万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

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父さんの実力

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家を出てから六日後、何事も無く順調に王都へ向かっている。
馬車に乗っている時間は正直暇だが、クレア姉さんが話し相手になってくれるのでそこまで苦痛には感じない。

そして七日目の道中、ついに襲撃者が現れた。
とは言っても相手はゴブリンが七体にゴブリンの上位種であるホブゴブリンが一体。

正直俺一人でも状況が悪くなければ倒せる相手だ。

クレア姉さんとアリクもゴブリンとホブゴブリンの存在に気が付き、剣と棍を手に持つ。
俺も参戦しようと馬車の中から飛び出して指先に魔力を集める。

全員を相手にしようと思ったが、その必要は無いと分かり三匹のゴブリンの額に魔弾を放つ。
大きくなくて良い、別に貫かなくても構わない、脳を損傷させることが出来れば十分。
それらを意識して放った魔弾はしっかりと額に命中し、ゴブリンの額から血が噴き出した。

「父さん・・・・・・随分と鮮やかだね」

「それはお前にも言えることだぞラガス。やっている事は俺と似たようなものだ」

父さんはサブの武器として携帯している短剣から手首を捻って、五つの斬撃を飛ばした。
剣系のアビリティで習得できる技の内の一つで、初歩的な技が斬撃。
それを五回連続で放つ。それはまぁ・・・・・・俺にとってはそこまで凄い事に見えないけど、クレア姉さんとアリクの表情を見る限りは凄い事なんだろうな。

ただ、俺としてはゴブリンとホブゴブリンの喉を確実に潰す程度に放った技量の方に驚いたな。
まぁ・・・・・・俺に出来る事ぐらい父さんが出来て可笑しくはないんだけどさ。

「さて、ゴブリンとホブゴブリンから得られる素材はない。魔石も大した事は無い。どうする、ラガス?」

「・・・・・・今回は魔石を回収しません。一応死体を森の中に投げておきます」

少しだけとはいえ血が流れている。嗅覚が優れている魔物だったら気づいて道に出て来るかもしれない。
もしそうなったら今後この道を通る人が危ないからな。

「分かった。クレア、アリク、二人も手伝ってくれ」

「は、はい! 分かりました」

「・・・・・・分かった」

ふぅ・・・・・・別にそんな俺を睨みつける必要は無いだろ。
アリクの奴、俺がゴブリンを殺したのがそんなに気に食わないのか?
確かにアリクでもゴブリン三体ぐらいなら倒せたかもしれないけど・・・・・・俺の方が傷無く速く倒せたんだから結果オーライってやつだろ。

「ラガス、今の魔弾を放つまで時間かなり短かったね。最近はそういう訓練をしているの?」

身体強化のアビリティを使い、ゴブリンを投げ飛ばしながらクレア姉さんが質問してきた。
なんか・・・・・・身体強化のアビリティを使っているとはいえ、まだ八歳の女の子がゴブリンを投げ飛ばしてるのは結構違和感を感じるな。

「それを狙って訓練してる訳じゃないけど、それを意識して森の中にいるモンスターと戦っているよ。僕の魔弾は汎用性が高いけど、大技って訳じゃないからね。だから、一手一手がどれだけ速く繰り出せるかが重要になってくるんだよ」

「・・・・・・うん、取りあえず攻撃をどれだけ速く繰り出せるかが重要なのかは理解した。私は魔法がメインだからそこら辺を意識しておいた方が良いかもしれないわね」

・・・・・・クレア姉さんはしっかりと考えて行動するタイプだな。
前から知っていたけど、こうやって話すとそれが良く分かる。

それに比べて、アリクは考えるのが苦手なのか・・・・・・それとも考える事を放棄しているのか。
どっちなのかは知らないけど、それだと限界が来るのは近い筈だ。

物凄い数の実戦を積んで、考えるより先に体が動く・・・・・・もしくは思考が直感と言う形に変化する様になれば話は別かもしれないけど、アリクがそれ程の実戦を積むまで耐えきれるとは思えないな。

まぁ、俺の知った事ではないけど。



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