万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

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余裕

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「ラ・ガ・ス・・・・・・てめぇ、二度と喋れねぇ様にしたやらああああ!!!!!」

二度と喋れない様に・・・・・・てか、やっぱり沸点低いなこいつ。
そして毎度の事ながら、実の弟に対して向ける言葉とは思えないな。

まっ、アリクの口の悪さが直るとはこれっぽちも思っていないけど、あいつ俺以上に礼儀作法で苦労しそうだ。

「ふぅ、相変わらずバカの一つ覚えの様に上段で構えての突進。考える事が出来ないというか・・・・・・この場合は芸が無いと言えば良いのか?」

会話を途切れさせず、余裕の笑みを崩さない様に背中から魔弾をアーチ状に放つ。

勿論ただの魔弾を放ったのではなく、強烈なバックスピンがかかっている。
アリクは俺がこっそり放った魔弾に全く気が付いていない。
これで勝負は決まったも同然だ。勝ち方は前回と似たような形だけどな。

自分の勝利を確信していると、アリクが持っている木剣に違和感を感じた。

俺は自身に向かって振り下ろしてくるアリクの木剣を凝視すると、木剣には本当に薄っすらと魔力が覆われていた。
自身が扱う武器、又は五体を強化する技術を魔力纏いと言うんだが・・・・・・まさかアリクが出来るなんてな。

今までのアリクの様子からさっきまでは出来なかったが、今偶々出来るようになったってところか。
あいつの表情的に自分が魔力纏いを成功させている事に気が付いてないだろうな。

「・・・・・・一応努力賞ってところだな」

現在進行形で自分に向かってきているアリクの一撃を喰らえば、もしかしたら俺の頭蓋骨が凹むかもしれない。
まぁ・・・・・・モロに喰らえばの話だけどな。

アリクの後ろへ放った魔弾が地面に落ち、強烈なバックスピンの影響で俺の元へ戻ってくる。
でも魔弾と俺の間には丁度アリクがいる、そうなれば・・・・・・・・・・・・。

「ふぐっっっっ!!!???」

魔弾はアリクの尻の穴に直撃した。
完全に死角から一撃にアリクはもう少しで俺の頭にぶつかる木剣を止めてしまった。

「睾丸に喰らったら勿論痛いけど、尻の穴に喰らってもそこそこ痛いだろ」

容量的には千年殺し・・・・・・カンチョ―を喰らった感覚に近いだろう。
あれって綺麗に貰ってしまうと中々に痛いんだよな。

「はい、これで終わりだ」

動きが止まった瞬間に俺はアリクの背後に移動して、木剣の剣先を頸椎に突き立てた。

「前回よりは剣の腕を上げたかもしれないけど、それだけでは意味が無かったな。取りあえず、魔力の残量とスタミナは俺の方が圧倒的に多い。俺が言えるのはこれだけだ」

「そこまで!!! この勝負、ラガスの勝ちだ!!」

アリクへ俺なりの助言を言い終えると父さんが試合終了の合図を行った。
そして俺はこちらへ向かって来るクレア姉さんのタックルに備えて体を横に向ける。



「・・・・・・末恐ろしいな。お前がラガスの奴に戦い方を教えているのか」

「いいえ、確かに教える事はありますがそれは剣術に関してだけです。戦い方そのものには口を出していません」

「そうか・・・・・・・・・・・・歳は坊主のほうが上だが、まるで大人と子供だな」

ウォッツは自身の目に狂いは無かった分かり、嬉しそうに口端を吊り上げる。
ラガスはハンター時代も含めて自分が出会った人物達の中で上位に位置する才覚を持っているとウォッツは確信できた。

「今回の戦いを見て、ラガスが強いという事は分かった。ただこれだけは聞いておきたい。リット、ラガスは自身が持っている切り札と呼べる物をこの戦いで幾つ使った」

「・・・・・・・・・・・・一つだけです。しかし使ったとはいえ、その力は一割も出してはいない筈です」

リットが現在ラガスの切り札を確認している数は五つ。
能力を全て聞いている訳では無いが、全てが切り札と呼ぶにふさわしいアビリティだとリットは今までの経験からそう判断した。

「はっはっはっはっはっは、そうかそうか。それは頼もしい限りだな!! ハンターとしてお前を超える可能性は十分にあるんじゃないか?」

「いえ、可能性が有るどころではありません。断言できます、ラガスはハンターとして必ず俺を超えます」

「・・・・・・ふっ、随分と良い顔するようになったじゃねぇか」

過去に武器を作った事がある元ハンターの立派になった表情を見て、ウォッツは嬉しそうに笑った。



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