じゃない。そこら辺の奴に負けるとは思っていないけど。
「俺には本当にお互いの命を懸けた戦いの経験が無い。逆鱗を露わにして襲い掛かってくる奴、自分の限界や死線を超えて立ち向かってくる相手との戦いもな。だからそういった局面での対応が遅れるかもしれない。勿論そんな場面に遭遇したらどう対処しようかと考えているけど、いざ実戦になれば思い通りに動かない方が大半だろう」
「命を懸けた戦い。逆鱗に触れた、死線を超えた攻撃。確かに私達はそういった修羅場を乗り越えた経験はありませんね。ただ、そんな場面に意図的に遭遇するのは難しいのではないですか?」
「それはそうだろうな。まぁ、ある程度雪玉が作れたんだし、考えるのは後にしよう」
うん、長々と話しながら作っていたから五十以上は雪玉が出来上がっていた。
「レアード、セリス! 準備は出来たか!?」
「「出来ました!!」」
「よぉし、それじゃあいくぞ!!」
こうしてまずは俺達からの先制攻撃で雪合戦は始まった。
40
お気に入りに追加
3,497
あなたにおすすめの小説

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜
言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。
しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。
それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。
「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」
破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。
気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。
「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。
「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」
学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス!
"悪役令嬢"、ここに爆誕!

あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?
つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです!
文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか!
結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。
目を覚ましたら幼い自分の姿が……。
何故か十二歳に巻き戻っていたのです。
最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。
そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか?
他サイトにも公開中。

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる