上 下
39 / 970

強くても考え無しでは

しおりを挟む
三体のコボルトから魔石と爪、牙を回収してからもう少し奥の方へ進んでいるのですが、まだモンスターには遭遇していません。

「今日は中々モンスターに遭遇しないね。何か理由があると思う?」

「そうですね・・・・・・厄介なモンスターが暴れまわっている、これくらいしか思いつきません」

というより、それ以外の理由であれば私達に対処出来る範疇を超えています。
まぁ、厄介なモンスターのランクがオーク以上の強さを持っているなら私達でも倒す事は無理な可能性が大きいですが。

「厄介なモンスターね。私とメリルがいれば何とかなりそうな気がするけどね」

「だと良いのですが・・・・・・ミーシャさん」

「ええ、こっちに何か向かって来てるね」

私は持っている短剣に、ミーシャさんは短槍に魔力を纏わせます。
この技術はまだ慣れていないからあまり使いたくないんですけどね。

「人型のモンスターじゃ無さそうだね。この木を無理やりぶち折る音を考えると獣系、大きさも普通じゃ無さそうだね」

「同意見です。ただ、場合によってやりやすい相手かもしれません」

予想が正しければパワーとスピードがあっても先程戦ったコボルトと同様に技術は無い筈。というか技術云々を習得するのが無理な体型。

「っ、来ました!!!」

「!! なるほどね、ラッシュボアなら納得がいくよ。ただ、メリルの言う通りやりやすい相手ではあるな」

「そうみたいですね。ミーシャさん、同時に投げますよ」

大きさは二メートル以下、体長は二メートル越え。突進のアビリティは厄介ですが、今の私達なら大丈夫な筈です。

「ブモアアアアアアア!!!!」

「せやぁ!!!」

「はっ!!!」

ミーシャさんと同じタイミングでの投擲、狙いはラッシュボアの目。突進のアビリティはレベルが上がれば攻撃を弾く効果が上がりますが、素の状態ならまだしも身体強化を使い、魔力を纏わせた短剣と短槍なら。

「ブボアアア!!!???」

「よし!!! 上手くいったみたいね」

「はい!! 両目は確実に潰したました。それにミーシャさんの短槍が貫いた長さを考えれば・・・・・・」

ラッシュボアは両目が潰された事で完全に目が見えなくなり、私達に向かって一直線に進んでいたのにも関わらず横に逸れて行きました。

突進の向きが変わってくれたのは嬉しいのですが、あまり木が無意味に折られてしまうのは勿体無いですね。
持って帰って薪にしたり色々と使えるのですが、私とミーシャさんでは色々と限界があります。
今回は放置という形にしておきましょう。

「・・・・・・どうやら完全にくたばったみたいね」

「ええ、ミーシャさんの短槍がラッシュボアの脳まで貫いてくれたおかげです」

「褒めたって何もでないよ。さて、無事に無傷でラッシュボアを倒せたのは良いけど、どうしようかこいつ」

完全に力尽きたラッシュボアを見て私達はこの巨体をどうするべきかを考えます。
出来れば全て持ち帰りたいというのが本音です。
ラッシュボアは体の殆どが色々と使えますからね。それに肉もかなり美味しいですし!!

ただこの場所で解体をするとかなり時間がかかってしますし、何より解体した素材やお肉が持ってきたリュックには全て入りきりません。

でもこれほどの巨体をそのまま屋敷まで持ち帰るのは・・・・・・出来なことは無いですが、その間モンスターに襲われる可能性が無いとは言い切れません。

「私は面倒かもしれないけど、血抜きをしてから屋敷まで持ち帰った方が良いと思うよ」

「・・・・・・確かにそれが一番の判断ですね。リュックに入るだけ入れて後は捨てるというのは勿体無いですかならね」

それから私達をラッシュボアの血抜きを終え、ラッシュボアが折った木から二本の木の棒を作り前から後ろまで刺し抜いて持ち手して屋敷まで持ち帰りました。

幸い道中で襲い掛かって来たのは程度の低いモンスターだったので投擲だけで片付けられたので無事、屋敷まで持って帰る事が出来ました。

これで今日の夕食はちょっと豪華になりますね。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

悪役令嬢は蚊帳の外です。

豆狸
ファンタジー
「グローリア。ここにいるシャンデは隣国ツヴァイリングの王女だ。隣国国王の愛妾殿の娘として生まれたが、王妃によって攫われ我がシュティーア王国の貧民街に捨てられた。侯爵令嬢でなくなった貴様には、これまでのシャンデに対する暴言への不敬罪が……」 「いえ、違います」

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...